豊作だった上半期・外国映画、下半期は?

2018.4.8 18:00

映画『パーティで女の子に話しかけるには』 © COLONY FILMS LIMITED 2016

(写真3枚)

「この監督は、絶対これから来ると思う」

──ミルクマンさんはどうします、トップ3は?

斉藤「どうしようか・・・。『ノクターナル・アニマルズ』に『ベイビー・ドライバー』、あとは『ウィッチ』かな。」

田辺「『ウィッチ』は観てないなぁ」

斉藤「開拓者時代のニューイングランドを描いた悪魔憑き映画なんですけど、言ってみればイングマール・ベルイマン・タッチ。リアリスティックな緊張感が尋常じゃない」

春岡「それはモノクロで?」

斉藤「いや、カラーなんですけど、とんでもなく美しいんですよ。1630年が舞台だから、この場所には色が稀薄なんです。得体の知れないまがまがしいものに、敬けんなキリスト教信者の家族がだんだん侵食されていくんですけど、その疑惑の対象となるのが森なんですね。森の向こうに魔女がいると。まあ、いるのかいないのかはハッキリしないんだけど」

春岡「あ、これ『サンダンス映画祭』で監督賞を獲った映画なんだ。知らなかったなぁ」

斉藤「そう。最後まで悪魔憑きとは断定しないんだけど、まあ最後にちょっとね。家族が神経症的にどんどん追い詰められていくのが凄まじい」

春岡「北欧の、スウェーデン、ノルウェー、あるいはデンマークあたりの映像だよね。ニューイングランドのアメリカ入植時代の話なんだろうけど、映像の世界でいえば北欧の世界観をそのままアメリカにもってきてやりましたという」

斉藤「美学的にも一番観るものがある映画ですよ、これは。この監督は、絶対これから来ると思う。かなり練り込まれて作られてる」

春岡「これは美しい。『ウィッチ』ってタイトルもまたいいね」

斉藤「『VVITCH』という昔の書き方ね。ホントこだわりが感じられるんですよ」

田辺「僕は、さっき挙げた『パーティで女の子に話しかけるには』と『ベイビー・ドライバー』のほかに、もう1本どうしようかな。『ブレードランナー2049』もいいんだけど・・・」

斉藤「いいやん。僕、別の媒体のトップ10には『ブレードランナー2049』入れてるで」

田辺「『ダンケルク』も入れたいんですよね」

斉藤「『ダンケルク』ってさ、実はすごくよくできた映画なんやけどさ、ビジュアルショックに負けてしまうという宿命があるのね。なまじっかIMAXで観てしまったから、映像体験っぽくなって。度肝抜かれた(笑)。あれはIMAX定番として定期的に上映するべき」

春岡「ホントだよね、ああいう70mm映画というか、IMAX映画は」

田辺「ああいう志でやってる監督っていなくなってきてるから、必要性をすごく感じる」

斉藤「今はクリストファー・ノーラン監督とか、PTA(ポール・トーマス・アンダーソン監督)は70mmで撮ってるよね」

田辺「そうですね。それに合った映画館で上映できる作品を作るという、そういう志というか」

春岡「ある意味、作家主義だよな」

田辺「それでいて、『ダンケルク』はストーリーも面白いし、構成も感嘆したし。やっぱりああいう海岸線の撮り方とか、試写室で観て後悔したし。普通の基準のシネコンでは映っていないモノがありますからね」

春岡「心意気はあるよなあ」

田辺「やっぱり『ダンケルク』は入れないとですね。でも、『ノクターナル・アニマルズ』も入れたいんですよ(笑)」

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