【連載vol.3】見取り図リリー、ミュシャを観る
![](https://www.lmaga.jp/wp-content/uploads/2019/12/lilysan-vol3.jpg)
美術の教員免許を持つ「見取り図」リリーが、色々なアートミュージアムを実際に観に行き、僕なりのおすすめポイントをお届けするという連載でございます。今回は「京都文化博物館」(京都市中京区)で2020年1月13日まで開催中の『みんなのミュシャ ミュシャからマンガへ―線の魔術』です。
ミュシャ関係の作品展がおこなわれているのは知っていたのですが、タイトルにある「マンガへ」という言葉から勝手にミュシャに関するマンガとかがあるのかな〜、とか思っていたのですが全然違いました。しっかりとミュシャの作品と生涯、ミュシャが世界に与えた影響が分かる作品展でした。
![ミュシャの習作(作品を描くための練習)も、これがうまい](https://www.lmaga.jp/wp-content/uploads/2019/12/mu_lily_dessin.jpg)
ミュシャを少しでも知っている人はパステルカラーの上品な色遣いと流れるような線描のリトグラフ(版画の種類)をイメージするのではないでしょうか? しかし、ミュシャの手描きのデッサンも展示されていて、これが超うまい。
少し話が逸れますが、ピカソも代表作《ゲルニカ》などを描くときに、キュビズムといわれる物本来の形ではなくピカソなりの表現方法で描いていました(遠近法を使わず立体的に見せるという斬新な方法です)。しかし、10代前半にはデッサンの腕前はプロ並みのうまさだったそうです。やはり偉人は、基礎ができてるんですね。
何より観て欲しいのは1894年に描いた《ジスモンダ》という作品。これはいろんな意味で奇跡の1枚なんです。無名の頃のミュシャは食いつなぐために印刷会社で働いていました。そこに当時フランスの超大人気女優サラ・ベルナールが舞台演劇のポスターを会社に依頼してきたのです。
これも奇跡ですが、さらにここから! 本来なら別のポスター画家が担当するはずが、たまたま休暇をとっていたため、若手のミュシャが代わりに描くのです。その作品を見たサラ・ベルナールは大絶賛、以降はミュシャに依頼することに。で、一気に超有名になったんです。なんか縁起良いから《ジスモンダ》のポストカードを買って部屋に飾っとこうと思います。
![運気がアップするように《ジスモンダ》を撮影。このエリアの3枚はフォトスポットです](https://www.lmaga.jp/wp-content/uploads/2019/12/mu_lily_photo.jpg)
少し話がそれますが、僕は住んでいる家を9年間引っ越してません。長く住み過ぎて逆に大家さんに不審そうな目でみられています。
さて話を戻しましょう、ルネサンス期の油画などはいかに輪郭線を描かず写実的に描けるかを追求しているのですが、ミュシャの画風はしっかりと輪郭線があります。これは日本の浮世絵から着想したんだとか。そしてミュシャは、花や季節を擬人化したようなスタイルで作品に。これが現在の日本のイラストレーター、漫画家などに多大な影響を与えたんです。なので、タイトルが『〜ミュシャからマンガへ〜』と、なったワケなんです。
実際に、影響を受けた漫画家の作品も展示し、『ファイナルファンタジー』でも有名な天野喜孝先生や『日出処の天子』でも有名な山岸涼子先生も。また、世界中の若者にも当然ながら影響を与えていて、その証拠に、たくさんの有名ミュージシャンがアルバムのジャケットのデザインにミュシャの画風をとりいれてます。それらアルバムのデザインも展示されていました。
![《ユリ-連作「4つの花より」》前にて。リリー=ユリってことでポーズマネしてみました](https://www.lmaga.jp/wp-content/uploads/2019/12/mu_lily_lilymae.jpg)
少し話が逸れますが、この原稿を描いてる今すごくお腹がすいています。人間ドックで食事制限していたので無性にラーメンが食べたいです。
リトグラフによるポスターやデッサンのほかにも、ミュシャが作った装飾モティーフのサンプル集や、彼の故郷(現在のチェコ)でスラヴ叙事詩と言われる歴史や神話をもとに描いた作品もプロジェクターで紹介されています。グラフィック系とはまったく違うので、これもミュシャか?ってなると思います。
最後にたどりついたグッズ売場で販売している品々もかなりオシャレでした。少し話が逸れますが、みなさま、ぜひ足をお運びください! すいません、話逸れてませんでした。
『みんなのミュシャ ミュシャからマンガへ―線の魔術』の概要
南モラヴィア地方(現在のチェコ共和国)で誕生した、アール・ヌーヴォーを代表する芸術家アルフォンス・ミュシャの没後80周年を記念した展覧会。特徴となるQ型方式や縦長の構図、円環モチーフなど独自の構図を生みだしている。グラフィック・アート作品や日本のマンガ家やイラストレーターの作品まで約250点を展示。
見取り図の近況
12月22日は『M−1 グランプリ 2019』の決勝に出ます! 12月31日は、「堂島リバーフォーラム」で、『もっともっとも~~~っとマンゲキカウントダウン2019→2020~紅白ガチンコバトル!年が明ければノーサイド!福男はあなたの番です!~』、正月も劇場に多数出演。ぜひ、笑い納めと初笑いに。詳しくは「チケットよしもと」で検索を。
『みんなのミュシャ ミュシャからマンガへ―線の魔術』
期間:2019年10月12日(土)〜2020年1月13日(祝・月)
会場:京都文化博物館(京都市中京区三条高倉)
料金:一般1500円、大高生1200円、中小生500円
電話:075-222-0888
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