ソニン、女性の友情を描く新作舞台に誇り

アイドルからミュージカル界への道を開拓した第一人者といえるソニン。『ミス・サイゴン』『キンキーブーツ』『ロッキー・ホラー・ショー』など毎年話題作に出演し、現在では日本のミュージカル界を支えるひとりだ。そんな彼女が、アメリカと日本のクリエイティブ・チームによる今秋上演の新作ロックミュージカル『FACTORY GIRLS~私が描く物語~』に出演。本作へかける意気込みを訊いた。
取材・文/岩本
「後先考えないほど切羽詰まっていた」(ソニン)
──2015年に『第41回 菊田一夫演劇賞』を受賞され、その授賞式のスピーチで流された涙はとても印象的でした。
それまで私は賞に縁遠いと思っていたんです。ヒロインもそこまでやっていなかったし、3番手、4番手の役が多くて。アイドル出身という演劇畑で育っていない人間が、賞に結び付くと思っていなかったんです。
なので、正直すごく驚いたのと、見てくれている人がいたんだという嬉しさがありました。世のなかには「自分なんか」って思っている人が多いと思うんです。でも、絶対に諦めずに頑張っていれば、誰かが見ているし、評価がしてくれるときが絶対に訪れると証明したかったんです。
私がミュージカルをやり始めた頃は、俳優はずっと演劇で生きてきた人がほとんどでした。今みたいにアイドルの方は少ない時代で。それでメインの役をやらせていただくということに、すごくプレッシャーと申し訳なさを感じていたんです。
私は全然、下地もないし、学校も出ていないし、本当に申し訳なくて。ずっとやってきた方や芸大を出た方よりもメインに立つので、みなさんに恥じないように頑張らなきゃという必死の思いで、とにかくうまくなりたいとひたすら考えて、勉強していました。
なので、賞をいただいたときに、世間にも演劇界のみなさんにも、演劇界の役者として認められたのかなと。演劇を始めて10年くらいでやっといただいたので、10年の道のりでした。ミュージカル界に入った当初は、リスペクトするみなさんを見て、自分が引け目に感じないように毎作品をやっていたように思います。
──受賞後は周囲の反応も変わってきましたか?
変わりました。特にニューヨークから帰ってきてから(2012年12月より文化庁新進芸術家海外研修制度にて1年間、ニューヨークに留学)。約1年半、日本では仕事も一切せず、露出もしていませんでした。
──1年半のブランクは不安ではなかったですか?
4年半ぐらい、ずっとニューヨークに行きたいという思いを秘めていたんです。何回か行ってたんですけど、長期で住みたいと。それを言葉にもしていたんだけど、「もったいない。今、行かない方がいいよ」ってみんな同じこと言うんです。
いつまでたってもみんなが言うので、これはダメだと(笑)。永遠に言われる、無理矢理行くしかないなと思って、文化庁に応募して。「一次審査が受かったので、これ以降、仕事入れないでください」と当時の事務所に言って。
──反応はどうでしたか?
「え?」ってなっていました(笑)。それで、二次審査も受かったので「行きまーす!」みたいな感じで強行突破して(笑)。
私は、行きたいとモヤモヤしている気持ちを永遠に抱えながら仕事を続けることと、今の気持ちに従って(N.Y.へ)行って、仕事がなかったらなかったでいいじゃないかと、そのどっちがいいかというと後者の方が私らしいなと思ったんです。
なので、自分の気持ちに従いました。なかったらなかったで、ほかの仕事をやればいいんじゃない? ぐらいの気持ちで、ある意味、後のことを考えてなかったかもしれないですね。それぐらい私は切羽詰まっていました。

──ニューヨークではどう過ごされたんですか?
演劇もいろいろ観ましたが、演劇、ボーカル、英語の学校とか、現地で探りながらレッスンやワークショップに行ってました。教会で定期的にゴスペルを習ったり。
ブロードウェイは派手に見えるけど、あそこに立てるのは本当にひと握りです。オフブロードウェイ、オフオフブロードウェイに立つまでもすごい。その下にどれだけの人がいるか。オーディションに行くと、すごい人数が待っているんです。
──日本とは違いますか?
日本は、ひとりにちゃんと時間があって、課題曲を歌わせてもらえるし、アンサンブルも並んで見てもらえる。向こうは、履歴書をざーっと並べて、一瞥しただけで「帰ってください」と。歌すらも歌わせてもらえない・・・。というのは人種の問題があったりするので、まずカラーで分けるんです。役のカラーに合う、合わないでさばいちゃうんです。
それを最初に目の当たりにしたとき、愕然としました。朝早くから狭いビルのなかで、みんなぎゅうぎゅう詰めで待っているわけです。それでスパン! とさばかれたときにすごくショックで。
隣の人に「これ、もう終わり?」って聞いたら、「そうだよ。もうその段階でキャラクターに合う合わないを見ているから。私、もうひとつオーディションが午後にあるので1回家に帰る」ってその方はパッと帰って・・・。
それを知ったから、逆にブロードウェイを観過ぎると落ち込むだけだなと思って、行きたいなと思ったら行くようにしていました。下の人たちがどうやって上がっていくかということを体感するために、学校行ってとか、そういうことに徹してましたね。
──学校はどういうところに?
初心者クラスも受けたし、子どもと一緒に授業を受けたり。日本は、ニューヨークみたいに学校があふれている街ではないので、どういうふうにみんなが1から踏んでいくんだろうと体験したかったんです。
A New Musical『FACTORY GIRLS~私が描く物語~』
日程:2019年10月25日(金)〜27日(日)
会場:梅田芸術劇場メインホール(大阪市北区茶屋町19-1)
料金:S席12500円、A席10000円、B席8500円
電話:0570-200-888
A New Musical『FACTORY GIRLS~私が描く物語~』
ヘアメイク/石田絵里子(AIR NOTRES )、スタイリスト/Die-co★
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