なぜ紅茶の聖地に?ムジカの三代目が語る

2019.10.22 07:00
(写真10枚)

水道水で煎れる? 本当においしい紅茶とは

「saloon」から徒歩約5分の所に「MUSICA」の茶葉販売の専門店がある。紅茶を知り尽くした店員にあれこれ訊ける上に、茶葉の試飲も可能だ。しかも小さな紙コップで数口というレベルではなく、ちゃんとポットティーにミルクを添えてサーブされ、しかもお菓子付き。

「商売なので、高いお茶をたくさん買っていただきたいという気持ちは、もちろんあります。でもうちの一番の目的は、お客さまがリピートしたくなるお茶を売ること。日常的に紅茶を飲むという習慣を広げることです」と、この採算度外視ともいえるサービスについて明かす。

茶葉販売専門の「MUSICA TEA」では、試飲でもポットティーにミルクを添えてサーブされる
茶葉販売専門の「MUSICA TEA」では、試飲でもポットティーにミルクを添えてサーブされる

「当初はここ(saloon)でも茶葉を販売しようかと思ったのですが、お店が混んでいたらお茶の説明ができなくなるので、結果的に正解でした。だからここはショールームですね(笑)。ここで気になる紅茶を見つけたら、販売店できっちり説明を聞いて、気に入ったら買ってもらいたい」という。

「茶摩」の荒川さんも、「同じ品種でも、ほかのメーカーより味も香りも濃い」とMUSICAの茶葉のクオリティに太鼓判を押す。しかし客の間では「家で煎れるより、こっちの方がおいしい」と、結局「saloon」に戻る人も多いのだとか。店ではかなり特別な煎れ方をしているのかと思いきや、尋ねてみるとそのコツは家庭でも十分真似ができるほど簡単だった。

紅茶を煎れる堀江さんの娘・真彩子さん
「saloon」で紅茶を煎れる堀江さんの娘・真彩子さん

「まず水道水から沸かしたお湯を、沸騰直後に煎れる。くみ置きを使ったり、沸かしっぱなしにしたお湯は酸素が少ないので、紅茶の香りが引き立たなくなるんです。あと抽出時間は小さい葉だと3分、大きい葉だと5分は置いてほしいです。それより短いと、お茶の味が十分出てなくてもったいない。ポットの茶葉はすぐ抜かずに、味や香りが濃くなっていくのを楽しむのがおすすめです。決まりと言えるのはたったこれだけで、全然難しいことはないんですよ。紅茶って、本当に簡単においしく飲めるものなんですけど、お店ですらそれができてない所が多いですね」(堀江さん)。

喫茶でおいしい紅茶を知ってもらい、さらにいい茶葉を厳選して販売することで、日本人の生活のなかに「紅茶」をより深く浸透させる。この紅茶への使命感の強さが、「MUSICA」の聖地化の大きな理由のひとつのようだが、紅茶の普及に熱心なのには「おいしいから」以外にも何かあるのだろうか?

茶葉販売専門の店内には、さまざまな種類の茶葉が壁一面に陳列する
茶葉販売専門の店内には、さまざまな種類の茶葉が壁一面に陳列する

「今はみんな忙しくて、家族ですらコミュニケーションの時間が取りにくくなってますよね。そんな時代だからこそ、みんなで一緒にお茶を飲んで、話をする時間が重要。そこでコーヒーでも日本茶でもなく紅茶がいいのは、紅茶にはコミュニケーション能力を高める成分が含まれてると、科学的にも証明されているからなんです。紅茶の本当のおいしさに加えて、ティータイムの習慣も定着すれば、日本人の人間関係や生活はより豊かになるんじゃないかと思います。その実践ってわけじゃないですけど、従業員も営業時間前後に、必ずティータイムを取ってるんです(笑)」(堀江さん)。

「Tea Saloon Musica」

住所:兵庫県芦屋市宮塚町12-24 旧宮塚住宅1F
営業:11:00〜19:00(LO)※日曜休
電話:0797-38-8677

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