「大学誘致ありきなのか?」、神戸の再整備案に市民が紛糾

2022.8.3 06:00

グループワークに入る前、進め方への不信などから意見が噴出し、会は一時停滞した(7月14日・王子動物園)

(写真15枚)

■神戸市からは「大学誘致が若年人口増加に有効」

左が現在の王子公園のゾーニング。右上が2021年11月に示された、最初の再整備案で、その下が6月13日に示された、再整備の見直し案。駐車場の位置が変わり、大学の面積が少し縮小された(神戸市提供)
左が現在の王子公園のゾーニング。右上が2021年11月に示された、最初の再整備案で、その下が6月13日に示された、再整備の見直し案。駐車場の位置が変わり、大学の面積が少し縮小された(神戸市提供素材より)

冒頭に、神戸市企画調整局の武田史郎副局長が、新たなゾーニングの方向性を説明。緑の広場や歩行者専用空間を設け、現在よりも一般開放ゾーンを広くすること、廃止予定だった動物園内の遊園地を存続させることなどを述べた。

今回の再整備で大きな焦点となっているのが、大学誘致だ。神戸市は若年人口の流入・定着、都市ブランドの向上のために必要としており、武田副局長は「『原田の森』(王子公園近辺の自然林の呼び名)として親しまれてきた景観の維持と両立できるのが、大学ではないか」と話す。

一方で市民からは「少子化の時代に大学が必要か」「大学誘致の効果がわからない」という意見が相次いでいるのだ。

人口減少時代の現在でも、大阪府と京都府は大学進学により流入人口が増加している(神戸市提供)
人口減少時代の現在でも、大阪府と京都府は大学進学により流入人口が増加している(神戸市提供)

これについて市は、大学誘致が若年人口増加に有効である理由を説明。兵庫県よりも大学の数が多い京都府と大阪府では、直近10年でも学生の数が増えており(兵庫県は減っている)、「都心回帰の傾向があり、都市部についてはまだまだ引き合いがある」という。また、3500人規模の大学を誘致することで、約90億円の経済効果が見込めると算出した。

筆者は説明を聞きながら、最初の素案にはなかった数字が説明され解像度は上がったものの、「大学誘致ありき」で進められている印象は否めないと感じていた。

■会議が紛糾、グループワークが始まらない

グループワークに入る前、進め方への不信などから意見が噴出し、会は一時停滞した(7月14日・王子動物園)
グループワークに入る前、進め方への不信などから意見が噴出し、会は一時停滞した(7月14日・王子動物園)

説明が終わりグループワークに入ろうとするとき、1人の参加者が「テーブルごとに意見を出すだけなら、パブリックコメントと変わらないのではないか」と発言。個人が発言する時間ではなかったが、これを皮切りに何人もの手が挙がった。

「若年人口増といっても予測であって、本当にそうなるのか」「遊園地や陸上競技場を廃止すると言って戻すなど、これだけのスペースを移転・廃止・縮小しないといけないのは、大学を誘致するからだ」など次々と意見が飛び出し、グループワークが始められない。

これに対し、同じく参加者から「せっかく機会を設けてくれているのだから、一度グループワークをやってみよう」という声や、「自分の意見を言いたいだけの発言はやめてもらえませんか」「市民同士がやりあってもしゃあない」「(大学誘致に)賛成の市民だっているんだ」などの声が噴出し、その場が紛糾した。

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