コロナ禍も挑戦続ける、天童よしみ「今の自分が1番好き」

2021.6.24 07:45

2022年に歌手デビュー50周年を迎える天童よしみ

(写真3枚)

1972年に歌手生活をスタートし、若い世代から火が点いて平成最大のロングヒットとなった『珍島物語』(1996年)をはじめ、多くの名曲を歌い続ける演歌歌手・天童よしみ。

コロナ禍でYouTubeチャンネル&インスタグラムの開設や、全国のライブハウスを応援するソーシャルディスタンス&配信ライブの開催、そして自身初のインターネットサイン会の実施など、日々新たなチャレンジを重ねている彼女に話を訊いた。

取材・文/後藤愛

「まず気がかりだったのがファンのみなさんのこと」

──6月27日にインターネットサイン会を開催されるとのことですが、コロナ禍で配信ライブなどオンラインでの活動がかなり増えていますね。

配信ライブをおこなったあと、ファンのみなさんからいろんなメッセージをいただいたんですが、なかには「鑑賞方法がわかりませんでした・・・」なんてお言葉もあって。そもそも観るところまでたどり着けない方も多かったようなんです。でも、最初は難しくても段々慣れるだろうから「我慢強くやろう!」とスタッフもなぐさめてくれて(笑)、続けていくことにしました。

インターネットサイン会は、私にとっても初めての試み。CDを出しても、お店に買いに行くこともままならない状況下でしたし、みなさんもネット環境に少しずつ慣れてきたころかなと、思い切ってやってみることにしました。「ネットは慣れれば大丈夫、私でもできたから!」と、ファンの方を励ましたりもしています(笑)。

※インターネットサイン会は、事前応募のなかから当選した人に、生配信中、名前をコールしつつ、その場で特典のアルバムジャケットにサイン&名前を記入するイベント。そのほか、最新アルバムの制作秘話や歌の披露など、普段のコンサートとは一味違った企画も予定されている。

──天童さんのさまざまな活動のおかげで、ファンの方々も日々成長しているのですね。

コロナの影響で突然すべての活動がストップとなり、まず気がかりだったのはファンのみなさんの存在でした。どうすればみなさんの心を癒やすことができるのか、どうすればみなさんとつながることができるのか・・・。直接お会いすることはかなわなくても少しでもつながっていきたいと考え、いろんなアクションを始めたんです。

最初は『大ちゃん数え唄』を元に、手洗いの時間が楽しくなるような替え歌をYouTubeにアップして。小さなお子さんも観てくれたようで、歌いながら手を洗っているという声もいただいたときは、すごくうれしかったですね。

──その後は、5カ月ぶりのステージとなった2020年8月を皮切りに、現在まで3回ほど配信ライブを開催しています。

これまで、コンサートはもちろん、テレビ収録の際もファンのみなさんがいてくださって声援をもらっていたものですから、しーんとした状況はやっぱりさみしくて。それでも、すべての歌手やアーティストが同じ状況ですし、仲間同士でも「お互い、とにかく元気でいようね」と励まし合ったことで、私一人ではないとすごく力になりました。みんながこの厳しい試練に立ち向かっているわけですから。

過去ライブでの天童よしみ

──そのなかで逆に良かったことなどはありましたか?

歌手にとって、ある程度のどを休ませることはものすごく大事なこと。今は無理なく歌える状況になったので、そういう意味では必要な時間になったなと思いますね。本来キャリアを重ねていけば、段々と声帯がおとろえてくるものですが、おかげさまで私自身はそういうことを感じることもなく、高音や低音、中音部も、昔より今の方がより良く感じています。

──昔よりもですか。

改めて、いつの歌声が最も良かっただろうと考えると、それはやっぱり今。声の伸びの良さや、歌に1番適した声であるなと。さらに言えば、考え方や人と接するときの言動などすべて含めて、今の自分が1番好きです。

「歌手生活50周年、自分なりの歌を極めていきたい」

──今年4月に発売されたアルバム『Buddy ~素晴らしき相棒~』は、コロナ禍で改めて感じた人と人とのつながりの大切さ=相棒をメインテーマにしたとのことですが、豪華な「Buddy」が顔をそろえていますね。

『大阪恋時雨』ではMattさんにピアノを弾いてもらって。2019年のNHK紅白歌合戦でも共演させていただきましたが、強烈に覚えているのはMatt化された私の顔だと思います(笑)。すごくかわいらしくて気に入っているので、アルバムのリーフレットのなかにもMatt化された写真を掲載しています。

新曲の『広い地球のかたすみで』では、武田真治さんが存在感のある艶やかなサックスを演奏してくれましたし、大阪桐蔭高校吹奏楽部のみなさんが参加してくれた『あんたの花道』もぜひ聴いていただきたいところ。

1985年の楽曲『道頓堀人情』は、今聴けばきっと大きな活力になるんじゃないかと思い、アレンジを一新して収録しました。「今までお世話になった方に感謝を伝えたい、そして新たな挑戦をしたい」という思いにふさわしいアルバムになったと思います。

過去ライブでの天童よしみ

──来年は歌手生活50周年という節目の年ですね。さまざまな挑戦を続けてきた天童さんですが、今後やりたいことはありますか?

ファンのみなさんのために歌っていきたい・・・もう、それしかないですね。コロナ禍で気軽に外出もできず、みなさん怖い思いもされたでしょう。それでも、天童よしみのことを忘れないでくださった方々のために、歌っていきたいです。

きっと自分の声や歌い方もまだまだやれることがあると思いますし、これでいいと満足し切ることはないでしょう。こんな声が出るならあんな曲も合うんじゃないか・・・とか、自分自身への期待もありますね。これから先も学び続け、自分なりの歌を極めていきたいです。

天童よしみ 初のインターネットサイン会の参加受付は終了しているが、その模様はテイチクレコードチャンネルにて無料で視聴できる(6月27日・昼2時〜/アーカイブは1週間)。

また、ミュージカルバラエティショー『三都物語 〜京都・巴里・東京 装束サマーフェスティバル〜』に、天童が紫式部役で出演決定。女性皇族が着用する装束の作成者が、天童のために特別にあつらえた重厚な十二単をまとい、歌い踊るという。7月14日に「日本青年館ホール」(東京都新宿区)にて。

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