恵文社元店長が目指す、新しい書店

2015.11.24 19:50

新刊は人文書や芸術書など幅広く、カテゴリ分けせず、古書や小冊子、ZINEなども混ぜて陳列される

(写真4枚)

9月に独立を発表した、京都の[恵文社一乗寺店]の元店長、堀部篤史さんの新しい書店[誠光社]が明日11月25日に開店します。注目は、取次会社を通さず、出版社と直接やり取りをして仕入れを行う新刊書店であるということ。

大型書店はオープンするものの、新刊を取り扱う個人店が次々と減っていく現状。それはただ単に”本が売れない”というだけでなく、取次を通してしまうと利益が減ってしまうのも一因と理由と考えた堀部さん。そこで個人店が生き残る手段として、辿り着いたのが出版社との直接取引。利益を上げると同時に、重要となってくるのは1冊ずつのセレクト。しかし、これが実現できるのも、イギリスの新聞紙にて「世界で行きたい本屋10店」へ[恵文社一乗寺店]を導いた堀部さんの目利きがあるからこそ。

出版社からの反応も良く、9月に仮オープンしたホームページで発表していた取引先から増え30社以上の取引先が決定。オープン時には新刊だけで約4,000冊、また古書・洋書で約1,000冊が同様に並びます。例えばテーマは同じ日本食ながらも、イギリス人の著者ティム・アンダーソンがレポした写真も美しい洋書『nanban』と、山本嘉次郎が家庭の味を語る古書『洋食考』が並んだり、ほかにはない発見あふれる棚に。「本を1冊1冊売ることの大切さを感じます。まだまだ仕入れたい出版社はたくさんあるし、棚は常に変わるので、長い目で棚を育てていきたい」とのこと。

店内には小さな喫茶スペースも登場し、京都の[六曜社地下店]の珈琲豆と、[かもがわカフェ]の珈琲豆をブレンド「ランベルマイユblend」のコーヒーがいただけるとあって、長居せずにはいられません
店内には小さな喫茶スペースも登場し、京都の[六曜社地下店]の珈琲豆と、[かもがわカフェ]の珈琲豆をブレンド「ランベルマイユblend」のコーヒーがいただけるとあって、長居せずにはいられません

初日より[誠光社]のグッズを手掛けた落合恵のイラスト展を開催。今後は翻訳家の金原瑞人さんから独立に際して古書の寄贈があったそうで、フェアも企画しているとか。ただ本を販売するだけでなく、イベント開催や、本の出版などを通じてカルチャー発信スポットとしても見逃せない場所となりそうです。

取材・文・写真/松永大地

[誠光社]

2015年11月25日オープン
住所:京都市上京区中町通丸太町上ル俵屋町437
時間:10:00〜20:00・無休(正月休みあり)
電話:075-708-8340

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