富野由悠季「会場によって違って見えた」

2019.10.30 18:00

『機動戦士ガンダム』をはじめ、『聖戦士ダンバイン』『重戦機エルガイム』など名作の数々を生んだ富野由悠季監督

(写真4枚)

『機動戦士ガンダム』や『伝説巨神イデオン』などのアニメーション監督・富野由悠季が、現在「兵庫県立美術館」(神戸市中央区)でおこなわれている展覧会『富野由悠季の世界』について語った。

アニメーション作品の世界観を構築し映像を作りあげるまで、富野が監督として積み上げてきた仕事の数々を回顧する本展。国内6つの美術館から学芸員が集い、約3000点の資料からその仕事ぶりを検証している。

「福岡市美術館」を経て、兵庫は第2会場となるが、「福岡を見て『ああこういうものか』と得心がいったが、こちらに来て新発見がありました。同じものを並べてるようで根本的に違って見えた」と富野は驚く。

「フィクションの在り方が、福岡で見たときの固まり感に比べて、こちらではバラされて個々の姿が見えるように。自分で考えていたことが、これだけの広がりを持っていたものなんだと、福岡以上に感じられるようになった」と両美術館を比較する。

『機動戦士ガンダム』より主人公・アムロとその家族のキャラクター設定資料
『機動戦士ガンダム』より主人公・アムロとその家族のキャラクター設定資料

「どちらかが優れているワケではないです。ソフトウェアというのは、それぞれの色合いを持っているもので、僕のコンセプトで打ち出したものが、『こういう風に両方から見られるだけの強度を持っていたのだ』とうぬぼれています」とも。

会場には、富野が学生時代に描いた絵も展示されているが、「あれを並べるとは僕は一切指示を出していません。学芸員が勝手にやってるからこそ、なぜこういう風に取りあげられたんだろうと考えざるを得ない」と、同展から自身を見つめ直すきっかけを得たという。

富野が、「考え方はこういうところから出発しているんだとわかった、と自己確認もできた」とまで評価する本展。兵庫会場は12月22日までで、チケットは一般1400円、大学生1000円、高校生以下無料。順次、「島根県立石見美術館」「青森県立美術館」「富山県美術館」「静岡県立美術館」を巡回する。

『富野由悠季の世界−ガンダム、イデオン、そして今』

期間:2019年10月12日(土)〜12月22日(日)※月曜休(11/4開館、11/5休館) 
時間:10:00〜18:00(金土〜20:00)
会場:兵庫県立美術館(神戸市中央区脇浜海岸通1-1-1)
料金:一般1400円、大学生1000円、高校生以下無料 
電話:078-262-0901(代)

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