【連載・番外編】見取り図リリー、黒田征太郎に聞く

2020.10.20 19:15

左から黒田征太郎氏と見取り図リリー

(写真5枚)

リリー「大変なときこそ、人の本当の強さみたいなのが出ますよね」

リリー「黒田さんの活動のなかで、(異業種の方々との)コラボレーションもテーマですよね」

黒田「友達に気の合うバンドマンがいまして。絵描きは不自由そうな奴が多いからあまり話したくない(笑)。バンドマンて俺とか僕とかよく言うでしょ? わたくしとはあんまり言わないようなところが、気が合うんですよね」

リリー「(ブルースバンド憂歌団の)木村充揮さんですよね?」

黒田「木村とは仲が良いんですわ」

リリー「いかついコンビですね」

黒田「(大阪で1970年代に結成された)憂歌団とは、当時仲良かったから。僕が生まれたのはミナミ。どぶ川の横で。生まれた病院は戦争で爆発したけど。(ホスピタルアートとして)今は縁がある病院で絵を描いていっている」

リリー「ちなみに、聞いたんですけど今年だけで100枚くらい作品を作られたと?」

黒田「や、粗製濫造風に言うと1000枚(粗製濫造・・・編集部注:質を問わず製品を大量に生産すること)」

リリー「まじすか? なんでそんな制作欲が?」

黒田「やわらかく見えるでしょ。ものすごい気短いの。若い頃はケンカばっかりしてて」

リリー「いかつい(笑)」

黒田「将来どうしたらええんかというなかで、絵のようなものを描こうと思って。そのときに見つけたのが、まだ有名ではなかった手塚治虫の『新宝島』。主人公のピートくんが自動車に乗って走っている。そのタイヤがまんまるではなくて楕円形。そのころの学校はそんなの描いたら怒られていた」

リリー「丸は丸のまま描けと・・・」

黒田「そう。イヤでしょ?」

リリー「そうですね」

黒田「気が合いますね。こんなの描いても良いんだと思って漫画家を目指したんですけど。その頃、一緒くらいの年で親しかったのが赤塚不二夫。あの人は漫画家の素質があったんでしょうね。僕はないってすぐわかった」

黒田氏が、撮影中に急にワッと声をあげて周囲を脅かせて大笑い

リリー「じゃ、黒田さんもはじめは漫画を描いてた?」

黒田「描こうとするんだけど、1コマ、2コマ、3コマ、4コマくらいでもう主人公の顔が大分変わってくる」

リリー「描きたいものが変わってくるというか?」

黒田「うまいこというね。そうなんだよ。そのときの俺はそう思えなくて、手が不器用なんだと」

リリー「だから今のライブペインティングとかに繋がってるんじゃないですか。1秒1秒かけあいで描く」

黒田「解説者になってくださいよ」

リリー「やめてくださいよ(笑)。最後に聞きたいんですけど、これだけバイタリティあるなか、この先やりたいことは?」

黒田「いやべつに・・・」

リリー「もうそのとき、そのときで?」

黒田「そう。例えばね、地震とか水害とかあったら見に行きたいんですよ、神戸のとき(1995年の阪神・淡路大震災)も見に行きました。それで蹴飛ばされたりもしました。グチャグチャのところで絵を描いたりしたら、怒りますよね? 申し訳ないなと思いつつも、見たいから、なんか役に立つことがあるんじゃないかと。そしたら被災者の方から『お前、黒田ちゃうんか。何か手伝えや、店やるから看板を描いて』。で、描いてあげたら『ありがとう』って。そう言われるの案外好きなんよ。でも、世のなかの人のためにと言われたらそんな気はない」

リリー「そうは言いますけど、実際は神戸の地震のあと(チャリティで)ライブペインティングを何時間もしたりとか」

黒田「それは行かへんか、おもしろいでと誘ったら、一緒に行くでという人がいっぱいいたから。憂歌団も来たりしてて・・・ただ、俺の面白いというのは俺なりの面白さということでね。そこでは、人間がへこたれてるだけじゃない。マイナスのカード10枚集めたら、プラスになるかもわからん。そういうのと似てる」

リリー「確かに、そういう時こそ、人の本当の強さみたいなのが出ますよね」

黒「俺はそう思う。人間ってしんどいから、自分を励ますために口笛吹いてるのが好きやったりね。北朝鮮に何回も行ってるけど、あそこの人々はしんどそうやった。でも、口笛吹いてるお兄ちゃんとか多いんですよ。それって今の日本では失われてしまっている。今なんかピコピコピコピコやるでしょ。否定はしないけど。自分は、自分の手で出来ることは自分でやりたい。クセですね、貧乏育ちの人間のクセですわ」

リリー「今のこのコロナ禍でも全然へこたれず?」

黒田「いや怖いですよ。説教くさく言うつもりはないんですけど、コロナが教えとることもある、それは聞く耳持っとこうやと。聞く耳というか想像力。それも含めて『絵で行けるとこ』という。値打ち上げて、1枚の絵が1億だったら大成功と言う人もいるでしょうけども。それだけじゃないぞと。だから吉本興業がやっておられるお笑いもね、そういうのって、結構奥深いものがあるでしょ」

リリー「そうですね、まあ、めちゃくちゃお金は欲しいですけど(笑)」

黒田「俺も欲しいわ(笑)」

リリー「そうやったんすね(笑)」

今回のインタビュー原稿は、動画から一部編集された内容になります

『黒田征太郎展「絵で行けるとこ」』

期間:2020年10月9日(金)〜10月31日(土)
時間:11:00〜18:00(31日は〜16:00)
会場:大阪府立江之子島文化芸術創造センター enoco(大阪市西区江之子島2−1−34)
料金:500円(高校生以下無料)
電話:06−6643−3278(大阪文化芸術フェス2020事務局)

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