見取り図「憧れの人たちに近づけるように」

2019.12.18 21:00
(写真11枚)

2年連続で『M-1グランプリ』の決勝へ進出したお笑いコンビ「見取り図」。2018年に関西の人気番組『オールザッツ漫才』(毎日放送)で優勝、2019年には霜降り明星らをおさえて『第4回上方漫才協会大賞』で大賞に。大阪在住のコンビのなかで、全国的なブレーク候補の筆頭格。今回は、そんな見取り図の盛山晋太郎とリリーに、これまでたどってきた道のりについて話を訊いた。

取材・文/田辺ユウキ 写真/南平泰秀

 

リリー「ハングリー精神が生まれました」

──今回の写真撮影は、お二人の希望で「チケットを手売りしていた『よしもと漫才劇場』前で」とお伺いしました。吉本の若手芸人は誰もが通るチケット手売りですが、いつ頃までやっていらっしゃいましたか。

盛山「4、5年前だったと思います。寒空の下でずっとやっていました。僕の場合、当時はもっと太っていて見た目が汚かったから、だれも買ってくれないんですよ。逆に、めっちゃ人気があるやつは、渡された予定枚数がすぐになくなって、僕みたいに人気のない芸人から引き取って、また売っていました」

リリー「手売りは毎日苦痛でしたが、ハングリー精神がそこで生まれました。早く手売りをしなくて良い位置までいこうって。だから僕らにとって思い出の場所なんです」

手前が盛山。「当時はこんな仏頂面。だれも寄ってきてくれなくて、しゃべりでおっちゃんに売っていました」
手前がツッコミの盛山。「当時はこんな仏頂面。だれも寄ってきてくれなくて、しゃべりでおっちゃんに売っていました」

盛山「リリーが写真撮影のときに、チケットを持った手を高々と上げていたじゃないですか。あれはマジで嘘!こいつはそんなことしなかったですよ。めちゃくちゃ無愛想でしたから(笑)」

──ハハハ(笑)。逆に「あいつはチケットをたくさん売る」という芸人はいるんですか。

盛山「いわゆる『手売りの鬼』ですね。僕らの世代は、ラニーノーズの洲崎です。全席を洲崎が売ったんちゃうかってときもありました。あと、祇園さんもすごかったですね」

リリー「東京吉本だと、御茶ノ水男子がすごかった。手売りだけで100枚以上売っているときもありましたね」

ボケ担当のリリー。当時はとにかく、手売りから卒業したかったのだそう

──それでも今では、見取り図がチケットを手売りしようものなら大混乱になりますよね。さっきの撮影時も人だかりができていましたし。ただ見取り図は、2007年に結成してから、どちらかというと苦節が長かった印象を持たれますよね。2000年代後半以降、デビューからブレークまでが早いコンビが増えましたから。

盛山「僕なんかその間、借金が膨れ上がっていましたからね。今年、7年間抱えていた借金を全部返せたんです。一時期は家賃も払えなくなったので、月額7千円とかのトランクルームで生活することもありましたから。今だから言えることですけど。社会から逸脱していました。正直、まともな生活は送れなていなかったです」

リリー「あと、(劇場出演をかけたネタバトルのなかで)昇格・降格のシステムがあるんですけど、一番下のオーディション組まで落ちたときがあって。そこは、素人のコンビばかりのクラスなんです。一度はトップクラスまでいったのに、1カ月も経たないうちに転げ落ちてしまった。その状況が1年くらい続き、後輩の目も痛かった。あのときが一番つらかったですね」

ABCテレビ『M-1グランプリ2019』

放送:2019年12月22日(日)・18:34〜

ABCテレビ『M-1グランプリ2019』

「よしもと漫才劇場」

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