人と鬼とのギャップで魅せ、会心の一打……宙組・鷹翔千空主演作『酔いどれ御免!』が開幕

16時間前

平安時代、大江山に棲んでいた鬼の頭領・酒呑童子が、清次郎の身体を乗っ取り江戸に現れる。迫力あるビジュアルで熱演する鷹翔千空

(写真5枚)

入団12年目の宝塚歌劇団宙組男役スター・鷹翔千空(たかと・ちあき)の東上初主演作、『寛政御伽草子「酔いどれ御免!」』が、11月6日に「梅田芸術劇場シアター・ドラマシティ」(大阪市北区)で開幕した。

鷹翔の大舞台初センターを祝うかのような、めでたさ満載の「隅田川花見」で華やかに幕を開ける本作。酒呑童子の伝説をベースに酒を巡る大騒動を描いたファンタジーな時代劇だ。

日本舞踊尾上流四代家元・尾上菊之丞が振付スタッフに加わり、歌舞伎や落語の趣向も散りばめて、最後まで観客を惹きつける。耳に心地よいナンバーが満載で、宙組生のポテンシャルの高さが際立つ快作となっている。

鷹翔は大人の色気をナチュラルに放つ落ち着いた個性に加え、2025年9月から上演された『PRINCE OF LEGEND』の生徒会長王子・綾小路葵で見せたような、抜群のコメディセンスまで持ち合わせる男役。

そんな幅広い魅力を引き出そうと、作・演出の菅谷 元が彼女に当てたのが、二役を担うキャラクター。江戸時代後期、造り酒屋「峰屋」の番頭でありながらお酒が飲めない下戸の清次郎の身体に、酒呑童子が乗り移って大暴れする。

形相や口調まで変わる芝居、節回しがなめらかな清次郎の歌から、酒呑童子の和製ロック的な力強いナンバーまで披露し、実力をいかんなく発揮している。

浅草一の男前と評判の清次郎が町娘たちに追いかけられ戸惑っている横で、峰屋の娘・おみきが機転を利かせる。お人好しで控えめな清次郎に惹かれているおみきを、勝気な面も愛らしく変換して演じるのは風羽咲季(かざはね・さき)。

粋でいなせな色男に変貌していく清次郎に戸惑いつつ、おみき(風羽)は祭りを一緒に楽しむ
粋でいなせな色男に変貌していく清次郎に戸惑いつつ、おみき(風羽)は祭りを一緒に楽しむ

そのおみきと対等にあるのが、吉原一の酒豪と言われる花魁の白菊花魁。花恋(かれん)こまちが、白菊の大人びた妖艶さを仕草でも表しながら、実は平安時代に酒呑童子と深い関わりのあった茨木童子という本性の面も情感たっぷりに演じる。

清次郎(鷹翔)は、「魔性の美しさ」と称えられる吉原の白菊花魁(花恋)に呼び出される
清次郎(鷹翔)は、「魔性の美しさ」と称えられる吉原の白菊花魁(花恋)に呼び出される

飲めない酒が飲めるようになった清次郎の働きで、傾きかけていた峰屋の商売は息を吹き返すが、「質素倹約」を進める老中・松平定信(真白悠希/ましろ・ゆうき)との対立もあり、清次郎は窮地に。

酒呑童子としての存在が大きくなってくると、一瞬「ジキル&ハイド」のように、清次郎として身体をもだえさせながら抗うシーンも。清次郎の、峰屋の未来はどうなるのか――。やがて時空を超えた大決戦へとなだれこむ。

松平定信を演じる真白の確かな威厳、田辺東馬役・鳳城(ほうじょう)のあんの柔和な佇まいが生む親近感。謎の山伏・丹山坊役で舞台を締める、専科の悠真倫(ゆうま・りん)の存在も大きい。

おみきの父と母を、叶(かのう)ゆうりと愛すみれが緩急の利いた芝居で見せるなど、江戸の町を生きる人々が舞台上に鮮やかに息づいている。本作で退団する久蔵役・聖叶亜(ひじり・とあ)の気風のいい芝居、佐吉役・志凪咲杜(しなぎ・さくと)のソロ歌唱も心に残った。

生粋の宙組男役としてキャリアを積んできた鷹翔千空。フィナーレでは和物ならではの色気を発揮!
生粋の宙組男役としてキャリアを積んできた鷹翔千空。フィナーレでは和物ならではの色気を発揮!

フィナーレは祭り色の強いナンバーから明るく始まり、着流し姿の鷹翔が登場すると一気にスターの輝きが場を支配する。切れ長の目が映える端正な鷹翔に、和のロックがピタリとはまっていた。手拭いを使った群舞も新鮮。ほろ酔い気分にさせる主題歌とともに、笑顔で劇場を後にしたくなる作品だ。

『酔いどれ御免!』は、同劇場で11月9日まで上演ののち、11月16日~11月23日に「KAAT神奈川芸術劇場」 (神奈川県横浜市)で公演をおこなう。11月8日16時公演はライブ配信を開催。

取材・文/小野寺亜紀

宝塚歌劇 宙組 シアター・ドラマシティ公演 寛政御伽草子 『酔いどれ御免!』

期間:2026年11月6日(金)〜9日(月)
会場:梅田芸術劇場シアター・ドラマシティ
料金:8000円
ライブ配信は11月8日(日)の16:00〜。4000円

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