薬師寺の東塔、落慶目前の修理現場を公開

2019.4.29 13:00

公開初日の様子。公開して約1時間後の時点で整理券約600枚が配られるほどの多くの人が訪れている(27日・薬師寺)

(写真5枚)

世界遺産「薬師寺」(奈良市西ノ京町)で、約110年ぶりに12年かけて進められてきた国宝・東塔の全面解体修理が95%完了。来年の落慶を目前に、最後の修理作業所公開がおこなわれ、27日の初日から多くの人で賑わっている。

創建された約1300年前から唯一現存する国宝の東塔。今回は史上初の全面解体修理となるが、文化財保護法の「現状維持の原則」に基づき、元々の東塔の材料を8割使用している。なかには創建当初の部材はもちろん、江戸や明治期の修理で使用された部材も含まれ、ここに新たに平成の大修理で新調された部材が加わった。

今回の公開は、塔上部に据え付けられた新調されたばかりの水煙(※)を間近に見る事ができる最後の機会。3月におこなわれた新旧(平成と奈良時代)水煙公開にも訪れたという清田さん(奈良市・50代女性)は、「実際に塔に据え付けられると意外と小さく感じて驚いた。歴史的な瞬間に立ち会えてうれしい」と喜びを語った。

落慶を前に「1300年、色々な形で守ってきた人、拝んできた人、人の心の繋がりがある。今回の修理で更に心が込められ、次の世代に繋がっていくというのは喜ばしい」と、薬師寺録事の加藤大覺さん。修理作業所は5月6日まで、朝10時から夕方4時まで公開され、大修理落慶法要は2020年4月22日~26日におこなわれる。

(※)塔の九輪(くりん)の上にある火炎状の装飾金具

取材・写真/いずみゆか

『国宝東塔修理作業所最終公開』

日程:2019年4月27日(土)~5月6日(休・月)
時間:10:00~16:00
場所:法相宗大本山 薬師寺(奈良市西ノ京町457)

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