賞レース王者が続々…マンゲキ芸人が快挙、M-1への期待高まる

2022.12.15 07:15

ホームグラウンドの「よしもと漫才劇場」に登場したミルクボーイ(2019年撮影・大阪市内)

(写真1枚)

2022年、大阪の若手劇場「よしもと漫才劇場」(通称:マンゲキ、大阪市中央区)所属芸人の勢いが止まらない。10月の『キングオブコント』の王者・ビスケットブラザーズ、『NHK上方漫才コンテスト』『女芸人NO.1決定戦THE W』の2タイトルで優勝を果たした天才ピアニストと、賞レースでのマンゲキ芸人らの活躍がめざましい。

12月に控える『M-1グランプリ 2022』決勝にも、マンゲキからは3組のコンビが駒を進めた。お笑いファンからは「これでマンゲキメンバーが優勝したら本当にすごいよね」「2022年、マンゲキが熱い!」などの声が挙がり、注目を集めている。

「ネタバトルライブ」が腕を磨く場に

2014年に誕生した同劇場は、人気芸人を数多く輩出した「心斎橋筋2丁目劇場」や「baseよしもと」場の系譜をついでいる。日によっては芸歴1年目の芸人とテレビで人気のベテラン芸人が同じ公演に出ることもあり、若手芸人にとって欠かせない活躍の場だ。

所属芸人は芸歴10年目以上が「極(きわみ)」、9年目以下が「翔(かける)」に分けられ、芸人らはそれぞれ『グランドバトル』『kakeru翔LIVE』という2カ月に1回、ネタバトルライブに参加する必要がある。

12月におこなわれた『グランドバトル』で初優勝を果たしたお笑いコンビ・黒帯も、自身のYouTubeチャンネルで同バトルにまつわる動画をたびたび投稿し、「(先輩芸人いわく)『M-1』を獲るよりグランドバトル1位の方が難しい」「調子に乗っていたらちゃんと順位が下がる」と、その熾烈さを語っていた。

翔メンバーによる『kakeru翔LIVE』は、下位になった場合、翌月におこなわれる「kakeru翔チャレンジバトル」への参加が自動的に決定し、劇場入りを狙う芸人たちとの入れ替え戦に挑むことになる。1回のバトルで劇場メンバーから外れてしまうシビアな一面もありつつ、養成所在学中に『M-1』準々決勝まで進出したコンビ・軍艦が芸歴1年目にして劇場入りを果たすなど、芸歴を問わず門戸が開かれている場だ。

また、ランキング上位には天才ピアニストやカベポスター、ダブルヒガシといった賞レースで華々しい結果を残してきた実力派が名を連ねていることからも、レベルの高さがうかがえるだろう。

■笑いの殿堂「なんばグランド花月」での経験

また、「なんばグランド花月」(通称:NGK)からほど近い場所にあることも、同劇場の特色のひとつだろう。NGKは日本各地に劇場を持つ吉本興業のなかでも、35年という歴史と約900席という最大規模のキャパシティを誇り、「笑いの殿堂」として名高い。

最近では、NGKでおこなわれるネタバトル「初舞台選手権」や、不定期におこなわれる寄席「よる公演」などで、マンゲキ芸人らが舞台に立つ機会も増えている。看板芸人の中川家や海原やすよともこをはじめとし、限られた芸人のみがステージに立てるNGKに出演することが、良い意味での緊張感を生み出し、モチベーションの向上に繋がっているのかもしれない。

そんなマンゲキ芸人から今年の『M-1グランプリ』にはロングコートダディ・さや香・カベポスターの3組がファイナリストに。さらに、ファイナリスト最後の一枠をかけた「敗者復活戦」にはハイツ友の会、からし蓮根、コウテイ、マユリカ、ビスケットブラザーズの5組が挑む。「敗者復活戦」からいずれかのコンビが勝ち上がった場合、決勝には過去最多である4組のマンゲキ所属芸人が顔を揃えることとなる。

『M-1グランプリ 2022』(ABCテレビ)は12月18日、敗者復活戦は昼2時40分より、決勝の模様は夜6時34分より放送される。

文/つちだ四郎

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