市民の巨大ポートレート写真を街なかに貼り付けるアーイベント『Ｉｎｓｉｄｅ ｏｕｔ』が、関西初上陸。８月１５日より神戸の港エリア「メリケンパーク」（神戸市中央区）に、専用フォトブースが設置されており、撮影〜印刷、そして建物や通りに自分の写真が飾られるという、なかなかレア体験ができるということで･･･さっそく編集部も行ってきた。

■ フランス生まれアーティストの「カメラ」がきっかけ

フランス生まれのストリートアーティスト・ＪＲが、１台のカメラを拾ったことをきっかけに生まれたアート表現「ペイスティング」（訳：貼ること）。街なかに住むリアルな人々の写真を撮り、それを巨大写真にしてあらゆるところに貼り付けていくという、一種のゲリラアート活動。だがその斬新さは世界中で賞賛を浴び、「アートで世界の見え方は変えうる」とのメッセージを発信し続けている。

そんなＪＲが生んだプロジェクト『Ｉｎｓｉｄｅ　Ｏｕｔ』。これまで国内では、東日本大震災で被災した気仙沼、また東京ではおこなっていたものの、神戸では初めての試みとなり、現在大規模な土地開発がおこなわれている三宮〜ウォーターフロントエリアで実施される。

発起人となった吉田さんは、「同エリアの再開発ということで、なにか盛り上がられるようなことを･･･と思い『Ｉｎｓｉｄｅ　Ｏｕｔ』とのコラボレーションを提案しました。港町である神戸は人々が行き交う街で、ファッションの街。１人１人にフォーカスすることができるプロジェクトとの親和性に期待しています」と、話す。

■ 愛くるしい「ドット柄」のフォトブース

同プロジェクトはオール無料で、身体ひとつで会場に向かうだけでＯＫ。流れとしては、メリケンパーク内に設置されたフォトブースにて撮影、それが巨大写真となって印刷され、出来上がった作品はのちにウォーターフロントエリアの３拠点のどこかに掲出されるといったもの。

編集部もさっそく体験してみたのだが、「ドット柄」で一面彩られたトラック型のフォトブースにテンションはＭＡＸに。撮影は証明写真のようなシンプルな流れで「モノトーン」写真で仕上がるため、写真写りに自身がない人でも「いい感じ」に映り込むことができて安心だ。

出てきた写真とともに記念撮影もして、あとは飾られるのを待つだけ！と待っていると･･･近くの噴水で遊んでいた子どもたち＆ママがやってきて「写真撮れるんですか？」とフラッと訪れ、楽しげに撮影をおこなっていき、続いて７０代のおじいさんも「思い出作りに」と１人でカメラ片手に、サクッと撮影。

■ 反響はいかに･･･？

８月１５日からスタートしている同プロジェクトの反響を尋ねて見たところ、「（１９日時点で）思っていたよりたくさんの方に興味を持っていただいているようで、約５００枚ほどの写真を貼ることができています」と吉田さん。

取材の最後に自身の写真が貼られる瞬間を見届けて帰ったのだが、まさにスピーチレスという言葉がぴったりで、大きな壁に飾られた自分の写真を見つけ、ほかのみんなとの一体感にはグッときた。また、作品を貼り付けてくれているスタッフは、世界で活躍する一流アーティストというのには驚きだ。

『Ｉｎｓｉｄｅ　Ｏｕｔ Ｐｒｏｊｅｃｔ　ＫＯＢＥ ～ＷＡＴＥＲＦＲＯＮＴ　ＡＲＥＡ～』は、８月２８日まで開催中。期間後も、一部作品の展示は継続される予定。