新海誠監督の集大成「10年間の思いを2時間の作品のなかに」

2022.12.5 20:00

最新作『すずめの戸締まり』についてインタビューを受ける新海誠監督

(写真5枚)

「できることはすべて懸命にやりました」(新海監督)

──今回の主人公おふたりの日本各地をめぐる旅、これを描くのは大変だったのではないですか?

正直言って、もう二度としたくないと思うほど大変でした(苦笑)。劇中の旅はあまり長い期間の話ではありませんが、それでも日本を縦断するとなると、行く先々で舞台の変化があり、その都度、設定を考えなければいけません。

また、今作は夏の終わりから秋の初めにかけての設定なので、季節が変わり、緑だった田畑が旅の終盤では黄金色になったりと、時間や気候の変化もあります。ほかにも、もうひとつ大変だったのが、日本には各地に方言というものがある、ということでした(笑)。

自分の出身地ではない方言を演じないといけないキャストも多く、日本を縦断する物語ならではの大変さがそこにはありました。それでも、キャストの方々は素晴らしい演技をしてくれました。たとえば、叔母・環を演じてくれた深津絵里さん。

深津絵里が演じた、鈴芽の叔母・岩戸環 ©2022「すずめの戸締まり」製作委員会

──鈴芽が幼いころから一緒に暮らしている叔母の岩戸環役ですね。

深津さんの役は、出身地と今住んでいる地域が違うという役で、当然最初は今住んでいる地方の言葉を話すんですが、鈴芽たちを追う旅がたまたま出身地に向かって行って、そうなるとだんだん故郷の言葉と入り交ざるようになり、状況によってどちらか一方のニュアンスが強くなるのでは? とこだわってくださって。気づかされたこともたくさんありました。深津さんに演じていただいてよかったです。

──主演の原菜乃華さん、松村北斗さんはオーディションで選ばれたわけですが、その決め手となったのはどういったところだったのでしょう?

実はおふたりの声に、同じような特性があったんです。それは声質とか口調にどこかコミカルなものを感じさせる要素があって、聴いていると自然になぜか可笑しくなってきたり、明るい気分になれたりする。声のお芝居の上手い人はたくさんいますが、この特性は生まれ持った才能で、とても貴重だと思います。

今回の作品は、下手をすると暗い印象をもたれかねないのですが、おふたりのおかげでずっと楽しい感じに引き上げてもらっています。菜乃華さんの声は感情が鮮やかさで、「あ、これが鈴芽なんだ」と思わせてくれるし、北斗くんの声は、いわゆるイケメン声なのですがコミカルな要素とともに、ちょっとだけ暗いものを感じさせるところもあって、まさに草太というキャラにぴったりでした。そしてそんな菜乃華さんと北斗くんの掛け合いが絶妙で、2人に出会えてよかったと本当に思っています。

──結果的に、音も映像もキャスティングも最高のものが仕上がったということですね。

制作中はずっと高い山に登っている気持ちで息苦しかったですけど、できることはすべて懸命にやりました。ここ10年間の思いを約2時間の作品のなかにギュッと集約させて描いたという意味で、僕の集大成ではあると思っています。あとは多くの人に届いて欲しいと願うばかりです。

映画『すずめの戸締まり』

原作・脚本・監督:新海誠
出演(声):原菜乃華、松村北斗、
深津絵里、染谷将太、伊藤沙莉、花瀬琴音、花澤香菜、神木隆之介、
松本白鸚
配給:東宝

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