パンクが世界を変えた瞬間、今こそ観るべき映画『白い暴動』

約10万人の観客を前に『WHITE RIOT(白い暴動)』を演奏するThe Clashの姿が写し出されたメインビジュアル photograph by Syd Shelton
ルビカ・シャー監督の真摯なメッセージを
最後に音楽フリーク的な見どころという点では、映画の中に隠れた重要バンドとしてフィーチャーされている、南アジア系移民によるパンク・バンドのエイリアン・カルチャーにもぜひ注目を。
エイリアン・カルチャーは、当時には7インチ盤を1枚リリースしただけで終わってしまったと思われるパンク史でも語られる機会がほとんどない超マイナーなバンドだが、黒人と同様に酷い人種差別を受けたアジア系移民にもパンク・バンドはしっかり存在し、RARの動きと連帯した動きをみせていたことを示している点が興味深い。
エイジアン・ダブ・ファウンデーションやコーナーショップらが台頭してUKエイジアンの活躍が世界的な注目を集めた1990年代以降であれば、エイリアン・カルチャーもより大きな飛躍を遂げた可能性があったかもしれないが、時流的にはまだ早過ぎたのだろう。
また、ルビカ・シャー監督は、2015年にデヴィッド・ボウイの短編ドキュメンタリー『Let’s Dance:Bowie Down Under』(日本未公開)を制作して世界的に高い評価を集めているが、今回の『白い暴動』ではバッサリとファシズム容認発言をした愚かなロック・スターとして描いている点も潔いように思える。
ボウイがその問題発言の直後にドイツのベルリンへと移住し、ブライアン・イーノらとともに傑作『ロウ』(1977年)をはじめとする“ベルリン三部作”でパンク以降を時代を予見したような先鋭的なサウンドを展開したことは、彼女自身も熟知していたはず。しかし、余計な擁護などは一切挟まなかった点などにも注目しながら、真摯なメッセージに満ちた『白い暴動』を楽しんでほしい。
映画は4月3日から「シネ・リーブル梅田」、4月17日「京都みなみ会館」、以降「元町映画館」で順次公開される(予定)。
文/吉本秀純
映画『白い暴動』
出演:レッド・ソーンダズ、ロジャー・ハドル、ケイト・ウェブ、ザ・クラッシュ、トム・ロビンソン、シャム 69、スティール・パルス
監督:ルビカ・シャー『Let‘s Dance: Bowie Down Under』※短編
配給:ツイン
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