独立後初の長編作、米林宏昌監督の挑戦

2017.7.19 20:00
(写真3枚)

「世界に誇れる強力な美術集団の力を借りられた」(米林監督)

──アニメーション的にも、アクションのなかに変身が盛り込まれていますよね。変身というか、メタモルフォーゼ(変容・変態・転生)ですが。

メタモルフォーゼは、アニメーションの醍醐味のひとつだと思っているので、そういうところも描きたいと。アニメーターも動かすのが得意な人に参加していただき、自由にやってもらいました。

──前2作にそういう要素は少なかったのですが、改めて考えてみると米林監督って、『崖の上のポニョ』のあの大メタモルフォーゼ(海底から脱出したポニョたちが魚の波に変容しながら浮上するシーン)を描かれたわけですからね。こういうシーンが大胆に展開しても当然なんだな、と。

アニメーターとしてやっていたときは、そういう部分を担当することが多くて。でも前作、前々作では自分の得意なところを出す機会が無かったので、今回はふんだんに入れていってみたんですけれどね。大変でした(笑)。

© 2017「メアリと魔女の花」製作委員会

──今回、アニメーター勢はどうやって集めたんですか?

「スタジオジブリ」では、それこそ宮崎監督の作品のために精鋭たちが集まっていて。そういう環境で制作ができたというのは本当にありがたかったと、今身に染みて思います。今回は、西村プロデューサーと2人でスタートしたんですけれど、なかなか人が集まらなくて。最終的には、ジブリでお世話になった人たちが参加してくださり、また初めてご一緒する方たちもたくさんいて、そういう人たちの力をもらって出来たのが今作だなと思っています。

──結果として、多くの才能が集まったと。

そうですね。それに、僕は絵コンテと全然違うものが上がってきても、面白ければ採用するタイプなんです。(絵コンテを)こんな風に捉えてきたのかという。そういったいろんな人の力が集まると、(作品全体としては)ボコボコするんですけれども、それこそが多くの人たちで作る面白さなんだろうと思っていて。筋をひとつ通して全体をコントロールしていけば、多少ボコボコになっても面白い作品になると。そういう意味で、大きい受け皿を最初に用意しておいて、自由にいろんな人たちに画を描いてもらいました。

──存分に個々人の持ち味を発揮してください、みたいな。

それが面白かったですね。「スタジオジブリ」で旧知の仲間たちもそうなんですが、初めてご一緒する人たちの力も見ることができたのは面白かった。

© 2017「メアリと魔女の花」製作委員会

──ハイブリッドすることで、せっかくだから「スタジオジブリ」と違うものが生まれるとより楽しいと思いますけどね。

『ヱヴァンゲリヲン新劇場版』の撮影監督だった福士享さんらが今回参加してくれて、冒頭のシーンなんかもそうなんですけれども、やっぱり「スタジオジブリ」ではないようなエフェクトをかけてくださってますし。こういう風になるんだと勉強になりました。とはいえ、あらゆる部署でジブリ出身の人が多数集まったので、ジブリ色が濃いかも知れないですけれど。

──それは疑いようがありませんね。

でも、良いんじゃないかなと。僕らは誇りを持ってこの手法で描いてきたし、今回は今までやってきたものにプラスしていく方向でやっていこうかなと思いました。今後はどうするかは、まだ決めてませんが。

──エンドロールのスタッフ・クレジットを見てると、男鹿和雄さんに武重洋二さんという巨匠の名もあります。資料を拝見すると「でほぎゃらりー」という別会社を立ち上げられたようですが。

背景美術というのは、作品の品格を決める重要なポジションなんですけど、人材が散らばっていくと、テレビの背景をやったり、いろんなことに忙殺されて消えていってしまう。それはすごくもったいないんじゃないかと、西村プロデューサーやドワンゴの川上(量生)さん、カラーの庵野(秀明)さんと、「スタジオポノック」の前に作った会社なんです。今回が、「でほぎゃらりー」の1回目長編作品なんですけれども。元ジブリの方と、そうでない方がたくさんいるんですけれども、世界に誇れる強力な美術集団の力を借りられたのは良かったですね。

映画『メアリと魔女の花』

2017年7月8日(土)公開
監督:米林宏昌
出演(声):杉咲花、神木隆之介、天海祐希、小日向文世、満島ひかり、佐藤二朗、遠藤憲一、渡辺えり、大竹しのぶ
配給:東宝
TOHOシネマズ梅田ほかで上映

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