谷垣健治監督「ドニー・イェンには、最高か最悪しかない」

2020.12.29 17:15

ドニー・イェンの特殊メイク姿。左遷されてしまい自堕落な生活を送り、体重が急増してしまった刑事フクロンを演じる。(C)2020 MEGA-VISION PROJECT WORKSHOP LIMITED.ALL RIGHTS RESERVED.

(写真5枚)

「ドニーはチャーミングな人なんですよ、それが出たらいいかなぁって」

──ドニーの時間がかかるデブメイクが毎回大変だったんじゃないですか?

大変ですよね。2時間くらいかかるんでね。メイク中ドニーはずっと機嫌悪かったですね(笑)。

──NG集でも明らかにやりたがらない顔でしたね(笑)。

クランクインする何週間か前に「いいアイディアがある」ってドニーが言ってきて。何を言うのかなと思ったら、「俺が太らないって言うのはどうや?」って(笑)。

「俺がひとりで太って悪目立ちするよりは、周りに5人ぐらい面白いの連れてきてやれば『五福星』みたいで面白い。だろ?」とかって言い出して。明らかにやりたくない感じで(笑)。

──だって原題はサモ・ハンの『燃えよデブゴン』と同じ「肥龍過江」ですもんね。太ってなくちゃ始まらない(笑)。

ドニーは、今は『イップ・マン』(2008年)とか『ローグ・ワン/スター・ウォーズ・ストーリー』(2016年)のちょっと物静かな役のイメージが強いんですよね。でも本人は陽気なアメリカの兄ちゃんですから。

そういう意味では今回のキャラも明らかにドニーの一部分なんですよ。だからアクションもミニマムな動きの『イップ・マン』に対して、こちらはそこにない要素を全部詰め込んだって感じではありますね。

──でも僕はドニーさんって、昔テレビに出てた時から香港版のVCD(DVDの前身ビデオCD)を買って見てたんで、全然こっちの方が基本イメージなんですけど。

ねぇ?本来はコミカルな路線もやってますからね。脳みそにお花畑があるような(笑)。実際チャーミングな人なんですよ、それが出たらいいかなぁと思って。

──そういえば、この映画が決まる前に作られるはずの映画が「衛斯理(ウェスリー)」(注:香港の小説や映画で人気だったキャラクター名)だったんですって?

ウェスリーは知ってます? 『飛龍伝説オメガクエスト』(1986年)とかありましたけど。

──ええ、何本か。でも、「衛斯理」やるといつも大味な映画になりがちで(笑)。

香港のインディ・ジョーンズみたいな感じだから面白くなりそうなのに、やっぱり準備が甘いんですかね。勢いで面白いものを取り入れられる映画と、綿密な準備が必要な映画とがあると思うんです。「衛斯理」は後者でしょうね。あとね、シーン1からUFOが出てきて。香港映画でUFOが出てきたら危険じゃないですか?(笑)香港映画とSFの相性の悪さ、これは難しいなぁと思ったんですよ。

それは多分脚本を読んだ全員がうすうす思ってたことで、ちょっと今じゃないなって感じだったんですね。で、ちょっと小粒な作品で学校の映画があるからっていうので撮ったのが『スーパーティーチャー熱血格闘』(2018年)だったという。

「ドニー・イェンとウォン・ジンで、ドニーが太ったら面白いんじゃないのかというのが今回のきっかけですね」と谷垣監督

──行き当たりばったりだけど、結果そこそこ面白い映画になっちゃうのが困りもんですね(笑)。

そんだけこだわるなら、もうちょっと早く考えてくれよ、って。大体現場に行ってから思いつくことが多いんですよね。もうちょっと早く考えてくれたらもっと良く出来るのにって(笑)。今『TheFather』っていうドニーのアメリカ映画での初めての主演作の企画があって。

1976年のボストンを舞台にドニーが香港から来た家族がいるお父さんの役で、息子を取り返しに行く。「96時間」や「イコライザー」みたいな「ナメてたら実は殺人マシーンでした映画」の最新版です。もう一つ、『Sleeping Dogs』っていうのも準備中です。これもアメリカ映画です。まぁ2021年楽しみです。

──ドニーさんもアメリカ映画の経験を積んでますしね。

ただ『ローグ・ワン』も『トリプルX:再起動』(2017年)も最初からドニーありきで考えられた作品じゃないんでね。『ローグ・ワン』なんて元々イップマンみたいなキャラだったのを、自分で目が見えない役に設定し直して提案したりしてました。

──『ローグ・ワン』ではジャン・ウェン(姜文、『太陽の少年』『鬼が来た!』など中国を代表する監督であり名優)と共演というアジア映画好きにとってはたまらんキャスティングでしたけどね。

僕は彼にも酷い目に遭ってますからね(笑)。『邪不圧正』(2018年)という、彼が監督して僕がアクション監督をしている映画がありまして。

最初はジャッキーのところのアクション監督を起用してたんだけど、いろいろあったらしくて・・・そのうちにそのアクション監督とも契約が切れるっていうんでどうしようとなって、ドニーに助けを求めてきて。その流れで僕が『スーパーティーチャー』行く前にジャン・ウェンのところに行くことになったんです。本当に急遽。

──そのコネクション、すごいですね(笑)。

すごいって言うか、エラい目に。ジャン・ウェンもその場で感じてから考える人ですから。

──でも、ジャン・ウェンの方がまとまった映画ができるという(笑)。

まあ、そのおかげで金馬奨で最優秀アクション監督賞をいただきましたからね。ジャン・ウェンにもすごく気に入ってもらえて、今でもメールのやり取りとかしてます。

『燃えよデブゴン/TOKYO MISSION』

2021年1月1日(金・元日)公開
監督:谷垣健治
脚本:ウォン・ジン
製作:ドニー・イェン、ウォン・ジン、コニー・ウォン
出演:ドニー・イェン、テレサ・モウ、ウォン・ジン、ニキ・チョウ、竹中直人、丞威、渡辺哲、バービーほか
(C)2020 MEGA-VISION PROJECT WORKSHOP LIMITED.ALL RIGHTS RESERVED.
配給:ツイン

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