【連載・番外編】見取り図リリー、黒田征太郎に聞く

2020.10.20 19:15

左から黒田征太郎氏と見取り図リリー

(写真5枚)

アート大好き芸人でもある「見取り図」リリーが、大阪生まれのアーティスト黒田征太郎氏にインタビュー。ゴミと思われるものを画材として使ったり、ミュージシャンとのライブペインティングを頻繁におこなったり、81歳の今も精力的に活動する黒田氏。

「大阪府立江之子島文化芸術創造センター」(大阪市西区)で『黒田征太郎展「絵で行けるとこ」』を10月31日まで開催しているなか、創作活動などについてお話を伺いました(『リリー先生のアート展の見取り図』紹介記事はこちら)。

黒田「ゴミ扱いされている部品がおもろいなって」

リリー「今日はよろしくお願いします。色々見せてもらったんですけど、壁とかにまでに絵が描かれているんですね。びっくりしました」

黒田「描いてと言われたから」

リリー「あ、そんな理由で? やっぱ自由なんですね」

黒田「自由・・・そうでもないですよ」

リリー「でも、僕こんなパターン見たことないですよ」

黒田「描いてるのが好きやから描いているだけでね(笑)」

リリー「へぇ~。先生、今回の『この絵で行けるとこ』というタイトルは、どういう思いを込めて?」

黒田「思いを込めてるわけではないんですけどね。自由とおっしゃいましたよね? 自由になりたいと僕は81年間生きて、いつでも思ってるんですけどもなかなか自由に・・・。自由ですか?」

リリー「いや、僕は自由じゃないですよ、吉本なんで。ガチガチです(笑)」

黒田「そりゃそうやもんねえ。俺も吉本じゃないけどやっぱガチガチでっせ」

リリー「そうですか? 僕らからしたら先生はもう自由。だって素材も、いろんなもん使って」

黒田「なんかこだわってるわけでもないねんけども、先生っていわれたら自由じゃなくなるんよね」

リリー「あ、そうですね、じゃなんて言ったらいいですか?」

黒田「じいさん」

リリー「じいさんも自由じゃないですよ(笑)」

黒田「ほんまやね。これ考え出したらきりないでしょ?」

リリー「今日は先生でいかしてください」

黒田「先生と言われたない、黒田でいいですよ(笑)」

展覧会を見終えた後にインタビュワーとして話を伺うリリー

リリー「じゃあ黒田さんで。黒田さん、この素材って全てがアートに見えるってことですか?」

黒田「これはね、いい子の発言になるのは分かってるんだけど・・・ほとんどゴミなの。では、何がゴミやねんってことだけど。使えなくなった車ってばらして、もっと不自由な国に持っていったらもう一回組み立て直したら動くんですって。それを仕事にしてる人たちのところに何回もいってるうちに、ゴミ扱いされている部品がおもろいなと思ってしまった」

リリー「なるほど」

黒田「それで、たいこ叩くタツヤ(中村達也)っていう友だちに叩かせたらおもろい音出るんじゃないかと。その音に合わせて僕が落書きでもしたらおもろいんじゃないかって・・・で、気付けば小さい部品がかわいいなと思うように。で、小さいときに折れた釘とかで遊んでいたのを思い出した。物がないころに育っているから。戦争中に国民学校で習ったから飯粒なんかも残せない。こんなこと、言ったらすごい謙虚だと思われるけどそうではない(笑)」

リリー「違うんですか?」

黒田「全然謙虚ではない。部分部分によって考え方が違うんよね。今回は、飯粒は残さんと食いやと、と同じような思いで、落ちてるゴミが見えてしまって」

リリー「へ~」

黒田「これ絵のなかに貼ったらおもろいのと違うか?と。これが冒頭でしゃべった『自由』かもわからん」

リリー「世のなかの全てがモチーフに見えるってことでしょ?」

黒田「そうでもないですねえ。おもろくないなと思う奴がテレビなんかで出てくるけど、いやお笑いの人じゃないですよ? 政治家。たいていあかんなと思ってるんですけど。じゃあ、お前やれやと言われたら僕は出来ないけど。でも、そんな奴は絵にも描きたくないし、絵にもならんわと」

リリー「描いているものは全部が楽しそうですもんね」

黒田「まあ、嫌では描いてません」

リリー「楽しんでるっていうイメージです」

黒田「そう言ってもらえるとうれしい」

『黒田征太郎展「絵で行けるとこ」』

期間:2020年10月9日(金)〜10月31日(土)
時間:11:00〜18:00(31日は〜16:00)
会場:大阪府立江之子島文化芸術創造センター enoco(大阪市西区江之子島2−1−34)
料金:500円(高校生以下無料)
電話:06−6643−3278(大阪文化芸術フェス2020事務局)

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