よう知らんけど日記

第134回 「焦げくさい」がなにでできてるのかめっちゃ気になる。

2020.11.4 11:37

カテゴリ:未分類

8月☆日 

6月7月とNetflixで『LAW&ORDER:性犯罪特捜班』というアメリカのドラマをひたすら観てた。20年続いてる長寿ドラマのうちNetflixに今入ってるシーズン15~19までを観たので、めっちゃ途中からなのやけど、1話完結スタイルなので気にせず観られる(といっても、アメリカのドラマって次のシーズンに視聴者をつなげられるようにこれどうなんの!? なところで終わることが多いので、最初だけ戸惑う)。ツイッターで性犯罪や女性差別のことが話題になってたときにフォロワーの方が、このドラマでその心理的なパターンをたくさん学んだ的なことを教えてくれて、それで見始めたらはまってしまった。もともと『LAW&ORDER』って人気シリーズがあってそのスピンオフやってんけど、本家が終わっても続き、さらにシーズン数も抜いて、今21シーズンまで続いてるらしい。 

こういう外国の犯罪とか社会問題を扱ったドラマや映画を観てると、日本もその後追いしてるなあというか、今日本で問題になってることがアメリカとかでは5年ぐらい前(あるいはもっと前)に問題になっててんなと思うことがあるけど、このドラマもまさにそれ。それは、アメリカや西欧が意識が進んでて先に問題を解決しようとしてるからなのか、社会問題も日本が同じ道を進んでしまうからなのか、両方やと思うけど、ちょうどシーズン15、16あたり観てると、あー、こういう事件とか裁判とか、最近日本で聞いたやつ、というのがよくあった。スピンオフのこちらが長続きしてるのは、そうか、性犯罪(という邦題やけど、元のタイトル直訳やと「特別事件捜査班」?)、「性」にまつわる事件というくくりやと、殺人だけじゃなくて、DVとか児童虐待とか幅広く題材がある。もちろん殺人事件も多いけど。そして本家と同じく、刑事が逮捕するまでだけじゃなく、半分は検事が起訴できるか、法廷でどう争うかに焦点が当てられてるので、心理的な要素が大きい性に関わる問題はそれも見所になる。事件のそれぞれも興味深いし、刑事側も依存症とか暴力とか問題を抱えてるのもアメリカらしいなと思うのやけど、まずなにより、冒頭で毎回流れるナレーションが「刑事司法制度では性犯罪を特に重罪とみなす。ニューヨークにはこの悪しき犯罪と闘うエリート集団がいる」で始まるんよね。それだけでなんか羨ましいというのも変やけど、日本の裁判で理不尽な判決が相次いでるので、うーんとなってしまう。もちろん、ドラマ見てるとアメリカ大変やなって思うし、取り上げられる犯罪もひどいのやけど(全部ではないけど実際の事件をモデルにした話も多い)、ドラマの中で下される判決は確かに日本に比べると量刑が重い。一方で、刑事が取り調べの時に容疑者に「レイプ犯は刑務所行ったらえらい目に遭うで」的な脅しをしたり(これは黒人少年たちが冤罪になるドラマ『ぼくらを見る目』を観たあとではまったく肯定できない)、その脅しを証明するかのように刑務所で証言するはずの人が殺されたりして、アメリカやばいやろなところも多々あるのやけど、犯罪者がどう見てるかとか、どういう状況で犯罪が起こったかとか、それを取り巻く状況とか(家族が犯人をかばったり、訴えた被害者が非難されたり)、ああ、こういうの、世界で共通してることなんやな、と思う。あと、被害者に対する刑事たちの対応がめっちゃちゃんとしてて、ドラマやからこうあるべきというのを描いてるのやろうけども、それでも目指すべきモデルが示されてるっていうのはええよね。(映像は直接的な表現は少ないですが、供述や証言はかなりストレートで精神的に負担を感じる方もいらっしゃるかと思うので観られる際はご注意ください)

8月☆日 

うちで使ってるのはオーブントースターと電子レンジ兼用のものなのですが、トースターで焼くつもりのパンを電子レンジモードでやってしまうという事故(引っ越してから2度目)。パンを電子レンジに入れてもたいしたことないんちゃう? とお思いのそんな間違いはしたことのないちゃんとした皆さま、トースターでパン焼くのは5分、電子レンジであっためるなら30秒ぐらいで、パンを5分も電子レンジにかけると炭になります。前回よりも早めに気づいたので、完全炭化までは行ってなかったけど、おいしいパンやったのにもったいない……。そして、煤なのかなんなのか、焦げたにおいってなんでこんなに取れへんのやろ。においってなに? 粒子? 前回、完全炭化をやらかしたときは、消臭系のものをいろいろ試してみたり、対処を検索して家中水拭きしたりしましたが、3日ぐらいはにおい取れませんでした。今回は、1日ぐらいでなんとかなったけど、「焦げくさい」がなにでできてるのかめっちゃ気になる。 

8月☆日 

用事があって渋谷へ。閉店した店舗がさらに増えている感じ。東京都の営業時間短縮要請が出てることもあり、夜7時、8時なのにもう終電?ぐらいの人通りのなさ。早く閉まる店も多いので、薄暗い。渋谷が薄暗いなんて……。夜の街、人工的に明るくて用もない人がようさん歩いてて騒がしい街大好きなわたしは、あまりにさびしすぎて、普段なら寄る店(洋服屋さんとかドラッグストアとか)ももう閉まってるし、見回しても開いてる賑やかそうな場所がドン・キホーテしかないので、入ったことなかったドン・キホーテ渋谷店に行ってしまう。しかしドン・キホーテの中もがらがら。前はあんなに観光客が並んでたレジも、1つしかあけてないのに誰も待ってない。別に買いたいものもないんやけど、化粧品見て、お菓子見て、ピカチュウ形したブラシを買いかけたけど、いや絶対使わんやろと踏みとどまって、結局どこでも売ってるようなお菓子を買って、帰ったのでした。 

8月☆日 

こないだ、黒人差別問題を扱った小説や映画を挙げたけど、そのうちの『グローリー/明日への行進』の感想を。これ、原題は『Selma』で、1965年に黒人たちが抗議の行進をして警官が暴力で弾圧した「血の日曜日事件」が起こった地名で、邦題は映画の内容と違いすぎって批判があって、観てみると確かに「そんな前向きでさわやかな状況ちゃうやろ」となる。このときの黒人の公民権運動はガンジーの影響もあって非暴力主義を貫き、ただ整列して行進するだけなのに、そこに警官隊や州兵がやってきて、催涙ガス使うし、棍棒で殴り倒すし、その凄惨な暴力はテレビで中継もされたのやけど、それが再現されたシーンはあまりの暴力の激しさに見るのがつらくなる。しかも、それは5月から実際にアメリカで起きてることと重なって、こないだニュース映像で見たやつやん、と現実として迫ってくる。このころの黒人公民権運動と言えば、マーティン・ルーサー・キングJrの「I have a dream」の演説が知られていて、日本でも英語の教科書に載ってたりして、わたしも中学生の時に習ったけど、その黒人差別というのが、こんなにも激しい暴力でひどいものだとはわかっていなかった。たぶんそのとき授業で聞いたのは黒人は白人の店に入れなかったみたいな話くらいで(それだって十分にひどいのやけど)、ただ歩いてるだけで瀕死の重傷を負わされたり、投獄されたり、活動に参加した人の家が爆破されたり、協力的な白人も殺されたり、そこで発せられた「dream」という言葉にどれほどの重みと苦しみが込められてたか、この映画を見てやっと具体的な実感をともなってわかった。「dream」とともに、日本で聞くとなんとなく明るくふんわりしたイメージやけどものすごく厳しい言葉だったもう一つが「march」で、日本では楽しい行進にしか使われないけど、人間としての権利を得るために警官に殴り殺されるかもしれない恐怖の中で長い長い距離を歩いたこれも「行進」なんやなと。この活動の中心人物で後に上院議員になったジョン・ルイスの伝記漫画が『MARCH』というタイトルで、そういう意味やったのか、と思い知らされます。漫画のほうを読むと、歴史的な背景や運動の詳細がわかるので、ぜひ合わせてどうぞ。 

8月☆日 

めっちゃ今さらやけどマスクを長時間すると肌荒れする。というのも、わたしはずっと家にいる仕事で、マスクして出かけるのもたまにしかないし、出かけた先でマスクしたまましゃべることとかほとんどなかったから、このところの新刊関係の取材などに出かけてやっとそれがわかった。一日中、毎日、この状態で仕事してる人がたくさんいるわけで、しかもこの暑い中で、もっと肌荒れしやすい人もいるやろうし、ほんまにあれもこれも大変なことばっかりやなとつくづく思う。当たり前のことなんやけども、在宅ワークできる人できない人、多数の人に接する仕事の人、長時間通勤せなあかん人、子供や高齢者と同居してる人、そして医療や介護やリスクに直面するエッセンシャルワークの人などなど、それぞれ状況が全然違うっていうことを折に触れて実感するのは重要やなと思う。わたしの場合、鼻とその下部分に隙間ができるウレタン系の立体的なマスクやとだいぶましなのですが、防御効果は劣るから時と場所選ぶしなあ。マスクがどこでも売ってるようになっても、難しいことだらけやわ。 

8月☆日 

暑い。雨がやんだら散歩に、と思ってたのに、暑すぎて外に行かれへん。 

動かなすぎて、運動不足とか通り越して、動物として危険なレベルになってる。 

8月☆日 

炊飯器を買った話をこないだ書きましたが、その次にほしいのは洗濯機。家電製品は15年前に東京に来たときにとりあえずで買ったのをずーっと使ってて、去年の引っ越しを機に、冷蔵庫、オーブンレンジと買い換え、残るは洗濯機。今使ってるのって容量何キロやったっけ、と確認したら、メーカーが「National」て書いてある。ええっ!? これ東京に来たときに買ったはずやのに、そないに古い!? とびっくりして検索したら、白物家電は2008年まで「National」ブランドやったんやね。今すぐ壊れそうみたいな状況ではないので、電気屋さんで見たりしてるのですが、どれもでかいな。今は主流が斜めドラム乾燥付きで、めっちゃ存在感ある。子供の体操服を明日の朝までに、みたいな状況があれば乾燥機いるけど、わたしは外に干したいので、全自動縦型の小さいやつがほしいのやね。検索したり、大きい電気屋さんで見たりしてるけど、この条件のはあんまり利益にならないのか、日本のメーカーのがすごい少なくなってる。電化製品好きなので(見るのが)、買う予定もないのに検索することよくあるねんけど、この数年、こういう、人気になってたときはいろんなメーカーからめっちゃ出てたのに気づいたら全然なくなってるやん、ていうことがちょいちょいある。食洗機も、ビルトイン主流になったからか、後付けのやつはほぼ1社のみ。最近、排水ホースをつけなくていいタイプのが何社からか出てて気になってるけど、どうなのやろうか。そもそも、うちの台所は置くスペースないけど。洗濯機は、来年かなあ。 

8月☆日 

お盆休み最終日、マンションの前で、キャリーバッグを持った人に会う。帰省してはったんかな。お盆休みの間、近所人少なかったし、やはりそれなりに皆さんどこかに行ってはったのやろうか。わたしは2月の前半以来東京から出てなくて、こんなに長く東京にいるのは初めてやなあ。 

8月☆日 

梅田蔦屋書店主催で、文化人類学の小川さやかさんとオンライントークイベント。『「その日暮らし」の人類学 もう一つの資本主義経済』も『チョンキンマンションのボスは知っている アングラ経済の人類学』も、タンザニアの人たちの暮らしと商売を調査した本やねんけど、めちゃくちゃおもろい。ようわからんものを仕入れてきて売るとか、知り合いのつてで商売を始めるっていうてぜんぜんやらんくていつの間にか違うことやってるとか、その流動性の中での運と助け合いの混じり合った暮らしを知るのは、今のいろいろ身動きの取れなくなった日本で生活してる身からするととても刺激を受ける。『チョンキン~』のほうは、香港で暮らしてるタンザニアの人たちの話なのやけど、香港で急死した人をみんなでお金集めて国に送るのとか、直接その人に助けてもらった借りを返すのではなく、たまたまそのときそこに居合わせた人たちが助け合う方式になっていて、これはすごくいいと思うんよね。直接のやりとりや、これだけやったから同じだけ返せみたいのではなく(現代社会のクレーマーってこれのエスカレートしたやつと思うねんな。お金払った客なんやからなんでもしてもらって当然、みたいな)、今、自分が受けた親切は、いつか誰かに返せばいい、っていう、それでこそ人の社会って成り立ってるんちゃうかなって思う。そして、怪しげな商売で、だまされたりもするんやけど、その隙間に自分でなにかやる余地があるというか。日本でショッピングモールとかチェーン店が増えてるのを惜しむのは主に情緒面から語られることが多いけど、この数年の街の変化を見ててわたしはそれだけじゃなくて、大企業と働く人がぱっかり分かれて、ほとんどの人は安い賃金で使われやすくなってしまうってことが問題なんちゃうかなと思うようになった(ケン・ローチ監督の『家族を想うとき』観るとこれがようわかるよ~。怖いよ~)。本に出てくるタンザニアの人が裕福な人ばかりではないし、問題もようさんあるけど、少なくとも、別の社会や生き方を知ることで、自分の身の回りの当然やと思って仕方なくやってたことも、ほんまは変えられるんちゃうの、別の可能性あるんちゃうの、って思えるのが文化人類学とか学問のええところやんね(「みんぱく」が大好きな理由のひとつもそれ)。香港にいるタンザニアの人たちが夜な夜な通路にたむろってんねんけど全然しゃべらんとスマホ見てるとか、どこがおもしろいんか謎の動画めっちゃ見せてくるボスとか、細部もとてもええのです。小川さんは、一見おっとりしてるのやけど、それで油断させてざくざく突き進むようなパワーを持ってはって、短い時間でしたがお話すごい楽しかったです。もっと話聞いてみたいなあ。

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柴崎友香(しばさき・ともか) 1973年大阪生まれ。映画化された『きょうのできごと』で作家デビュー。2007年に『その街の今は』で第57回芸術選推奨科学大臣新人賞、第23回織田作之助賞大賞、第24回咲くやこの花賞受賞。2010年に『寝ても覚めても』で第32回野間文芸新人賞受賞。2014年に『春の庭』で第151回芥川龍之介賞受賞。著書に『青空感傷ツアー』『フルタイムライフ』『また会う日まで』『星のしるし』『ドリーマーズ』『よそ見津々』『ビリジアン』『虹色と幸運』『わたしがいなかった街で』等多数。
公式サイト:http://shiba-to.com/

権田直博(ごんだ・なおひろ) 1981年大阪生まれ。画家。さまざまな手法を使って作品を作り、すべてを絵ととらえている。風呂からパブリックスペースまで幅広く活動中。
キレイ:https://naohirogonda.tumblr.com/
風呂ンティア:https://frontier-spiritus.blogspot.jp/

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公式サイト:http://shiba-to.com/

権田直博(ごんだ・なおひろ) 1981年大阪生まれ。画家。さまざまな手法を使って作品を作り、すべてを絵ととらえている。風呂からパブリックスペースまで幅広く活動中。
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