本が濡れたら「凍らせる」? 紙のプロが教える意外すぎる対処法

2023.4.15 09:00

ノートが濡れたら…「乾かす」じゃなく「冷凍」!?

(写真3枚)

急に降ってきたどしゃ降りの雨。なんとか帰宅したものの、カバンに入っていたノートはびしょ濡れ。ドライヤーで乾かしたりタオルで包んだりと応急処置を試みるも、大抵の場合は波打った状態になってしまう・・・。そんな経験はないだろうか?

そんななか、とある会社がツイッター上で紹介した対処法が注目を集めている。「今日の雨でノートを濡らしてしまったら・・・・・・冷凍してください!」からはじまるツイートには「(1)表面の水分をタオルでとる(中をめくっちゃダメ)」「(2)ジップロックに入れて口を開けたまま24時間冷凍」「(3)取り出して軽く振って霜を落とし、ペーパータオルにはさみ雑誌でプレス(1~2日)」といったメソッドが紹介されており、「冷凍させる」というまさかの方法に驚きの声が続出している、

投稿したのは、主にノートを扱うメーカー「大栗紙工」(大阪市生野区)。なぜ濡れたノートを凍らせるのか、どういった仕組みなのか? 1930年の創業以来、紙製品を製造・販売する「大栗紙工」の取締役・大栗さんを直撃した。

■ 特殊すぎる…凍らせるワケは「乾燥」?

──ツイートでは、今回紹介されている方法を実践した動画も投稿されています。なぜ凍らせることで、ノートが復活するのでしょうか?

濡れたノートを凍らせることで、紙に含まれた水分を蒸発させ乾燥させます。紙の波打ちは、濡れると伸び、乾く際に縮むという紙の性質によって起きるので、乾く前に水分を蒸発させることで防ぐことができます。少し特殊な方法ですが、図書館に務めている方もこれに近い手法で本を修復していると聞いたことがあります。

──ジップロックの口を開けたまま凍らせるというのは、何故なんでしょうか?

ジップロックに入れるのは、冷凍庫内にある食料などのニオイ・汚れ移りや紙が張り付くのを防ぐ狙いがあります。その際にジップロックの口を閉めてしまうと、凍った水分が出所をなくし、乾燥しにくくなってしまうためです。

──なるほど。ちなみに、本やマンガが濡れた際でも使えるやり方なのでしょうか?

紙によって向き・不向きがありますね。例えば、片面だけコーティングされているような紙だと水の抜け方が変わり、丸まってしまう可能性もあります。ただ、ノートや教科書や文庫本など大抵の場合は同じようなやり方で乾燥させられるはずですよ。

──普通の本でもOKなんですね。その場合、凍らせる時間も長くなるのでしょうか?

24時間というのは、ノートや文庫本の場合です。雑誌などもう少し分厚い冊子の場合はその分時間がかかりますし、なかに紙をはさんで水分を取るなど手をくわえる必要があります。凍らせる時間は冊子の厚みや濡れ具合にもよりますし、凍らせる前に水分をできるだけとっておくことが大事です。

反響を呼んだツイート

──コーヒーやお茶など、色のついた液体をこぼした場合の対処法も気になります。

こちらもツイッターを管理している担当者が実際に試し効果があった方法ですが、コーヒーと醤油などをこぼした場合は漂白剤を使ったやり方をおすすめします。台所用やお風呂用の、薄めた塩素系漂白剤をティッシュに含ませ、汚れた箇所をトントン叩きます。

汚れが全体にわたる場合は、1/3程度まで水を張った洗面器に洗剤を15プッシュほど落とし、軽くつけながら振り洗いします。洗剤を水ですすいだあとは、同じやり方で乾燥させましょう。

ただし、麦茶や薄くなる・緑茶は変色するだけという結果になったので限界はあるようです。また、ノートの罫線が消えてしまうといった影響もあるので、どうしても気になる汚れの場合におこなうことをおすすめします。

コーヒー染みもまるで新品のように…!
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