パンクが世界を変えた瞬間、今こそ観るべき映画『白い暴動』

2020.4.4 20:00

約10万人の観客を前に『WHITE RIOT(白い暴動)』を演奏するThe Clashの姿が写し出されたメインビジュアル photograph by Syd Shelton

(写真4枚)

音楽ドキュメンタリー映画『白い暴動』が、4月3日より日本で順次公開される。正直なところ、鑑賞する前にはなぜ今ごろ70年代後半の英国パンク・ムーヴメントを振りかえったドキュメンタリー作品を?と思っていたが、確かにコレは2020年の今にこそ観るべき映画だ。

音楽が世界を変えた瞬間を描く『白い暴動』

現在のロンドン市長を務めるパキスタン系英国人のサディク・カーンと同じく、イランとパキスタンにルーツを持つ若き英国人女性のルビカ・シャー監督が初の長編デビュー作として完成させた『白い暴動』は、彼女が70年代後半のイギリスにおける極右の台頭に関心を持ったことから制作を始めたもの。

自身の家族から話を聞いた、当時のアジア系英国人が直面した人種差別についてもっと詳しく知ることからリサーチを開始したとのことで、映画では黎明期のパンクやロック、ジャマイカ移民によるレゲエ・バンドとも結託しながら、人種差別や移民排斥の動きに対抗したカウンター・カルチャーの動きを先導した「ロック・アゲインスト・レイシズム(RAR)」の活動に改めてスポットを当てている。

https://youtu.be/GzjzdyJsF48

EUからの離脱(ブレグジット)によって再び「閉じた」方向へと進み出した英国にとってタイムリーな題材だったことは指摘するまでもないが、当時のイギリスと被る経済状況やアジア諸国からの移民問題などを抱え、「音楽に政治を持ち込むな」といった話が議論される場面が増えた現在の日本にも極めてリアルに響く。

映画『白い暴動』

出演:レッド・ソーンダズ、ロジャー・ハドル、ケイト・ウェブ、ザ・クラッシュ、トム・ロビンソン、シャム 69、スティール・パルス
監督:ルビカ・シャー『Let‘s Dance: Bowie Down Under』※短編
配給:ツイン

  • LINE
  • お気に入り

関連記事関連記事

あなたにオススメあなたにオススメ

コラボPR

合わせて読みたい合わせて読みたい

関連記事関連記事

コラム

ピックアップ

エルマガジン社の本