兵庫・豊岡発、最新の「演劇教育」とは?

2019.9.4 18:00

「次にステップアップしたい子たちが参加できるよう裾野を広げるのが文化政策。豊岡ではこの5年くらいで完成した」と自信を見せる平田

(写真2枚)

城崎温泉で知られる兵庫県豊岡市で、学力アップを目指した「演劇教育」が2015年より導入されている。同年、同市の文化政策担当参与に就任した演出家の平田オリザがサポートする、その最新の教育現場について語った。

現在、市内38のすべての小中学校で演劇教育が実施されている豊岡市。「今は小学校6年生と中学1年生ですが、今年度からモデル校を定めて低学年へも実施。非認知スキルのアップ、将来的には学力アップへつながることが証明できれば、数年後には全校・全学年で演劇教育を実施する」と平田は話す。

また、豊岡市を含む但馬地区の高校でも、「豊岡高校では、来年度から授業の1コマに演劇を入れたコミュニケーション教育を考えている。AO入試(学力だけでは測れない個性を評価する大学選抜制度)対策ですね。ほかの高校もすでに私が毎学期教えに行って、演劇教育の導入が始まっている」とも。

さらに、「小学2年生が全員現代演劇を、6年生は芝居小屋『永楽館』で狂言を見ます。それから4年生は生の音楽に触れるようクラシック音楽を。もちろんみんな無償です。さらに興味を持った子は、『城崎国際アートセンター』でほぼ毎月、世界トップクラスのダンサーや演劇人のお芝居を無料で観られる」と、同市の力の入れようがわかる。

なぜ、平田がこんなにも「演劇教育」に期待するのか? 「最近、教育の現場で集中力ややり抜く力とも言われる非認知能力が注目されていて、これが学力テストと相関性が良い。家庭の経済環境との相関性はよく言われますが、貧困家庭でも一定数、成績の良い子たちがいるんです。この子たちを分析していくと、非認知能力が高く、協同性がある。一緒に友だちと何かをやって拍手を浴びたことがある、少数意見をとりいれてプラスに転じさせることができるなど、これはまさに演劇教育が得意とする分野なんです」と説明する。

「小学校の先生方には、声の小さい子がいたら無理して大きい声を出させなくて良いですよと言うんです。その子は『声の小さい子』という役をやらせれば一番うまいんです。そういう居場所作り、役割分担というのに、演劇教育は非常に優れている」とも。

「3〜4年待たないといけないのですが、非認知能力が高まって学力テストでその相関性がはっきり出るはず。生活保護や失業保険などの補助は格差が出てから分配するわけで、その前に非認知能力、協同性を高めた方が、最終的に30〜40年後の行政の負担が少なくて済む。そのため豊岡市は教育に非常に力を入れている」と、平田はその成果に期待を込めた。

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