ポストコロナ時代に里山へ定住促進、神戸市の次なるビジョン

2020.5.17 06:00

神戸市北区に広がる穏やかな田園風景 提供:神戸市

(写真7枚)

神戸市が、「神戸里山・農村地域活性化ビジョン~コロナを踏まえた新たな暮らしのあり方~」を発表。5月14日におこなわれた市長定例会見で、「持続可能な農業の振興」「定住環境の整備」「自然文化環境の保全」の3つの柱を掲げた。

この計画は同市が取り組む人口減少対策として以前から進められていたが、新型コロナウイルスの感染拡大で人の密集を避けることが求められるようになった昨今、「密」のリスクが低い郊外での暮らしを推奨。市としては一層力を入れたい考えだ。

神戸市の北区・西区には豊かな里山・農村地域が広がり、茅葺き民家も残る。都市部と農産物の生産地が近いことも神戸の大きな魅力だが、農業の担い手が減り、耕作放棄地が増える課題も抱えている。

今回のプランでは、農地の耕作者と後継者を明らかにし、農作業を個人から集落単位でおこなえるよう組織化・法人化を進める。

また、開発が制限される里山・農村地域は今まで、既存住宅を農家レストランなどに用途変更することもできなかったが、こうした規制も緩和。新たな居住者を呼び込めるよう、魅力的な里山づくりを目指す。

「新型コロナウイルスの感染者数は東京、大阪、神奈川の順に多く、人口密度の順と比例する。まだ不明な点が多いとはいえ、人が密集すると感染リスクが高いと言えるだろう。第2波、第3波が来ることも考えられる」と久元喜造神戸市長。

「ポストコロナ時代、望ましいまちのあり方として、自然と共生する暮らしに光が当たるのではないか」と話し、都市部だけでなく郊外も含めたまちづくりを進める決意を新たにした。

取材・文/合楽仁美

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