夏帆「自分の人生で何を選択するのかというきっかけに」

2020.3.1 19:00

『Red』で、主婦の塔子役を演じた夏帆

(写真8枚)

映画『ブルーアワーにぶっ飛ばす』(2019)ではコンプレックスを抱える自称売れっ子のCMディレクター、映画『22年目の告白―私が殺人犯です―』(2017)では連続殺人犯の動向に翻弄される被害者遺族を演じるなど、どの作品でも目が離せない存在感を放っている女優・夏帆。

今回は、島本理生の原作小説を、三島有紀子監督が映画化した『Red』では、一切不自由のない生活ながらも、どこか満たされずにいる主人公・塔子に扮している。真(間宮祥太朗)という夫を持ちながら、かつて愛した男・鞍田(妻夫木聡)と10年ぶりに再会し、気持ちが揺れ動いてしまう。「結婚とはなんなのか?」「自分にとって大切なものとは?」を問いかける同作について、夏帆に話を訊いた。

取材・文/田辺ユウキ 写真/わたなべよしこ

「自分の人生で何を選択していくのか、と考えるきっかけに」

──映画『ビブリア古書堂の事件手帖』(2018)以来の三島監督作品への出演ですが、監督からはどういった演出がありましたか。

三島監督からは、「今まで見たことのない顔を撮りたい」という言葉をいただきました。現場でも「今の芝居でオッケーだけど、もっとできるよね」という感じで、粘り強く、私の可能性を信じてくださって。

私自身も今までと違う場所に行くにはどうしたらいいのか、迷いながら演じていましたが、とにかくそんな監督に応えたい一心で演じていました。

塔子役演じる夏帆(右)と、鞍田役を演じる妻夫木聡©2020『Red』製作委員会
塔子役演じる夏帆(右)と、鞍田役を演じる妻夫木聡©2020『Red』製作委員会

──夏帆さんにとって、これまで以上に自分の可能性が広がる1作になったという印象はありますか?

可能性が広がる、という部分はすべての作品に当てはまります。でも、振りかえると「自分のできる範囲で」というようになっていたかもしれません。

いろいろな現場でお仕事をしてきて、自分にできることが、ある程度固まってきていて。だから、「なんとかその範囲から一歩外に出てお芝居がしたい」という気持ちがありました。

今回のようにここまで役に没頭できたことは、あまりないかもしれません。もちろん自分のなかでも反省点はありますが、20代後半の今、塔子を演じられたのはとても良い経験になりました。

──それは、どういったところに「良さ」を感じられたのでしょうか。

自分の人生で何を選択していくのか、と考えるきっかけになったこと。自分の人生において何を選び取っていくのか、それを突きつけられる作品です。

最初は恋愛が主軸のストーリーだと思っていたのですが、もっと踏み込んでいくと、これは塔子という女性の生き方を描いている。彼女は本来の自分を押しこめて良い母親、良い妻でいなければいけないということを、優先して生きていたけど、そんななかで鞍田さんと再会し、戸惑いながらも自分自身を解放していきます。

妻夫木聡については、「どんなときも鞍田さんとして現場にいてくださいました。妻夫木さんがいらっしゃると何か大きなものに守られているような心強さがありました」と語った
妻夫木聡については、「どんなときも鞍田さんとして現場にいてくださいました。妻夫木さんがいらっしゃると何か大きなものに守られているような心強さがありました」と語った

──そうそう。塔子はもともと「自分が何も言わなければ家庭生活がうまくいく」と考えていますもんね。

自分自身のやりたいことを優先して生きるって、ある意味、自分勝手じゃないですか。誰かと生きる以上、自分の想いを優先させて、何かを選び取るのは難しいこと。塔子は「だったら、自分が我慢すればうまくいく」と思っていた。

その気持ちはすごく分かるんです。でも、それだと自分の人生においては、ずっと誰かに合わせていくことになる。そのバランスがとても難しいと感じました。

映画『Red』

2020年2月21日(金)公開
監督:三島有紀子
原作:島本理生「Red」(中央文庫)
脚本:池田千尋、三島有紀子
出演:夏帆、妻夫木聡、柄本佑、間宮正太朗、ほか

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