【連載vol.5】見取り図リリー、兵庫でゴッホを観る

2020.2.6 19:00
(写真7枚)

アート大好き芸人「見取り図」リリーが、色々なアートミュージアムへ実際に観に行き、美術の教員免許を持つ僕なりのおすすめポイントをお届けするという企画でございます。今回は、「兵庫県立美術館」(神戸市中央区)で、3月29日までおこなわれている『ゴッホ展』です。

この展覧会に行く方は、濃い映画を観るくらいの覚悟を持った方が良いかもしれません。そのくらい濃厚なんです! ゴッホの生涯がわかるのはもちろんのこと、「こんな絵を描くよ」「この人がすごい」とか、弟のテオに送り続けた手紙から抜粋された内容も見どころです。

人付き合いの苦手だったゴッホが唯一心を許した人物だと言われている、弟のテオ。絵の売れないゴッホに給料の半分をテオは渡していたんです。ちなみに僕にも兄がひとりいるんですが毎月給料の半分を渡しています(嘘です)。半分なんで先月は約350万円渡しました(めちゃくちゃ嘘です)。

最初のエリアで展示されているのは、ゴッホが絵を描き始めたときの作品。ゴッホは27歳で画家を志したので、かなり遅い方だと思います。正直言って上手くない絵も。しかし、デッサンがくるっていようが惹かれるものがあるんですよね。さすが咳、いやゴホンゴホン、いやゴッホです!おもんな!(本当です)。

オランダ時代に描いた作品。本当に暗いですね。撮るとき編集に「暗すぎて何描いているのか分かりません」と言われました。フィンセント・ファン・ゴッホ《鳥の巣のある静物》1885年10月、ニューネン 油彩、カンヴァス ハーグ美術館
オランダ時代に描いた作品。本当に暗いですね。撮るとき編集に「暗すぎて何描いているのか分かりません」と言われました。フィンセント・ファン・ゴッホ《鳥の巣のある静物》1885年10月、ニューネン 油彩、カンヴァス ハーグ美術館 © Kunstmuseum Den Haag

僕がすごいなぁと思ったのは《鳥の巣のある静物》という作品。鳥ではなく鳥の巣に美しさを感じたのか巣を家に持って帰ってそれをモチーフに絵を描いており、常人にはない目の付けどころです。

そして30歳の頃、ゴッホは故郷オランダから、フランスへお引っ越し。今回、一緒に展示されているルノワール、ピサロ、モネなどの印象派から大きな影響を受けます。印象派の画家は、しっかりとした筆触を残し、色彩はできるだけ混色せずに鮮やかに描いているのが多く、ゴッホの《モンマルトルの家庭菜園》も、その影響が出ているんですが、それでもどこか暗さがあると思います。

ゴッホは人付き合い、恋愛、キャリア・・・すべてが順風満帆とは言えず、その陰鬱な心が絵に現れているのだと僕は感じました。それに対して展示されている、ルノワールの『ソレントの庭』なんて鳥肌立つ程の鮮やかさです。ぜひ、こちらとも比べて観て下さい!

見よ、この華やかさ! ピエール=オーギュスト・ルノワール《ソレントの庭》1881年 油彩、カンヴァス グレート・アート・ファンドLP © Great Art Fund LP
見よ、この華やかさ! ピエール=オーギュスト・ルノワール《ソレントの庭》1881年 油彩・カンヴァス グレート・アート・ファンドLP © Great Art Fund LP

そしてゴッホは35歳の頃、精神を病み、発作や幻覚などを見るようになり精神病院に入ります。この頃に描いた絵がすごいんです!(ちなみに今の僕が33歳なんで2個上です)。その名も《糸杉》。

印象派から得た手法を活かし、絵具を厚めに塗り、糸杉というモチーフを炎のように力強く描き上げ、重厚感、迫力、狂気に溢れた作品です。完全にゴッホだけのオリジナルな表現です! これは写真などでは伝わらない迫力。肉眼でゴッホを感じて下さい(すいません嘘つきました、今35歳です)。

こちらが、精神療養院に入ってから描いた《糸杉》。毎日ずっと作品を生み出し続けていたそうです。フィンセント・ファン・ゴッホ《糸杉》 1889年6月 油彩・カンヴァス 93.4×74cm メトロポリタン美術館 Image copyright © The Metropolitan Museum of Art. Image source: Art Resource, NY
こちらが、精神療養院に入ってから描いた《糸杉》。毎日ずっと作品を生み出し続けていたそうです。フィンセント・ファン・ゴッホ《糸杉》 1889年6月 油彩・カンヴァス メトロポリタン美術館 © The Metropolitan Museum of Art. Image source: Art Resource, NY

皮肉な話ですが精神病にならなければ、ゴッホはこんなに評価されていないかもしれません・・・。ゴッホの生き様を感じながらこの絵にたどり着いたときは体がゾワーっとして涙が出そうになるくらい感動しました。この絵を描いて、1年以内にゴッホもテオも亡くなります。画家人生たった10年、そんなゴッホの生涯に触れることができる展覧会でした(これも本当です)。

『ゴッホ展』
灰色や茶色を基調として写実的なオランダのハーグ派、一瞬の美しい光景を描き撮ろうとし、原色を活かすフランスの印象派から影響を受けたゴッホを2部制で展示。7年振りの来日『糸杉』や、ゴッホが描いた作品で美しいと評される『薔薇』など約50点のほか、ゴッホにとって唯一の師匠と言われるマウフェのほか、ルノワール、モネ、セザンヌ、ゴーギャンら巨匠の作品も。一般1700円、大学生1300円、高校生以下無料。

見取り図の近況
音感・リズム感のない芸人ユニット「Berry Better!!」として、イベント『Laugh&Peace Music Fes!!OSAKA』に3月29日出演(相方の盛山はラップで!)し、チケットは2月5日販売。難波の「よしもと漫才劇場」にレギュラー出演しているので、詳細は公式サイトにて。

『ゴッホ展』

期間:2020年1月25日(土)~3月29日(日)※月曜休(2/24開館、2/25休館)
時間:10:00~18:00(金土曜~20:00)※入場は閉館30分前まで
会場:兵庫県立美術館(神戸市中央区脇浜海岸通1-1-1 HAT神戸内)
料金:一般1700円、大学生1300円、70歳以上850円(要証明)、高校生以下無料 
電話:078-262-0901

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