女優・三浦透子、初単独主演映画は「一緒に考えてみてほしい」

2022.12.24 20:00

今もっとも注目を集める女優・三浦透子

(写真10枚)

2021年の出演作『ドライブ・マイ・カー』(濱口竜介監督)は、『第94回アカデミー賞』で作品賞・脚色賞を含む計4部門にノミネートされ、国際長編映画賞を受賞し、世界的評価を獲得。また、大河ドラマ『鎌倉殿の13人』では義経の正妻・里役をつとめ、さらには現在放送中のドラマ『エルピス−希望、あるいは災い−』ではヘアメイク・チェリーさんを演じる、今もっとも注目を集める女優・三浦透子。

そんな彼女が映画『そばかす』にて、初の単独主演を果たす。他人に恋愛感情を抱かない(アセクシャル)30歳の主人公・蘇畑佳純が、チェリストになる夢を諦めて実家に戻り、コールセンターで働きながら単調な毎日を過ごすなかで、周囲と向き合いながら自分自身を見つめ直していく物語だ。メガホンをとったのは、劇団「玉田企画」を主宰する玉田真也監督。その作品について、三浦透子に話を訊いた。

取材・文/ミルクマン斉藤 写真/バンリ

◆「『そのままで良いんだよ』というメッセージ」

──今、まさに映画、テレビと八面六臂の活躍という言葉が相応しいと思うのですが。今回の作品は今まで演じられたことが無いタイプのキャラクターですよね。というか、日本映画ではまだまだ触れられていない部分を扱った作品で。

アセクシャルの女性を主役にした作品というのがほとんどないので。そういった意味で、新しい作品であったとは思います。

映画『そばかす』©2022「そばかす」製作委員会

──でも、作品のなかでは一言も「アセクシャル」という言葉は使ってませんよね。これは意図したものだと思うのですが。

はい、意図的です。この映画でいちばん伝えたいところは、「あなたは女だから、男だから」とか、「こういう仕事をしている人だから」とか、「何歳だ」とか、そういうラベルで見るんではなくて、個人とちゃんと向かい合いましょう、ということ。そのやさしさが人を救う。隣の誰かを救うコミュニケーションに繋がるんだということなので。

もちろん、佳純自身が自分のセクシャリティも含めて悩んでいるからというのもありますが、ただそれだけじゃなくって。完全に佳純とは一致しないけれど近いところがあるなと感じるような、間にいる人たちの心も救いたい、という思いもあるんです。

佳純自身も定まっていない複雑さというものがあるわけで、「明確に線を引くようなことはしなくて良いんじゃないか、そのままで良いんだよ」というメッセージを伝えるために敢えて使っていないところがあります。

──それこそまさに、多様性というものですしね。佳純という人間は個々の男性や個々の女性に対して、しっかりと1対1で向き合いますよね。

佳純の成長の話ではありますけど、個人と向き合うことのできる強さは、最初から一貫して持っているという印象はありました。

佳純役の三浦透子(左)と真帆役の前田敦子 ©2022「そばかす」製作委員会

──そこにはいろんな人が関わってきて、例えば一番大きい存在が前田敦子さん扮する元AV女優の真帆だと思うんですが、三浦さんと前田さんとのコンビネーションが実に良い。2人だけでいる空間に爽やかな風が吹いているというか。特に夜のキャンプの一連のシーンなんて素晴らしいと思うんですけれども。前田さんとは初めてですか?

映画『素敵なダイナマイトスキャンダル』(2018年・冨永昌敬監督)という作品でご一緒させていただいるんですが、そのときは共演シーンがなかったので、ちゃんとお芝居するのは今回が初めてでした。

やっぱり、真帆が持つかっこよさみたいなものを前田さんご自身が持っていらして、私自身も何かそこに対して特段の努力をすることなく、2人の関係性とか、真帆へのリスペクトみたいなものを自然に持てたというのは前田さんだったからだと思います。本当にいろんな場面で助けていただきました。

映画『そばかす』

2022年12月16日公開
監督:玉田真也
出演:三浦透子、前田敦子、伊藤万理華、ほか
配給:ラビットハウス

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