森川葵「あのお芝居は、あの現場だけ」

2019.5.11 20:00
(写真3枚)

ギャンブルの強さで階級を決める私立百花王学園。巨額の活動資金をもとに学園を牛耳る生徒会に挑むのは、最強のJKギャンブラー・蛇喰夢子(浜辺美波)。さらに、「非ギャンブル、生徒会への不服従」を謳う反生徒会組織の存在も明らかになり、学園では三つ巴の戦いが始まる・・・。そんな『映画 賭ケグルイ』で、夢子と共闘する早乙女芽亜里を演じるのが、作品ごとに自在に役を演じ分けるカメレオン女優・森川葵だ。映画評論家・ミルクマン斉藤が話を訊いた。

取材/ミルクマン斉藤 写真/バンリ

「『わたし、演ってます!』みたいなのは初めて」(森川)

──『賭ケグルイ』、TVドラマのシーズン1からずっと拝見してます。2015年の主演映画『おんなのこきらい』以来、ずっと森川さんの活躍を追っかけていますが、『賭ケグルイ』での徹頭徹尾なハイ・テンションぶりは常軌を逸していて、それだけでのめりこんでしまいました。

ありがとうございます。

──同作では、今どき演劇でもあまり見かけないオーバーアクトの連続ですが、とりわけ森川さんはシーズン1の初回から飛ばしまくってますね。

そうですね。あそこまで「わたし、演ってます!」みたいな演技は初めてです。あのお芝居はあの現場でしかできないですし、ほかのところで求められても違うかなぁと。英勉監督を信頼してるからこそ、あそこまで吹っ切って持っていけるというのがありますね。



──英監督は以前から、映画に漫画的な表現を大胆に取り入れてますが、『賭ケグルイ』はひときわ特殊な感じです。特にTVシリーズはいくつかの限定された舞台的な設定や装置のなかだけで物語が進んでいくし、モノローグや観客だけに聞こえるようなアサイドもある。普通の映画やドラマとはかなり異なるお芝居が求められているわけですよね。

そうですね。『賭ケグルイ』は『賭ケグルイ』だけの演技みたいな感じがします。

──特に勝負台の下からのライトが強烈で。真っ白になったり、影ができちゃったり。それでも美しく見えちゃうから、さすがの女性陣のキャスティングだなと思うんですけれど。

あれを監督は「女優ライト」って呼ぶんですけれど、私と(浜辺)美波ちゃんは2人で「恐ろしいライト」って呼んでます(笑)。もう、ちょっと怖い。一歩間違えたらオバケみたいに映っちゃうから。

──森川さん演じる早乙女芽亜里は、主人公・蛇喰夢子といちばん近い距離にあるキャラクターですが、TVシリーズのシーズン1から2、そして、その続きから始まる映画版を通じて、関係性が次第に変化してきます。敵対関係から妙な連帯感が生まれて、さらにはレズビアン的な要素も加わってくる。あのあたり、2人でどうやって連携させているのですか?

シーズン1で芽亜里が負けて、夢子が「支払ってもらいます」って言うときに、監督が「もっとぐっと寄っちゃってみようか」みたいな、そういう感じから始まったんですけど、だんだん2人とも「こういう感じだよね」と慣れてきて。ぐーーって夢子から私に寄ってきたりとか(監督の指示を待たずとも)少しずつできてきてますね。

『映画 賭ケグルイ』で早乙女芽亜里を演じた森川葵

──沈着冷静なのに不意にネコっぽくなる夢子の邪悪さに対し、感情が昂まるとガラが悪くなったりするのに、意外に純真な芽亜里といった対照的なキャラクターのコンビネーションが、回を増すごとにますます完成されていってる感じがします。

そうですね。撮影現場で美波ちゃんと話していると落ち着くんです。年齢的には下なんですけど、中身が落ち着いてるから、話しているときのテンポとかもすごく似てるというか、近い感じがするので、ペースを乱されずに話していられるんです。

──素の状態から関係性が保てているという感じですね。超ミーハーな鈴井くんを演じる高杉真宙さんはどうですか? 彼も幅の広い俳優だと思いますが、『賭ケグルイ』に関してはのっけから大げさな身振り手振りを伴った絶叫続きで(笑)。

あれは無いですよねぇ(笑)。私も何回も共演させていただいていますけど、「マッヒーってこういうお芝居もするんだ」って、スゴい新たな一面を見ましたね。しかもシーズン1のときなんて、ギャンブルしているところをモニター越しで見て、独りで「わ~~!」みたいなのをやってる。「わ~~!」ってやりながら、カメラに向かって状況を説明するとか。あれをサラッとやるんですけど、本当はすごく難しいと思うんです(註:シーズン1「ESPゲーム」の回)。

『映画 賭ケグルイ』

2019年5月3日(金)公開
監督:英勉
出演:浜辺美波、高杉真宙、森川葵ほか
配給:ギャガ

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