今週末、飲みたいワイン。第8回
カテゴリ:お酒
家飲みの日々が続くなか、偶然立ち寄った天満橋のワインショップ[salvis wine & records]で、お薦めのヴァンナチュール(自然派ワイン)の複雑な味わいに開眼。カタカナや専門用語が苦手な人でも楽しめる! 週末に飲みたい、小さな作り手による物語のあるワインを紹介します。
第8回
父と娘で造る、ヴェローナの日常を表現したワイン。
『PICCOLA PESTE / Terre di Pietra』
今回はイタリア北東部、水の都ヴェネツィアが州都のヴェネト州で造られるワインをご紹介します。
ワイン生産量がイタリアでトップクラスのヴェネト州。ご紹介のワインを造る「テッレ ディ ピエトラ」は、『ロミオとジュリエット』の舞台として知られるヴェローナにあります。

ヴェローナ産の赤ワインの代表格は、「ヴァルポリチェッラ」と「アマローネ」で、どちらもイタリアを代表する高級ワインとして有名です。
「テッレ ディ ピエトロ」は、そんな格上の偉大なワインを造ることのできる環境にあって、あえて庶民的なワイン造りを選んだ生産者です。
ワイナリーのオーナー・クリスティアーノさんと奥様ラウラさん夫妻は、共に代々農業を営む家系でした。ラウラさんがブドウ農家に挑戦し、初めてボトリングを行ったのが2007年。奥様の情熱に、他の仕事をしていたクリスティアーノさんもワイン造りに加わります。
2015年に日本人のあるバイヤーがこのワイナリーの造る「ヴァルポリチェッラ」に出会います。最初は少し味わいに違和感を覚えつつも、試飲を繰り返すうちにブドウのポテンシャルを感じ、多く使用していた亜硫酸を減らすことを提案しました。立ち呑み的な“バーカロ”発祥の地・ヴェネツィアのあるヴェネト州は、酒場の街。バイヤーが求めていた、日常に寄り添う「親しみやすいワイン」に夫妻も共感し、亜硫酸や酵母に頼らない自然と向き合うワイン造りを約束します。

そうして舵を切った矢先、妻ラウラさんが突然の病死。深い悲しみを背負いながら、それでもクリスティアーノさんはふたりの娘さんと共にブドウ栽培とワイン醸造を続けることを決意します。3年の歳月を経てより柔らかく、飲み心地のいい味わいのワインに変わっていきました。
「ヴァルポリチェッラ」と「アマローネ」だけではない、土地に根ざしたヴェローナの日常の味を、ぜひ感じてください。

どんな味ですか?
じんわりおいしい、滋味深い味です。繊細でほどよい酸味もあって、旨みが詰まっている。赤ワインが苦手な人や、赤ワインの経験が少ない人にこそ飲んで欲しいですね。「ヴァルポリチェッラ」という格上のワインが作れるのに、その看板を下ろしてまであえて造りたかったワイン。これがヴェローナの味だという力の入った、入門的な一本だと思います。
飲んでみました。
白ワイン派ですが、この赤にはツンとくる強い苦みや酸がなくて、優しいです。まろやかで、飲んでいるうちにどんどん飲み心地がよくなっていく感じ。果実感もあって、甘過ぎもせず、こんなに飲みやすい赤は初めてかも。ラベルは娘さんの手描きイラスト。お父さんがふたりの娘さんたちと頑張っているということで、応援したくなるワイナリーです。


今週のワイン
ピッコラペステ/テッレ ディ ピエトロ
産地:イタリア・ヴェネト
2,600円(税抜)
salvis wine & records
[天満橋]
大阪市北区天満3-3-18 順源ビル1F
TEL 06-6356-7072
12:00〜20:00 水曜休
Instagram(@salvis_wine)
店主・野口一知さんがセレクトする小さな作り手のワインと、好きな音楽のレコードを扱う専門店。ワインはヨーロッパを中心に約200種を扱い、その約8割がナチュールワイン。知識ゼロでも、味の好みや飲む相手などを伝えれば、ぴったりのワインを教えてくれる。奥には隠し部屋的なバー空間があるのでぜひお尋ねを。全国発送可。
プロフィール
MeetsRegional編集室 1989年創刊以来(今年で31年目突入!)、関西の街をフォーカスし続けるリージョナル・マガジン。編集部員をはじめ、誌面に携わるさまざまなスタッフが自分の足で探してきた店や人、モノやコトを、私感たっぷりにご紹介。街や酒場の“ゴキゲン”を言い訳に、どうにも飲める(飲み過ぎる)スタッフ多め。現在、「WE♥酒場」をキャッチフレーズに、酒場にまつわるエトセトラを12カ月連続で特集中。毎月1日発売。
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