奈良・春日大社の鼉太鼓に国宝の数々展示

2019.4.30 06:00

約4年の修理を終えて春日大社国宝殿に鎮座する「鼉太鼓」。ほの明るい空間に並び立つ堂々とした姿は荘厳と言うしかない

(写真6枚)

鎌倉時代から伝わる『鼉太鼓<Da-Daiko>』展が「春日大社国宝殿」(奈良市春日野町)で、9月1日までおこなわれている。昭和51年まで用いられてきた「鼉太鼓」(重要文化財)を中心に、舞楽面や楽器、武具などが紹介されている。

鼉太鼓は屋外の舞楽演奏に用いる左右一対の太鼓で、春日大社のものは総高6メートル58センチ、総重量1434キロ(台座を含む)と日本最大級の威容を誇る。源頼朝寄進の伝承が残る鎌倉時代の作で、約800年にわたり春日大社、興福寺、東大寺で用いられてきた。2015年4月から約4年に及ぶ本格修理がおこなわれ、X線調査の結果、平家の南都焼き討ちからの南都復興に携わった一流仏師の作(おそらく慶派)とみて大過ないことが認められた。

こちらは現在用いられている「鼉太鼓」。金銀極彩色の姿が美しい。鎌倉時代のものと見比べるべし

展示室に設置された鼉太鼓は、暗色の背景や抑えた照明も手伝って、一種荘厳な雰囲気。火炎宝珠と龍、鳳凰の彫刻が圧倒的な躍動感を放っており、見事というしかない。今回の修理では現状を重視したが、かつては金銀極彩色に着色されていた。その姿は同館1階に展示されている現在の鼉太鼓で確認できるので、新旧の2対を見くらべるのも一興だ。

また本展では、平安時代から江戸時代の舞楽面(重要文化財が多数)、平安時代の琴、笙(いずれも国宝)なども紹介。別室では「アート・オブ・サムライ」と題して、「黒韋威矢筈札胴丸」(国宝)をはじめとする刀剣、小具足、馬具も展示されている。料金は一般500円。

取材・文/小吹隆文(美術ライター)

『鼉太鼓<Da-daiko>-超迫力の鎌倉彫刻、復活した世界最大級の太鼓-』

期間:2019年4月1日(月)〜9月1日(日)※6/12休
時間:10:00~17:00 ※入館は16:30まで。 
会場:春日大社国宝殿(奈良県奈良市春日野町160)
料金:一般500円、大高生300円、中小生200円
電話:0742-22-7788

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