岡田将生が語る『ゆとり』の魅力「読み物としてちょっと別格」

2023.10.15 20:30

映画『ゆとりですがなにか インターナショナル』主演の岡田将生(左)と水田伸生監督

(写真7枚)

◆「宮藤さんの脚本は『ト書き』がない」(岡田)

──本作はもちろん、ドラマのときから宮藤さんの脚本には毎回唸らされますが、おふたりにとって宮藤官九郎の脚本というのはどういうものなんでしょうか。

岡田「読み物として本当に面白いんですよ」

──それは、ほかの脚本とはまったく違う?

岡田「全然違いますね。誰が書いたかわからない脚本を10冊渡されたとしても、どれが宮藤さんが書いたものか分かるぐらい、読み物としてちょっと別格ですね」

監督「全然違う。格付だったら、GACKTじゃなくても当てられる(笑)」

岡田「ほんと、そうですね(笑)」

──それぐらい面白いんですね。

監督「演じる前に読んで笑わせたいという、ものすごいサービス精神の塊のような脚本なんです。実はそこに落とし穴があって。本の通りに撮ってしまうと面白いシーンが続きすぎて、緩急がなくなってしまう。宮藤さんとは何度か一緒に仕事をしているので、そのあたりが分かっていて。撮影前にいくつかオチを切らなきゃいけない。編集でやろうと思ってもそうはいかないから」

『ゆとりですがなにか インターナショナル』予告

──面白くて切れなくなってしまうからでしょうか?

監督「というより、演じる側は最後のオチに向かって演じていますから、途中でブチっと切っても尻切れトンボになるだけなので。すべてのシーンがひとつの作品のために存在していて、それぞれ役割がある。その役割をこちらが見極めて作らないといけないんです」

──面白い脚本であっても、ジレンマもあるんですね。

監督「ピークが連続するとフラットになりますよね。やはりアップダウンがないと」

岡田「あと、宮藤さんの脚本は『ト書き』がないんですよね」

監督「そうなんです。いわゆる、シーンや状況の説明がないんです」

岡田「場所は書いてありますが、基本的には会話しかないので、どう動こうが自由なんです。ほとんどの脚本には、『ここで立ち上がる』など動作が書いてあるんですが、宮藤さんの脚本にはないので役者も無限に考えられるんです」

坂間正和(岡田将生)&茜(安藤サクラ)ら、坂間家ファミリー ©2023「ゆとりですがなにか」製作委員会

──指示された通りに動くのではなく。

岡田「しかも、連続ドラマを経ているので、脚本を読んでいると『みんなこうやって動くかな? ああやって動くかな?』と考えるのはもちろん、予想外の動きをされても『そうくるか! じゃあこうしよう』というセッションが毎回楽しめるという」

監督「じゃあ、酒蔵のシーンで3人が集まったら、このあたりで話すだろうなって読めてるんだ?」

岡田「なんとなく、ここだろうなって思ってます」

監督「へえ、そうなんだ(笑)」

岡田「酒蔵と言っても、何パターンもありますが、ここでやりたいという思いもあって。連続ドラマのときに、安藤サクラさんと『わー』って言いながら酒蔵のなかを走り回るシーンがあったんですけど、こんなに自由なんだと感じて(笑)。そこから一気にそういう考え方にシフトチェンジしていった気がします」

監督「あのシーンは『映らなくていいから』と言ってね。『わー』って声だけ聞こえたらいいと(笑)」

岡田「今までの自分の撮影スタイルにはまったくなかったことだったので、そういう枠のようなものに捉われなくなりました」

映画『ゆとりですがなにか インターナショナル』

2023年10月13日(金)公開
脚本:宮藤官九郎
監督:水田伸生
出演:岡田将生、松坂桃李、柳楽優弥、安藤サクラ、仲野太賀、吉田鋼太郎、ほか
配給:東宝

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