「なぜ『ありがとう』と言わない?」生徒の鋭い感想に、西川美和監督や岡田准一が回答 大阪の高校で映画イベント

2時間前

映画『わたしの知らない子どもたち』のイベントにて、西川美和監督、小八重葵美、岡田准一(9月28日・大阪府豊中市)

(写真14枚)

映画『わたしの知らない子どもたち』の学校ティーチインイベントが9月28日、「箕面自由学園高等学校」(大阪府豊中市)で開催され、事前に映画を鑑賞した高校生約160人が、西川美和監督、主演の小八重葵美、岡田准一と作品について語り合った。

終戦直後の東京を舞台に、戦争で家族も居場所も失った12歳の少女・琴子が、生き延びるために少女であることを隠し、少年として生きる姿を描く同作。戦争を「遠い過去」としてではなく、今を生きる世代に問いかける作品として、西川監督が高校生たちの感想に耳を傾けた。

映画『わたしの知らない子どもたち』のイベントにて、西川美和監督、小八重葵美、岡田准一、箕面自由学園高等学校の生徒たち(9月28日・大阪府豊中市)
映画『わたしの知らない子どもたち』のイベントにて、西川美和監督、小八重葵美、岡田准一、箕面自由学園高等学校の生徒たち(9月28日・大阪府豊中市)

■ なぜ感謝の言葉を言わない? 高校生から鋭い感想も

生徒から寄せられた感想のなかでも、西川監督が「ハッとしました」と語ったのが、「いろんな大人たちが主人公を助けてくれたけど、本人は感謝の言葉を言ってないところ」というコメント。「複雑な心境のなか、主人公は何を考えているんだろう」と作品を通して考えたという。

映画『わたしの知らない子どもたち』のイベントにて、西川美和監督(9月28日・大阪府豊中市)
映画『わたしの知らない子どもたち』のイベントにて、西川美和監督(9月28日・大阪府豊中市)

この感想を受け、西川監督は「人にお礼を言えたり、『ごめんなさい』って言えたりするのって、多分精神的な余裕があったりしないと言えないこと」と説明。

「劇中の琴子はあらゆるものを奪われていってしまって、何か優しいことをされたりしてもその言葉を信じ切れなかったり、それに対して素直に『ありがとう』という風に反射的に出なくなっていたのかな」と、琴子の心情を振り返った。

さらに、「『ありがとう』ってなぜ言わないんだろうって思えるみなさんの心の豊かさを感じましたし、そうであってほしいなと思います」と高校生たちに語りかけた。

■ 13歳の小八重、戦争をどう学び役作りした?

現在13歳の小八重は、撮影前には広島を訪れ、原爆ドームや資料館を見学。また、戦争を経験した人から話を聞いたり、戦争を題材にした映画を観たりしながら役作りを進めたという。

「戦争について全然知らなかったから難しそうだなって思ってた」と振りかえり、「自分がもし実際にそうなったらどんな気持ちになるだろう」ということを考えながら琴子を演じたと明かした。

映画『わたしの知らない子どもたち』のイベントにて、琴子役の小八重葵美(9月28日・大阪府豊中市)
映画『わたしの知らない子どもたち』のイベントにて、琴子役の小八重葵美(9月28日・大阪府豊中市)

また、琴子は劇中で少女であることを隠して少年として生きるため、「歩き方とか姿勢とか、喋り方を男の子っぽくするのが、ちょっと大変でした」と役作りの苦労も告白。

岡田は「今日なんかちょっと女の子っぽいな、僕、初めてなんで(笑)」と、撮影時とは違う小八重の姿に驚いた様子だった。

映画『わたしの知らない子どもたち』のイベントにて、小八重葵美に「かわいい」と話す岡田准一(9月28日・大阪府豊中市)
映画『わたしの知らない子どもたち』のイベントにて、小八重葵美に「かわいい」と話す岡田准一(9月28日・大阪府豊中市)

■「若い世代に見てもらいたい」作品に込めた願い

この作品を作ろうと思った原点は、「戦争孤児のこと、私自身もよく知らなくて」という思いだったという西川監督。

戦争から81年が経ち、「若い人が見られる戦争映画が少なくなってる」と感じた監督は、資料を集め、戦争孤児の経験者にも話を聞きながら、作品を作り上げた。

「ぜひこの映画は子どもたち、小学生、中学生、高校生に見てもらいたいなと思って、そういう映画を作れるかチャレンジしてみようと思ったのがこの作品です」と語った。

最後に西川監督は、高校生たちに向けて「これからの未来を平和に保っていくのはこの学校のみなさんのような人たちだと思う」と呼びかけた。

映画『わたしの知らない子どもたち』のイベントにて、生徒からの質問に答える岡田准一(9月28日・大阪府豊中市)
映画『わたしの知らない子どもたち』のイベントにて、生徒からの質問に答える岡田准一(9月28日・大阪府豊中市)

岡田も「戦争というものが、ここまで優しくいろんな世代に見てもらえる映画はなかったんじゃないか」と作品を評し、未来を担う世代との対話に期待を寄せた。

映画『わたしの知らない子どもたち』のイベントにて、岡田准一の「結婚したい」発言に沸く生徒たち(9月28日・大阪府豊中市)
映画『わたしの知らない子どもたち』のイベントにて、岡田准一の「結婚したい」発言に沸く生徒たち(9月28日・大阪府豊中市)

映画『わたしの知らない子どもたち』は10月16日に公開される。

取材・文・写真/Lmaga.jp編集部

映画『わたしの知らない子どもたち』

2026年10月16日(金)公開

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