サブカル漫画家・蛭子能収「俺を過大評価しすぎですよ(笑)」

「質を落としてでも締め切りを守るタイプ」(蛭子能収)
──何度も聞かれてると思うんですけど、つげ義春作品のどこに惹かれるんですか?
やっぱり、『ねじ式』みたいな突飛な漫画を描いたかと思うと、普通の営みというか、現実的なものを描いたり、すごく不思議だなと。『ねじ式』なんか、電車が田舎の温泉みたいなところを走っているような絵があったりとか、不気味な感じがするし、懐かしい感じもするし。その不思議な感じが、すごくいいなって。
──先ほど、タレント業にシフトしていきたいとおっしゃってましたけど、漫画家としての蛭子さんを楽しみにしている人も多いと思うんですね。漫画を描きたい気持ちが蛭子さんのなかに湧いてくるには、どうしたらいいんでしょうか?
そうですねぇ。はっきり言って描きたいものがまったくないんですね。今はホントに、楽してお金が稼げる方がいいなって。
──漫画家は、本業じゃないんですか?
う〜ん。ホントは漫画を描くのはもう趣味であって、なにもすることないから漫画を描こうとなったら一番いいんですけど、漫画を描くのもしんどくて。
──逆にタレント業や俳優業は楽なんですか?
役者は別の難しさもあるんでしょうけど、俺は役者の方が楽そうって思いますね(笑)。絶対間違ってますけど。セリフもできてないし。

──タレントや役者、トークショーなどもそうですけど、良くも悪くも責任を感じず、とにかく、やらされるままやっている印象ですが、漫画に関してはまた違うスタンスを感じるんですが。
漫画はとにかく、読み終えたとき、読者に面白かったと思ってもらうことが一番なので、なるべくそれに期待に応えるように、考えながら描いてますけど、年を取ってきて、俺が面白いと思うことが、若い人にとっては面白くないことかもしれないなって。
──でも、今日のトークショーで見せた漫画のスライドショーでは、若いお客さんも笑ってましたけど。
笑ってましたね。あんな単純なストーリーで、ああいうのでよければ。
──ストーリーやオチを考えるのは適当、とかおっしゃってましたが、漫画を描くことは適当にはできない?
う〜ん、そうですね。締め切りがあると適当になってしまう恐れはありますね。内容よりも、締め切りを守ることが先決問題になるので。俺は締め切りを守るタイプなんですよね。作家タイプじゃないんですよ。締め切りを落としたら、お金が入ってこない。誰かに迷惑もかけるし。質を落としてでも締め切りを守るタイプですね。
──締め切りのない、趣味としてなら漫画は描ける?
趣味って言われたら、描かないかもしれない。締め切りを与えられないと、ほかの遊びをするでしょうね、麻雀とか競艇とか。たぶん。もう描くことが自分にとって、遊びにはならないんじゃないかなぁ。
──根本さんもよく言われてますが、「蛭子さんは自分への評価に無自覚」だと。
あぁ、そうですかねぇ。根本さんはちょっと過大評価し過ぎてると思う。
──蛭子さんを世界に出していこうという感じがありますよね、根本さん自身もですが。
根本さん自身もね(笑)。フランスとかそういうところに。俺はなんか、そういう夢みたいなことじゃなくて、現実的に細かいことでもいいから、きっちりお金が入ってくる仕事がしたいなって。夢がないですけど。

──でも、原稿料の無い漫画も描いてるじゃないですか。
それは昔からの付き合いだから、描いてるだけであって。一番最初に俺の漫画を載せてくれた雑誌社でもあるし、最初の頃は「お金はいらないから、載せてくれるだけでいいですから」っていうようなことも思ってましたので、今さらお金をくれとは言えないですね。
──今、蛭子さんの一番の関心事ってなんですか?
うんと、ちゃんと生きていけるのかなってことですね。老後というのがすごく頭にのし掛かってきてるんですよ。
──老後、ですか?
そう。老後。ちゃんと考えてなかったもんで、すごい怖いんですよね。働かないとお金が入ってこないし、老後のことを考えて貯金もしてなかったし。その、大丈夫かなって不安がすごくあります。ちょっと悲しくなりますけどね(苦笑)。
蛭子能収(えびす よしかず)
1947年10月21日生まれ、熊本県出身。漫画家、イラストレーター、タレント、エッセイスト、俳優、映画監督。1973年に『月刊漫画ガロ』に掲載された『パチンコ』で漫画家デビュー。その不条理かつシュールな作風で注目を集め、ヘタウマ漫画家としての地位を確立。1980年代以降は、タレントとしてバラエティ番組に出演し、一躍有名に。
関連記事
あなたにオススメ
コラボPR
-
大阪スイーツビュッフェ・リスト2025年版、ホテルで甘いものを満喫
NEW 19時間前 -
京都アフタヌーンティー2025年最新版、編集部取材のおすすめポイントも
NEW 19時間前 -
【大阪・関西万博2025】最新情報まとめ!地元編集部が取材してわかった、人気グルメから穴場スポットまで
NEW 19時間前 -
大阪アフタヌーンティー2025年最新版、編集部取材のおすすめポイントも
NEW 2025.9.16 14:00 -
大阪・関西ランチビュッフェ2025年版、ホテルの食べ放題を満喫
NEW 2025.9.16 12:00 -
現地取材で発見!知らなかった宇治の魅力【2025年最新版】
2025.9.14 08:30 -
「何度も見たくなる」ファン続出、宇治×京アニ秘話[PR]
2025.9.12 17:00 -
万博・ポーランド館で人気、現地さながらの体験とは?[PR]
2025.9.12 13:30 -
万博で日本一やかましい祭!?三重の魅力を1日で堪能[PR]
2025.9.12 07:00 -
カード利用で街がもっと便利に。アメックスで繋がる輪[PR]
2025.9.8 07:00 -
グラングリーン大阪で食べる、買う、楽しむ! 14選[PR]
2025.8.29 10:00 -
神戸アフタヌーンティー2025年最新版、編集部取材のおすすめポイントも
2025.8.29 10:00 -
関西人なら違和感に気付く!? 8コの異変探し[PR]
2025.8.28 08:00 -
新しいものを全力で楽しむ!OMOろい旅 in 熊本[PR]
2025.8.25 09:00 -
大阪ビアガーデン2025年版、編集部取材のおすすめポイントも
2025.8.22 12:00 -
京都・滋賀のおすすめビアガーデン2025年最新版
2025.7.23 13:00 -
奈良のおすすめビアガーデン2025年最新版
2025.7.15 15:00 -
関西のおすすめ音楽フェス・2025年最新版
2025.7.9 09:00 -
【カメリア・マキの魔女占い】2025年下半期の運勢は?
2025.7.1 00:00 -
神戸のおすすめビアガーデン2025年最新版
2025.6.30 11:00 -
京都・貴船&高雄のおすすめ川床、ランチからカフェまで【2025年】
2025.6.19 12:00