堂々たる風格、今秋最注目の琳派展

2015.10.18 15:00

国宝《風神雷神図屏風》 俵屋宗達筆 二曲一双 江戸時代 十七世紀 京都・建仁寺

(写真3枚)

今年は琳派が誕生して400年の記念イヤーであり、京都では多数の琳派展や関連企画が行われてきました。本展はそのクライマックスであり、琳派を代表する名作175件が一堂に展示されています(会期中展示替えあり)。

「琳派(りんぱ)」とは、桃山時代後期におこった芸術の流派で、京都で本阿弥光悦と俵屋宗達がおこし、100年後に尾形光琳・乾山兄弟が現れ、さらに100年後の江戸で酒井抱一が継承しました。作風は、大和絵の伝統を基盤に豊かな装飾性とデザイン性を加えたもので、ジャンルは、絵画、書、工芸全般に及びます。私淑(直接の教えは受けないが、その人を模範として学ぶこと)で受け継がれてきたのも大きな特徴です。

重用文化財《鶴下絵三十六歌仙和歌巻》 本阿弥光悦筆・俵屋宗達画 一巻 桃山時代 十七世紀 京都国立博物館
重用文化財《鶴下絵三十六歌仙和歌巻》 本阿弥光悦筆・俵屋宗達画 一巻 桃山時代 十七世紀 京都国立博物館

出展作品はどれも素晴らしく、ひと言で「見どころはここ」と言い切れませんが、あえて言うなら、宗達、光琳、抱一の《風神雷神図屏風》が揃い踏みすること(10/27~11/8)、宗達の絵と光悦の書からなる《鶴下絵三十六歌仙和歌巻》を、全期間・全場面展示することでしょう。他にも、光琳と抱一の《三十六歌仙図屏風》(光琳の作品と抱一の写し)が共演し、光悦と乾山のやきものが多数展示され、宗達が表紙と見返絵を描いた《平家納経》が見られるなど、どこもかしこも名品だらけ。一度にこれだけのお宝と出合う機会など、一生に数えるほどしかないでしょう。

《色絵定家詠十二ヶ月和歌花鳥図角皿》 尾形乾山作 江戸時代 十八世紀
《色絵定家詠十二ヶ月和歌花鳥図角皿》 尾形乾山作 江戸時代 十八世紀

それだけに、本展に出かける方は相当な混雑を覚悟せねばなりません。また、会期中の展示替えが多いので、お目当ての作品がある方は事前チェックが必須です。ふらっと気軽に出かける感じではありませんが、苦労しただけの感動があることは間違いありません。まさに今秋必見の展覧会です。

取材・文・写真/小吹隆文(美術ライター)

『琳派誕生四〇〇年記念[特別展覧会] 琳派 京を彩る』

『琳派誕生四〇〇年記念[特別展覧会] 琳派 京を彩る』
期間:2015年10月10日(土)~11月23日(祝・月)
時間:9:30~17:00(金曜~20:00)※入館は閉館30分前まで 
会場:京都国立博物館(京都市東山区茶屋町527)
料金:一般1,500円、大学生1,200円、高校生900円 ※中学生以下は無料(要証明)
電話:075-525-2473(テレホンサービス)

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