発声は「ラテン語のみ」OK!? 兵庫で前代未聞の応援上映

2023.9.9 21:30

兵庫・尼崎にあるミニシアター「塚口サンサン劇場」(提供:塚口サンサン劇場)

(写真4枚)

声出しOKの「応援上映」を、関西でいち早く取り入れた映画館「塚口サンサン劇場」(兵庫県尼崎市)。9月には、ラッセル・クロウ主演『ヴァチカンのエクソシスト(以下ヴァチクソ)』の応援上映が決定したが、一部の回には「日本語NG、ラテン語のみOK」という謎の縛りが・・・なぜこんな前代未聞の設定を!? 同劇場の戸村文彦さんを直撃した。

取材・文/吉永美和子

●「思った以上の反響に、少し驚いております」

映画『ヴァチクソ』は実在したエクソシスト、ガブリエーレ・アモルト神父(クロウ)が、新米神父のトマース(ダニエル・ゾヴァット)とともに、子どもに取り憑いた強大な悪魔に立ち向かうホラー映画。

──『ヴァチクソ』は私も拝見しましたが、とにかく単純に胸熱になるし、応援したくなるような作品です。ちなみに応援上映をする作品を選ぶ際には、なにか基準があるんですか?

具体的になにかあるというわけではなく、感覚的になるのですが、お客さま共通の「盛り上がるポイント」があるかどうかを、ひとつの基準にしております。「わかりやすい」が一番ですね。

──確かに『ヴァチクソ』は、その辺りが明確です。しかしこの「発声はラテン語だけ」という縛りは、ラテン語が物語の重要な鍵だということに加えて、なにか狙いがあったのでしょうか。

応援上映のような「参加型上映会」は、お客さまがどれだけその作品の一部になれるか? が大事だと思っています。当日楽しむのはもちろんですが、そこに至るまでにすでに始まっている状態にしたかったのです。トマース神父がラテン語を覚えたのと同じ状況を観客が体験することで、よりいっそう没入感が増すのではないかと考えました。

応援上映のほか「マサラ上映」や「花火大会」など、これまで数々のユニークな企画をおこなってきた「塚口サンサン劇場」(提供:塚口サンサン劇場)

──なるほど、アモルトをアシストするために、必死でラテン語の祈りを覚えたトマースの気分を、疑似体験できるわけですね! 実施発表後の反応はいかがですか?

思った以上に反響があって、少し驚いております。「ハードルが高い」「レギュレーションが斜め上」「ラテン語の試験のようだ」などの声がありました。

●「抑制されていた感情が、表に出てきている感じ」

──「塚口サンサン劇場」さんはコロナ禍の間も「無発声応援上映」などで、参加型上映会の文化を継続してきましたが、最近のお客さんの楽しみ方は変化してきているのでしょうか?

コロナ禍で抑制されていた感情が、徐々にですが表に出てきている感じはします。ただ無発声応援上映でも、お客さまは限られた範囲のなかで独自の楽しみ方をされていました。最近は特に、今まで以上に映画館に「体験」を求めていると感じています。これまでのやり方を基本にして、そこになにかひと手間、ひと工夫を加えていかなければならないと思っています。

「映画館はもっとも身近なテーマパーク」とのテーマを掲げる「塚口サンサン劇場」(提供:塚口サンサン劇場)

──『ヴァチクソ』応援上映はすでに東京でもおこなわれていわれていますが、同劇場ならではのひと手間は、ほかにもなにか考えていますか?

今のところ、上映前の前説をラテン語でやることは決まっています

──それはご健闘をお祈りします。それでは最後にお客さんへのメッセージを・・・ラテン語でお願いします!

みんなの心をひとつにして、戦うように楽しんでください! Spero te frui(楽しんでくれることを祈ってます)!

『ヴァチカンのエクソシスト』の劇中シーン(提供:塚口サンサン劇場)

『ヴァチカンのエクソシスト』発声可能応援上映は、9月16日(夜7時40分)・23日(時間未定)に実施。16日は日本語NG・ラテン語のみOKで、カンペ、単語帳、辞書(電子辞書はNG)の持ち込みは許可されている。23日は通常の応援上映なので、ラテン語で楽しめる自信がない方は、こちらに参加してみては。16日のチケットは一般1900円ほか、9月12日の0時から発売開始。

『ヴァチカンのエクソシスト』発声可能応援上映

日時:2023年9月16日(土)※9月23日(土)は通常の応援上映
会場:塚口サンサン劇場(尼崎市南塚口町2-1-1-103)
料金:一般1400円、シニア1200円、大学1300円、高校1000円、中学・小人800円

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