「えなりかず鬼」登場…悪趣味な宴にSNS震える【べらぼう】

2025.6.5 20:00

『べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~』第21回より。宴席で人に火縄銃を向ける遊びに興じる、松前藩主・松前道廣(えなりかずき)(C)NHK

(写真7枚)

江戸時代のポップカルチャーを牽引した天才プロデューサー・蔦屋重三郎の劇的な人生を、横浜流星主演で描く大河ドラマ『べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~』(NHK)。6月1日の第21回「蝦夷桜上野屁音」では、田沼意次がいろいろポテンシャルの高い蝦夷地を、幕府のものとするために動き出す。しかしそこで、一橋治済と並ぶ化け物キャラが登場し、SNSを震え上がらせた。

■ 蝦夷の天領化に立ちはだかる壁…第21回あらすじ

工藤平助(おかやまはじめ)の書いた『赤蝦夷風説考』を通じて、蝦夷(北海道)に豊かな資源があることと、ロシアが交易を求めていることを知った田沼意次(渡辺謙)は、蝦夷を幕府の天領にすることを思いつく。その調査をはじめた意次の嫡男・田沼意知(宮沢氷魚)は、蝦夷を治める松前藩の元藩士から、藩主・松前道廣(えなりかずき)の残虐性と同時に、ご禁制の「抜荷」をおこなっているという情報を得る。

『べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~』第21回より。(C)NHK
『べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~』第21回より。将軍・徳川家治(写真右、眞嶋秀和)に蝦夷地について相談する老中・田沼意次(写真左、渡辺謙)(C)NHK

将軍・徳川家治(眞島秀和)から松前藩の領地の没収と、天領にする許可を得た意次は、抜荷の証を突きつけることでそれを実現しようとするが、意知が抜荷の取引の場を記した絵図を探すと申し出る。そこに吉原の女郎・誰袖(福原遥)から、意知宛に文が届く。吉原を訪れた意知は、誰袖が吉原に出入りする松前藩の人間や商人たちの情報を集める代わりに、自分を身請けしてもらいたいという提案をされた・・・。

■ 一橋治済を上回る「サイコパス」が登場…!

一橋治済(生田斗真)が謀略の限りを尽くし、すっかり不穏な要素しかない場所となっている幕府パート。そのためかSNSも、治済がなにかをやらかしたとき以外は、なかなかツッコミを入れづらいというのが現状のようだ。しかし今回は新しいサイコパスキャラの投入や、そのサイコパスすら上回りそうな小悪魔の暗躍のため、久々に盛り上がりを見せていた。

『べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~』第21回より。(C)NHK
『べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~』第21回より。松前藩の江戸屋敷での宴で楽しむ一橋治済(生田斗真)(C)NHK

まず田沼意次が、金銀の発掘が期待されるという蝦夷に目をつけたところで、早速SNSでは「北海道でゴールドラッシュ狙うって江戸時代ゴールデンカムイの始まりかな?」「金カムの香りがしてきた」など、某漫画のプロローグのような展開に盛り上がると同時に、平賀源内(安田顕)もそんな話をしていたと意次が語ると「平賀源内のDNAが江戸城で蝦夷地開拓計画に結実」「構想が死後にグイグイ理解されていくの切ない」と、久々に源内を偲ぶ声が。

■ 「悪趣味な宴選手権優勝」暴君っぷりに震撼

そのために、蝦夷を幕府の領地「天領」にするという計画を進めはじめた意次だけど、この当時の蝦夷は外様大名・松前家が治めていた。それって映画『引っ越し大名!』みたいに、国替えさせることはできないの? と思ったけど、国替えがさかんに行われたのは江戸時代の初期のこと。領民が行政トップの入れ替わりに反対するケースが多かったようで、この時代にはめったなことでは国替えができないようになっていたのだ。

『べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~』第21回より。(C)NHK
『べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~』第21回より。宴席で人に火縄銃を向ける遊びに興じる、松前藩主・松前道廣(えなりかずき)(C)NHK

しかも運が悪いというか、この時の松前家の当主は、歴代当主のなかでも飛び抜けてクセ強な松前道廣。幕府に反抗的な大名や学者と交流するわ、吉原で豪遊するわ、ロシアやアイヌ相手にケンカ売るわと、ちょっと生まれる時代を間違えた感のある「べらぼう」な人物だ。その道廣の初登場は、ミスをした家臣の妻を、火縄銃の標的にして酒宴の趣向にするという、まさに悪趣味ここに極まれりなシチュエーションだった。

これにはSNSも「松前道廣が絵に描いた暗君で吹いた」「悪趣味な宴選手権優勝でしょこれ」「60年代頃の昔の劇画に出てくる悪い殿様そのまんま」「忘八が霞むレベルで忘八」という悲鳴が上がり、さらに一橋治済も同席していたことで「生田斗真あかん、とか言ってたらもっと頭おかしいえなりかずき来た」「ここと一橋が組んでたら田沼に勝ち筋なくない?」「何で意次に敵対する人たちはこんなに物騒なんだよ」と、意次への同情の声も見られた。

■ 「えなりかず鬼」…国民のイメージ覆す怪演

この松前道廣を演じるのが、子役時代から「いい人」系の役を請け負うことが多かったえなりかずき。このパブリックイメージを完全にくつがえす怪演ぶりに「自分の知ってるえなりくんじゃない」「渡る世間は鬼ばかり過ぎて本当に鬼になってしまったえなりかずき、良い目をしている!」「えなりかずきさんの笑顔がこんなに怖いと思う日が来るとは・・・」「悔しいがサイコパス感が最高だ!!」「えなりかず鬼」など、その変貌ぶりを怖がるような喜ぶようなコメントが上がっていた。

『べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~』第21回より。(C)NHK
『べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~』第21回より。花魁・誰袖(福原遥)から大文字屋に呼び出された田沼意知(宮沢氷魚)(C)NHK

相手がこんな人でなしで、しかも輪をかけて人でなしな一橋治済がバックに付いてるとか、もう田沼親子に勝ち目ないんじゃね? と思っていたら、思わぬところから救いの女神が現れた。それが重三郎にぞっこんの花魁・誰袖だ。

第19回では危篤の大文字屋市兵衛(伊藤淳史/2代目として続投おめでとう!)に、自分の身請けの証文を無理やり書かせるという驚きの行動に出て視聴者をドン引きさせたが、なんと「花雲助」と名を変えて吉原に来た意知に、ひと目でフォーリンラブしてしまった模様。

これにはSNSも「あっ!? 誰袖ちゃん今トゥクンした!? 花雲助に!?!?」「もしかして田沼息子をロックオンした?」「人が恋に落ちる瞬間を初めて見てしまった・・・」「遂に蔦重に痺れを切らして、ビビッと来た意知に荷抜の証拠を土産に鞍替えか」「横浜流星の次は宮沢氷魚か。分かりやすいぞ」「涼しげで上品な顔立ちのイケメンが好みなんだな」「オトコ見る目が高い」などの冷やかしのような声が。

■ 恋に落ちた誰袖、大胆な交換条件を提示

そして雲助(多分身バレしてない)が、蝦夷のことについて調べているらしいと察し、自分がスパイをする代わりに、身請けをして欲しいという、なんとも大胆な交換条件を突きつけた! 相手が求めているものを瞬時に理解し、どんな行動をすればそれを叶えつつ、自分の利にもなるのかまで計算できる。瀬川(小芝風花)とタイプは違うけど、やはり花魁にのし上がれる女性は、頭が良いのが必須条件なのだと再認識させられた。

『べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~』第21回より。(C)NHK
『べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~』第21回より。狂歌を詠む大文字屋の二代目主人・大文字屋市兵衛(伊藤淳史)と花魁・誰袖(福原遥)(C)NHK

この誰袖のアプローチには「蔦重大好きなお騒がせギャルの皮を被った陰謀大好き知略派だったってこと? なんてことだ。今に平気で暗殺とか始めるかもしれん」「知恵は回るんだろうが・・・地雷原にわっちならいけるって突っ込んでいきそうな怖さが」「鼻がきき賢く、欲強いがゆえに渡るのか。この地獄の橋を」「誰袖、したたか→純愛に目覚める→地獄の入口・・・ですね、わかりますよ森下さん」という、この先の不安を感じるようなコメントがあふれていた。

『べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~』第21回より。(C)NHK
『べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~』第21回より。花魁・誰袖(福原遥)を見つめる勘定組頭・土山宗次郎(栁俊太郎)(C)NHK

史実では、誰袖は彼女を敵娼(あいかた)とする土山宗次郎(栁俊太郎)に、瀬川を上回る金額で身請けされるはずなので、ここはサラリと意知が断って史実ルートへと向かうのか? それとも「地獄上等」な脚本家・森下佳子がなにか一工夫を凝らして、この2人の間にしんどいフィクションを突っ込んでくるのだろうか? そしてなにかと自分につきまとってくる誰袖に手を焼いている風だった重三郎、彼女がほかの男に夢中になってホッとするのだろうが、意外と焼き餅を焼いたりして・・・この反応も楽しみである。

大河ドラマ『べらぼう〜蔦重栄華乃夢噺〜』はNHK総合で毎週日曜・夜8時から、NHKBSは夕方6時から、BSP4Kでは昼12時15分からスタート。6月8日の第22回「小生、酒上不埒(さけのうえのふらち)にて」では、誰袖に身請けを迫られた田沼意知の行動と、重三郎が断筆宣言をした恋川春町(岡山天音)を説得しようとする姿が描かれる。

文/吉永美和子

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