奈良「正倉院展」がいよいよ開幕、年に一度の開封の儀も実施

2023.10.7 08:30

開封の儀を執り行うため、勅封で管理された正倉院宝物を納める西宝庫内へ入る様子(10月4日撮影)

(写真7枚)

「宮内庁正倉院事務所」(奈良県奈良市)で10月4日、天皇の勅使(ちょくし)立ち会いのもと、聖武天皇(701年~756年)ゆかりの「正倉院宝物」を納める西宝庫の「開封の儀(かいふうのぎ)」が執りおこなわれた。

■ 『正倉院展』開幕間近に…年に一度の儀式

午前10時頃、正装姿の正倉院事務所・飯田剛彦所長が先導し、勅使の松永賢誕生(さとのぶ)侍従、東大寺の橋村公英(こうえい)別当、奈良国立博物館の井上洋一館長らの行列が玉砂利を歩いて宝庫前に到着。口や手を清めてから宝庫内へ入り、北倉・中倉・南倉各扉(6つの部屋)に付けられた勅封の巻かれた麻縄を切り、海老錠(えびじょう)を解いた。

この儀式を終えると、いよいよ古都奈良の秋の風物詩として知られる『正倉院展』(第75回正倉院展は奈良国立博物館で10月28日から)開幕が間近に迫り、本格的な秋の到来を迎える。

約1300年間、天皇による勅封(ちょくふう)管理され、奇跡的な保存状態で守り伝えられてきた約9000件に及ぶ正倉院宝物。再び宝庫が封じられる「閉封の儀(へいふうのぎ)」(11月30日)までの約2ケ月間、同事務所の職員によって、一点一点すべて点検や調査がなされ、防虫剤の交換などがおこなわれる。

この開封期間中、保存状態の良い一部の宝物(今年は初出陳6件を含む、合計59件)が約2週間だけ一般公開されるのが『正倉院展』だ。

■ 屈指の名宝や歴史上最高峰の鏡、ユニークな宝物も

南倉70 平螺鈿背円鏡(宮内庁正倉院事務所提供)

75回目となる今回『正倉院展』の注目は、「奈良国立博物館」のサイトで「天平期における国家最高の宝物」と紹介された「九条刺納樹皮色袈裟(くじょうしのうじゅひしょくのけさ)」。聖武天皇の遺愛品目録である『国家珍宝帳(こっかちんぽうちょう)』の筆頭に掲げられた袈裟(けさ)で、仏教を篤く信奉した聖武天皇を象徴する正倉院屈指の名宝だ。

ほかにも、毎年話題を集めるポスターなどを飾る煌びやかな宝物として、今年は、アワビ貝で美しく装飾された螺鈿(らでん)飾りの四弦琵琶「楓蘇芳染螺鈿槽琵琶(かえですおうぞめらでんのそうのびわ)」やサイトで「歴史上最高峰の鏡のひとつ」と紹介された「平螺鈿背円鏡(へいらでんはいのえんきょう)」が出陳される。

また、一見すると本物のスッポンか!?と驚くような「青斑石鼈合子(せいはんせきのべつごうす)」という蓋ものなど、ユニークな宝物も。

同展は「奈良国立博物館」にて、10月28日から11月13日まで開催。今年は、開館時間を1時間繰り上げて朝8時~夕方6時、金・土・日曜日、祝日は午後8時まで(入館受付は閉館60分前まで)、料金は一般2000円ほか。チケットは、事前予約制の「日時指定券」の購入が必要。

取材・文・写真/いずみゆか

第75回 正倉院展

期間:2023年10月28日(土)~11月13日(月)
時間:8:00~18:00(金・土・日曜日、祝日は20時まで) 
※最終入館受付は閉館60分前まで
休館日:会期中無休
入館料:一般2000円、高大生1500円、小中生500円 ※事前予約制の日時指定券が必要
(奈良国立博物館チケット売り場での当日販売無し)

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