大阪・箕面で閉業寸前の書店、小説家の手で復活

2021.11.2 06:45

常連客が次々と来店。スタッフと楽しげに話す姿も

(写真3枚)

箕面駅近くの書店「きのしたブックセンター」(大阪府箕面市)が、11月1日にリニューアルオープン。書店を救うために、新たな社長として名乗りをあげたのが京都生まれ、滋賀在住の作家・今村翔吾氏だ。

1967年に創業、さまざまなジャンルの一般書籍や雑誌を扱う書店として一時期は4店を経営をした同店。箕面の住民を中心に、1日100人ほどが来店する地元密着型の経営で愛されてきたものの、出版界の不況のあおりを受けて売り上げが減少。2代目で閉業寸前となり、エリアから書店が失われる危機に陥っていた。

そんななか、時代小説「羽州ぼろ鳶組」(祥伝社刊)シリーズで人気の今村氏が、M&A業の知り合いから耳にしたのが「箕面の書店が潰れるらしい。うちでは扱わないから、だれか探している。お前がやってみたら?」という、冗談半分ともとれる話だ。

「僕自身も、幼い頃に本屋で池波正太郎先生の小説と出合わなかったら、今こうして作家になっていないかもしれない。それほどに、本屋は大切な縁を繋ぐ貴重な『街のインフラ』。なくすわけにはいきません」と今村氏は、2021年4月に事業継承を決心。店舗を購入し、自身の事務所の傘下に置いて、再出発の準備を始めた。

9月25日からは改装工事のため閉店。店内に商品の在庫が置けるバックヤードを新設し、改装前の広々とした売り場はやや縮小。本もこれまでの1万冊から、1万3000~1万4000冊に増やす予定だ。

初日には地元の客が続々と訪れ、来店した近所の50代の女性は「今日からオープンしたと知って来ました。きれいになって再開してくれてうれしい」と笑顔で話す。

また『炯眼(けいがん)に候(そうろう)』(文藝春秋刊)など、今村さん同様に時代小説で有名な直木賞候補・木下昌輝さんは、「今日は江坂から来ました。コロナ禍で書店は久しぶりだが、来るとやっぱりテンションが上がりますね。たくさんの本を眺めているだけでも楽しいです」と語った。

「今後はここで100年続く書店を目指したい」と今村さんは語り、11月28日の自身のサイン会を予定するなど、今後はさまざまなイベントを計画していくそうだ。営業時間は朝11時〜夜8時、土日祝は〜夕方6時。

取材・文・写真/中河桃子

「きのしたブックセンター」

住所:大阪府箕面市箕面6-4-28 サンクスみのお2番館
営業:11:00〜20:00(土日祝は〜18:00)
電話:072-722-1915

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