夏帆「自分の人生で何を選択するのかというきっかけに」

2020.3.1 19:00

『Red』で、主婦の塔子役を演じた夏帆

(写真8枚)

「ここから先の出来事は理屈ではない」

──そんなときに鞍田と出会いますが、ただ、彼との再会は果たして彼女にとって幸せなのかという疑問も残しますね。

(旦那の)真と一緒にいれば安定した生活と幸せを手に入れられる。それは鞍田さんが持ってないもの。それでも、鞍田さんに引き寄せられてしまう。というか、抗えないものを感じてしまう。

鞍田との再会が塔子にとって幸せなのかどうかは、人ぞれぞれの解釈になると思います。でも、宿命と言えるべき相手と出会えたということは、ある意味幸せなのかもしれません。

──そもそも、鞍田の魅力はどういうところにあると思いますか。

鞍田さんの魅力は、言葉で説明するのは難しいですね。頭では「いけない」と分かっていても、そっちにいってしまうことってあるじゃないですか。そんな吸引力のある人だと思います。

鞍田さんは塔子が初めて本気で好きになった相手でしょうし、きっと結婚をしてもなお、彼女のなかにずっと居続けたはず。そんな人と運命的な再会をしてしまったので、そこから先の出来事は、理屈では説明しきれないのではないでしょうか。

塔子の夫・真を演じる間宮祥太朗。©2020『Red』製作委員会

──だから、決して「真が悪い」というわけではないんですよね。

真は真で、決して間違っていない。真自身の理想の家庭像がある。そもそも塔子とは生い立ちや育った家庭環境が違いますし、真だけを責められるものではないですよね。

真が悪い夫だから塔子は窮屈に感じているのではない。ただ、根本的に価値観が合わなかった。塔子はそれでもうまくいくと頑張っていたけど、やはりズレが大きくなっていって、修復が難しくなる。つまり、コミュニケーションがうまくとれなかったということなのかなって。

──コミュニケーションにもいろんな形がありますよね。

そうですね。ちゃんと話し合うことは当然必要でしょうし、身体的なふれあいも大切だと思います。このふたりはそういったコミュニケーション全般が希薄になっていて、それが窮屈に感じてしまう原因の一つと感じました。

仕事と私生活については、「私は、私生活と仕事が直結しているところがあると思っていて。役者の仕事は現場だけがすべてではないですし、準備もしなければなりません。ただ、なるべく切り替えができるように心掛けています」
仕事と私生活については、「私は、私生活と仕事が直結しているところがあると思っていて。役者の仕事は現場だけがすべてではないですし、準備もしなければなりません。ただ、なるべく切り替えができるように心掛けています」

──だから塔子は、鞍田がきっかけとはいえ、仕事での「やりたいこと」と、家庭での「やるべきこと」を両立させようとしますね。そして、ある決断が迫られるようになる。特に終盤で塔子の選択する場面では、芝居とはいえかなり苦悩したのではないですか。

あのシーンは現場でも迷いがありました。いろんなパターンを考えて、最終的にあの形の芝居に。もし、自分が塔子と同じ状況に立たされたら、とてもじゃないけど耐えられないと思います。

あのシーンの正解がずっと分からなくて、ずっと悩んでいました。自分で選び取ったことに、彼女は罪を背負って生きていかなくてはいけない、そういうことだと思います。

──「罪を背負う」・・・辛さを感じたのは、そういう思いだったからなんですね。

ご覧になる方、それぞれに感じ方が違うはず。塔子に感情移入できる人いれば、「分からない」という人がいても不思議ではないです。答えを、簡単に導き出すことできませんが、この作品は、「自分の人生で何が大切なのか」ということについて、改めて向き合う機会を与えてくれたと思います。

映画『Red』

2020年2月21日(金)公開
監督:三島有紀子
原作:島本理生「Red」(中央文庫)
脚本:池田千尋、三島有紀子
出演:夏帆、妻夫木聡、柄本佑、間宮正太朗、ほか

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