「タブー視されるべきではない」水原希子が写真展に込めた想い

2022.5.27 07:45

左から写真家・茂木モニカ、水原希子(19日大阪市内)

(写真5枚)

■ 「自分たちのやり方で、NOといってもいいんだと感じた」(水原)

5月20日〜6月5日まで開催されている写真展『夢の続き DREAM BLUE』

──当時アメリカでのキャリアをスタートさせたばかりの水原さんですが、旅の前と後ではご自身の考えや世界の見え方はどう変わりました?

水原:LAに行った当時はダイバーシティっていう言葉が世界中で意識され始めた時期でした。そのタイミングでアジア地域の代表としてたくさんお仕事をさせて頂けてとても嬉しかったです。ただ、同時に自分は人種や地域によって選ばれたんだと感じてしまう出来事もあったり、正直なところ複雑な気持ちにもなりました。そんな時にこの旅に出て、出来上がった写真を見た時、「自分たちのやり方でいいんだ」と思いました。

──そうだったんですね。

水原:大きな映画に出たり、ビックネームとの仕事に憧れを抱いていた時期もあったけど、この写真がすべてを物語っているというか、私たちは私たちの心の赴くままに表現を続けて入れば、それを誰かがどこかで見てくれて、何かを感じて評価をしてくれる。そして何よりも自分たちが1番心地良い。

茂木:そうだね。

水原:モニカはそれを日常的に実践している。私は、幼い頃にお金を稼がなきゃって理由でこの業界に入ったから、やりたくない仕事もやってきた。一方で彼女は自分の作品、表現することに凄くプライドをもって挑んでいる。例えばなにかのプロジェクトがあって、ある程度話が進んでても「違う」と感じたら途中でもNOと言える人なんです。

──自分の気持ちを大切にしているモニカさんを尊敬しているんですね。

水原:今までは、この仕事したら次につながるかも、この人ビッグネームだからやっといた方がいいかなぁって理由で仕事してきて、苦しい思いをいっぱいしてきた。でももう今はそれが出来ないんです。それで良かったなと思うし。やっぱりモニカを見てて、ときにはNOって言って良いんだってことを学びましたね。

茂木:自分の直感を信じているから、もし直感に1%でも迷いがあれば、私は自分が作るアートにおいて少しも妥協したくないんです。

■「お婆ちゃんになっても撮って欲しい」(水原)

5月20日〜6月5日まで開催されている写真展『夢の続き DREAM BLUE』

──誰もが出来ることでは無いですが、そんなモニカさんだからこそ奇跡のように美しい瞬間を切り取ることができるんでしょうね。最後に、この展覧会での見どころを教えてください。

茂木:今回の作品ではレイアウト、デザイン、展示、すべてにおいて私たちが主体として関われたことが誇らしいと思っていますね。それに以前話してたんですけど、今からまたこんなヌードの写真集を撮ろうと思っても、こんなにナチュラルでピュアな姿を映すのはもう無理だよねって。ビジネスとかなにも考えずに撮ってたけどそれで満足だったから。だからまたしようと思ってもあそこまで良いクリエイトは出来ないと思う。

水原:確かにもうこんな写真は撮れないだろうけど、でもこれからの私もモニカに撮って欲しいと思うよ。なにも思わずにカメラの前に立てるというか、やっぱりそんな風に思わせてくれる人って特別だと思うから。おばあちゃんになっても撮って欲しいなと思います。自分の人生をモニカには記録して欲しいと常々思っているし、きっとそうなるから。

写真展『夢の続き DREAM BLUE』は5月20日~6月5日まで「心斎橋PARCO 」14階の「 PARCO GALLERY」にて開催される。入場料は1000円、営業時間は朝10時〜夜8時まで(最終日は夜6時閉場)。

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