■ 「誰よりも自分が楽しみたいから」

──今回の作品はメインビジュアルからして、どこかジャンキーな香りが漂ってくる作品となっていますね。脚本・演出も担当されますが、作品のインスピレーションはどこから？

実は今回、ちょっと変わった作り方をしていて。アメリカのとあるサスペンス映画に出てきたワンシーンが何年も忘れられなくて。「このシーンでいつか舞台をやりたい」とずっと思っていたんです。

じゃあそのシーンをするためにはどんな物語を作ればいいだろう？ と（逆算方式で）前と後ろを作って･･･と、物語の頭から順に作っていく僕のなかでは珍しい作り方をしましたね。

──「ＣＵＥ ＤＩＡＲＹ（事務所のホームページ上のブログ）」にも「細工は流流仕上げを御覧じろ」と、何やら挑戦状のような言葉を綴られていたので気になっていました。

なにせ２０２０年の年末には脚本ができていたので、万全の状態で稽古が始まったと思っていたんですが･･･。いざ始まってみると、脚本の手直しに没頭してしまって。そもそもなぜこのプロジェクトをやるのか？ と考えると、「誰よりも自分が楽しみたいから」なんですよね。

──定期的に来る戸次さんにとっての「お楽しみ会」みたいな感じですか？

そう言うと自己満足的に捉えられそうで怖いですが、間違っていないです。ありがたいことに僕のワガママに是として付いてきてくださるお客さまがいらっしゃるので、僕としてはキャストやスタッフも含め、「みなさまありがとうございます」という気持ちなんです。もちろん満足してもらうために責任感を持ってやっています。でもそれを上回る勢いで楽しんでやる自分がいるという（笑）。