街なかを金魚泳ぐ、奈良県の不思議な光景

2019.7.14 10:00
(写真14枚)

「日本一の販売生産量にもなった大和郡山市」

ふらりと回るだけでも、これだけたくさん目に付く金魚たち。なぜここまで金魚推しなのか? 市の地域振興課・山地晋さんと農業水産課・宮本和幸さんにお話を伺った。

金魚テーブルがあるなど「大和郡山市役所」も金魚でいっぱい。お話を伺った地域振興課の山地さん
金魚テーブルがあるなど「大和郡山市役所」も金魚でいっぱい。お話を伺った地域振興課の山地さん

──「平和のシンボル、金魚が泳ぐ城下町」という市のキャッチコピー通り、金魚が泳ぎまくっていますが、なぜ金魚なのですか?

山地さん「江戸時代(1724年)、柳澤家が甲斐の国から大和郡山へ入部したときに、金魚養殖の技術を持ってきたと伝えられています。幕末に武士の副業として、明治以降は地形の利もあって金魚池が沢山つくられ、盛んに養殖されてきた歴史があるからです。なぜ、ここまで金魚養殖が盛んかというと、水質と気候が(金魚養殖に)良かったからなんですよ」

──養殖といえば、金魚の生産量も日本で1~2位を争うほどだそうですね?

宮本さん「2017年のデータで、年間5515万7千尾も販売されています。金魚すくい用の品種・和金の販売生産が圧倒的で、日本有数と言えると思います。すべての市町村さんの生産量を把握している訳では無いのですが、過去にニュースで日本一の販売生産量と記載された事もありますよ」

城下町南側に金魚養殖池が広がる風景。農業用ため池が多く、ミジンコなどの浮遊生物が金魚のエサに適していた自然条件がそろっていた
城下町南側に金魚養殖池が広がる風景。農業用ため池が多く、ミジンコなどの浮遊生物が金魚のエサに適していた自然条件がそろっていた

──金魚すくいと言えば、今年から市が主催の『全国金魚すいくい選手権大会』が『世界大会』に格上げになったとか?

山地さん「そうなんです、優勝したら世界一になれます」

──これだけ金魚が街を侵略していますが、街中に金魚が泳ぎ出したのはいつ頃からですか?

山地さん「せっかく観光に来ても(金魚の街なのに)金魚があまり居ないという事で、地元・柳町商店街の方々の主導で5~6年前から始まりました。そこで市も協力して2016年に『全国金魚のお部屋・おうちデザインコンテスト』を開催し、屋内・屋外最優秀賞、特別賞受賞者の作品を展示しています。地元商店街さんがさまざまなアイデアを出して、市も一緒になってという感じです」

養殖池で泳ぐ金魚。金魚漁業協同組合加盟の養魚場は市内に10軒ほどある
養殖池で泳ぐ金魚。金魚漁業協同組合加盟の養魚場は市内に10軒ほどある

ずっと昔から、城下町の養殖池で金魚達が泳ぎまくっていた大和郡山。今では商店街店主や観光協会職員が自ら考案し、街におもしろ金魚水槽が増殖しているのだという。

次は、「金魚愛あふれる、金魚ストリート・柳町商店街」

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