アイドルはなぜ、地下で夢を見るのか!?
2017.11.16 6:00

体力的にも金銭的にもハードな地下アイドルの世界

私、田辺ユウキは2016年3月から、『くぴぽ SOS!』というドキュメンタリー映画にプロデューサーとして関わっている。ちょうど20年前の1997年、オーディション番組『ASAYAN』でモーニング娘。に見入った。そして、モー娘。への興味が落ち着きはじめた時期に、ももいろクローバー(現ももいろクローバーZ)を好きになった。そして、ももクロが主演した短編映画『NINIFUNI』(2011年・真利子哲也監督)の関西宣伝を担当したことをきっかけに、「地下アイドル」と呼ばれる人たちとの仕事が少しずつ増えていった。

サイリュームやペンライトと呼ばれる照明器具「ケミカルライト」を使って、ファンがライブを盛り上げるアイドルのライブの様子画像一覧

ドキュメンタリー映画『くぴぽSOS!』は、その過程で出会った地下アイドルのグループや界隈にクローズアップしている。しかも、東京ではなく大阪という地方で活動する人たちが題材なので、かなり狭小的で、それゆえ濃い。そこでの文化、現象の一部を追いかけている。私は、同作に携わったことをきっかけに、ひとつの考えをめぐらせるようになった。それは、「アイドルはなぜ、地下で夢を見るのか?」ということ。

多くの地下アイドルは、音楽活動一本では食べていけない。メイド喫茶やコンセプトカフェなど「アイドル活動から派生した職業」に就いている女の子もいるが、とりあえずみんな何らかの本業を持っている(彼女たちにとっては「本業」の方が「副業」かもしれないけど)。なかには、ちょっと驚くような立派な本業の地下アイドルもいる。「どうしてその道だけ進まないんだろう?」とつい思ってしまうのは、もう若くないからだろうか。

なぜなら、アイドル活動は金銭事情が大変だ。グッズや音源の制作費、衣装費、スタジオの代金、ライブ会場までの移動費、etc・・・。とにかく経費がばかにならない。イベントに出てギャラや交通費をもらえる地下アイドルなんて、実はほんのひと握り。アイドル本人、またはスタッフは、ツイッターやメールでチケット予約(取り置き)を募り、自分たちをお目当てにやって来たお客さんが支払ったチケット代金の一部を、収益として受け取る(チケット料金の30%バックが多いが、価格に関わらず500円の場合もある。また、大きいイベントでは逆に数万円の出演料を取られることも・・・)。

映画『くぴぽ SOS!』のワンシーン。「大阪で一番人気のないアイドル」と呼ばれる、くぴぽの物販は当時閑散としていた。画像一覧

そんな地下アイドルの最大の収入源は、特典会や物販。特に、アイドルと一緒にインスタント写真が撮れるチェキ撮影会が人気だ。1枚、だいたい500円から1000円。だけど、『くぴぽ SOS!』で密着したグループ、くぴぽは撮影当時、チケット予約ゼロ、物販売り上げゼロのときも少なくなかった。その他の地下アイドルも、ゼロとは言わずとも、同じように売り上げがキツい日が多々ある。

体力的にも、金銭的にもなかなかハードな地下アイドルの世界。それでも「地下アイドルになりたい」と言う女の子と、何人も出会った。一方で「地下」という言葉を嫌い、「私はアイドルじゃない。アーティストだ!」と語気を強めながら、アイドルイベントに出演し、チェキ撮影会で小銭を稼いでいる子もいる。地下アイドルを出発地点にして「いつか有名になりたい、売れたい」と願う女の子は多いが、逆に「別に売れたいとは思わない」と話す地下アイドルもいる。人それぞれだが、それにしてもみんなどうなりたいんだろうか。

と、非常に前置きが長くなったが、この連載では、いろんな人の証言などをもとにしながら「今の地下アイドル」、とりわけ「大阪で活動する、地方の地下アイドル」の生態をルポタージュしていく。まず1回目は、関西を拠点に長年にわたりアイドルをインタビューしている構成作家・ポッター平井にインタビューをおこなった。あらためて地下アイドルについて解説してもらった。

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