40周年のゴンチチ「どんどん我を排除」

2018.12.30 17:00
(写真2枚)

「中毒症状が出る、そういう音楽がイイ」(チチ松村)

──そのあたりの多様さをドヤッ!という感じで前面に出すのではなく、抑えることで浮き立てたり何度も聴けるものに高めている部分は、40年のキャリアを持つおふたりならではですね。

三上「自分たちでも何回も聴けるアルバムを作りたいという欲求が強いから、そういうことになってしまうんでしょうね。さっきのプレイヤーを困らせた話にしても、その人がキャリアを重ねて培ってきたものよりも、その人が楽器に対してどうちゃんと向き合っているかという音色が欲しいという感じがあって、その人と(レコーディングを通して)探検するみたいな。そういうプレイが録れることで、僕らもハッとするんですよね」

松村「こうして話していて思ったけど、どんどん我を排除していっていますね。弾いている人の我がなくなった方が、より純粋に音楽として聴けるというような感じがします。絵画とかでも我がブワッと強く出ているものだとすごくてもだんだん疲れてくるし、それよりも吸い込まれていくようなものがイイ感じというか」

三上「歌手でもナット・キング・コールやフランク・シナトラを聴いていると、我のカタマリのようでいて実は我がほとんどないというか。流麗なストリングスを聴いているような、超えてくるとそういうところまで達するものもあって。僕らはそんなレベルじゃないですけど、そういう普遍性みたいなものを求めているのかもしれないですね」

松村「だから、言い方はちょっとオカシイかもしれないけど、最初に聴いたときにはフワッと柔らかくて聴きやすいんですけど、何度も聴いているうちにだんだんと体に毒が回ってきて中毒症状が出るというかね(笑)。そういう音楽がイイなと思います」

──毒かどうかはわからないですが(笑)。スムースだけど、気が付けば普通じゃない世界に連れていかれる。それはゴンチチの音楽の本質だと思います。ギターを主体としたインスト音楽だと、どんどんとテクニカルな方向などに向かいがちですけど、そんなこともないですし。

松村「そういう感じはないですね。やっぱり楽器が上手な方は、プレイ自体に喜びを感じている方が多いと思うんやけど、僕たちはそれよりも音楽が持っているひとつのムードみたいなものが好きなタイプで。プレイに走ると、あまり楽曲は関係ないみたいな方向になっていくときがあるけど、そうではなくて音楽自体がいいと感じられるかどうかというのは常にありますね」

三上「と言いながらも、今回はアドリブとかでわりとパッションのある曲もあるので、複合的な楽しみ方があると思います。いろいろ屈折していて抑えているんですけど、全体的にグルーヴなどを重視しているところもあったりするので」

──そんなゴンチチならではの音世界を40年目にして今にアップデートさせた新作を完成させて、1月6日の大阪「いずみホール」公演から『新春生音三昧2019』として全国5カ所のホールでのツアーがスタートします。

松村「京阪神はチェロとバイオリンが入った4人編成で、新作からもその編成で再現できそうな曲も2〜3曲取り上げながら、あとはゴンチチの昔の曲で今までにライブであまりトライしていなかったような曲もやろうと思っています」

三上「昔に松村さんが作った曲で僕の好きな曲がひとつあって、でも結構ややこしい曲なので松村さんはライブでやるのをちょっと渋られていたんですけど、その曲を自分でコピーし直して演奏したら練習中に曲が良過ぎて松村さんが泣いたというのがありまして(笑)」

松村「その曲は譜面がなかったので、YouTubeでその曲をコピーしている人の動画も観ながら思い出しつつ、演奏してみたらめちゃめちゃ良くて。この曲はすごいわとヤル気が出たんです(笑)」

三上「その曲は必ずやるので、楽しみにしていてください」

GONTITI

アルバム「『we are here』-40 years have passed and we are here-」
2018年12月19日(水)発売
PCCA.50305 3056円+税

GONTITI

『ゴンチチ 新春生音三昧 2019』
日時:2019年1月6日(日)・17:00〜
会場:いずみホール(大阪市中央区城見1-4-70)
料金:6000円(全席指定)

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