奈良の珍百景「クレープ自販機」、実は自販機ではなかった!?

2021.10.5 07:00

「大神神社」(奈良県桜井市)の参道沿いにある「三輪流しそうめん前クレープ自販機」、冬は焼き芋も扱っている。2017年10月に設置

(写真9枚)

出来立てのクレープが味わえるという自動販売機が、奈良県に存在するのをご存じだろうか? いったい誰が、どんな理由で設置したのか? そして、おいしいのか? いろんな疑問を解決するため現地を取材した。

自販機だけど、テイクアウト専門店?

このクレープ自販機があるのは、そうめん発祥の地として知られる奈良県桜井市。日本で2番目に大きい鳥居がある「大神神社(おおみわじんじゃ)」の参道沿いにあるため、多くの参拝者が目にしている。設置したのは、「三輪そうめん流し」店主の加藤秀幸さんだ。

日本でも珍しいクレープの自販機を設置した加藤秀幸さん(奈良県桜井市)

自販機自体はごく一般的なものだが、なぜクレープの販売を始めたのか? 加藤さんは「流しそうめんが本業なんですが、夏場がメインで冬場は売り上げが悪くなるんです。だから、クレープを自販機で売ったら面白いかなと思ったのがきっかけです(笑)」という。しかし、いざ設置となると、意外にもハードルが高かったらしい。

「生菓子だったので店舗とは別に保健所の申請が必要だったんです。調理場から、販売場所までの距離とか、材料とかいろいろ細かく書類を書かなくてはならなくて・・・。だからこの自販機は、『テイクアウト専門店』という扱いになってるんです」と加藤さんは話す。

正式には自販機ではなくテイクアウト専門店がゆえに、この通り看板もある

確かに情報サイトなどを見ると、「三輪そうめん流し店前 自動販売機」というひとつの店舗として登録されている。加藤さん曰く、たまに自販機メーカーの会社員らしき人が「自販機の可能性」を探るため現地調査に訪れ、1日中張り付いていることもあるんだとか。

自販機のクレープ、果たしておいしいのか?

クレープはワンカップのコップに入って出てくる。「ビンは必ず、お返しください」の注意書きも

さて、もっとも気になるのはクレープのお味。いったいおいしいのか、ちゃんと作っているのか。さっそく購入してみた。1個250円とリーズナブル。ボタンを押すとワンカップに入ったクレープが落ちてきた。ひんやり冷えていて、透明ビニールで丁寧に包まれている。一般的なものと比べて、ずっしりやや固め。今回購入したのはレアチーズクリーム。生クリームとレアチーズ、ジャムがたっぷり入っていて、ハーモニーも見事。正直、むっちゃおいしい!

自家製生キャラメルと生クリームでクレープを作る加藤秀幸さん

クレープのこだわりについて加藤さんは、「まず、生クリームが手で持っても溶けない、歩いても折れないくらい硬さにしています。生キャラメルは前日に手作りで仕込んでいて、朝6時頃にひとつひとつ作って、朝8時頃に自販機に入れていきます。1日に作る量は30〜100個ぐらい。1日ですべてなくなります」と話す。「本日中にお召し上がりください」と注意書きがあるが、冷蔵で3日保つという。

この日も、隣町の橿原市から散歩がてらに「クレープ自販機」を訪れた親子の姿が。4歳の女の子は「チョコバナナが食べたい!」とパパにお願い。「おやつの時間にみんなで食べます」と、ママの分と合わせて3つ購入していった。

定番のチョコバナナ、キャラメルクリーム、マスカルポーネ、イチゴミルクのクレープのほか、なぜか焼き芋やマンゴージュースも

メニューは定番のチョコバナナをはじめ、イチゴミルク、マスカルポーネチーズ、クッキー&クリーム、生キャラメルスペッシャル(スペッシャルなのです!)、期間限定でまっちゃミルク、濃厚抹茶、抹茶あずきクリームなど。いろんな味を試してみたい人は朝10時までに行くのがベストだそうだ。場所はJR三輪駅から徒歩2分。

取材・写真/岡田由佳子

三輪そうめん流し

住所:奈良県桜井市大字三輪460-24
営業:10:30〜19:00(16:00以降は予約) 木曜休(変更の場合あり)
電話:080-3037-3838

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