奈良「道の駅」に…平日にも人だかりのワケ、いちごの聖地化?

開店と同時に、客が古都華の商品棚をぐるりと囲い、まとめ買いする人や配送手続きを済ませる人も
鹿や大仏さま…いわゆる多くの人が想像する奈良の中心地から、少し離れた生駒郡平群(へぐり)町にある「道の駅」が、何やら賑わいを見せている。少し辺鄙でもあるこの地に、なぜ?仕掛け人に話しを聞いた。
■ 多い日は朝イチで500人が行列!?
近鉄平群駅から徒歩約10分、国道168号線沿いにある「道の駅大和路へぐり くまがしステーション」。ここでは、道の駅では異例のごとく、奈良のブランドいちご「古都華」で溢れている。2011年に奈良県が品種登録したもので、酸味と甘みのバランスが取れた甘すぎず爽やかな味わいと花のような豊かな香りが特徴。平群町はこの古都華の栽培面積1位を誇っている。
取材班は、同道の駅がオープンする8時半を10分後に控え現場に到着。古都華など産地直送の農産物が並ぶ「とれたて市」の前にはあれよあれよと列が伸び、平日にもかかわらずオープンするころにはおよそ20人に。聞くところによると、毎年この時期の週末は100人から多い日は200人が朝イチで列を作り、過去には500人もの行列になったことも。そのほとんどの客のお目当てが古都華だというから驚きだ。

売り場に足を踏み入れると、文字通り「古都華だらけ」の売り場が。生産者さんごとにファンがいるようで、「○○さんのいちご、もうすぐ売り切れます!」などの声掛けが平日でも売り場に響き、この日は午前中でほとんどが売り切れに。週末や祝日などは、複数回にわたって生産者さんが追加納品。それを知る常連客らは「午後の部の追加待ち」としてこれまた行列ができるそうだ。
■ 「お客さまの満足度を上げるために」

「生産・加工・販売を掛け合わせた『古都華の六次産業化』を進めている」と語るのは、「古都華だらけ」の道の駅を創ってきた仕掛け人・同道の駅所長の中山悟(さとる)さん。就任したばかりの2020年に古都華ピューレの開発に着手。それを使ったお菓子作りを地元企業に呼びかけ、「古都華ポップコーン」(378円)や「古都華ぷりん(箱入)」(864円)など17品目を生み出した。
中山さんは取材中に何度も「お客さまの満足度を上げるために」と口にする。就任後、約5年の間で売店で取り扱う商品はゲストの声をもとにおおよそ半分を入れ替えた。

この道の駅では、「とれたて市」以外も古都華であふれる。施設内のレストラン「hanana」では、数量限定の「古都華サンド」(800円)のほか、古都華26粒を使った全長約30センチの特大「古都華パフェ」(2800円)が提供され、いちご好きたちで連日満席。施設外の「できたてスイーツ工房」では「古都華シェイク」(580円)や「古都華ソフト」(600円)なども販売中だ。

名物の「古都華パフェ」には毎年手を加え、今も進化中。「古都華ミニパフェ」は、「古都華パフェはなかなか予約が取れない」などの声を受けて予約なしで気軽に食べられるパフェとして2023年から本格的に販売をスタートさせた。

■ 道の駅内の加工室で作る「ジャム」も好評
そのほか、敷地内では、さまざまな古都華メニューを扱う地元事業者が出店。取材当日は、平群の素材を使ったピザを提供するキッチンカー「RISAの石窯ピザ」で「古都華イチゴとクリームチーズのフルーツpizza」(900円)が香ばしい香りを漂わせる。さらに手作り古都華スイーツが楽しめる「ミルフレーズファーム」ではカスタード生クリームに古都華ジャムをその場でインして提供する「古都華パイ」(400円)…と、道の駅一体となって古都華の魅力を発信している。

施設自体の広さを活かしてオリジナル商品の製造も。古都華製品のなかでもとくに人気の「まほろば古都華ジャム」(650円)は同道の駅内の加工室で作っているといい、取材当日も売り切れ。これらの取り組みを通して2020年からの2年間で全体の売り上げが約2倍に。今では、全体の70%以上が県外から足を伸ばして「わざわざ」訪れる客だという。

中山さんは、「地域の活性化は、人と人とのつながり。平群の生産者さんだけでなく、古都華加工品の製造・販売は多くの地元の人たちにかかわっていただいて実現できた。古都華は奈良県のブランドイチゴ。この地域ぐるみの取り組みが『平群モデル』として県全体に広がっていくことを願っている」と語る。
道の駅の営業時間は、朝8時30分から夕方5時まで。「古都華サンド」「古都華パフェ」「古都華ミニパフェ」は、フレッシュイチゴが最も美味しく提供できる例年1月から4月上旬ごろまでの期間限定。そのほかメニューや菓子類は売り切れでないかぎりは通年楽しめる。
取材・文・写真/宮口佑香
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