2016年、映画界で注目を集めた「俳優&監督」はいったい誰?
「柳楽優弥は日本人の役者としてケタが外れている」
──そういえば、春岡さんにインタビューしてもらった横浜聡子監督はどうですか? 最新作『俳優 亀岡拓次』は、長編映画としては実に7年の歳月を要しましたが(※横浜聡子監督インタビュー)。
春岡「まあ、がんばってるよ、彼女も」
斉藤「僕は横浜作品のなかで、一番つまんなかったな。僕が観たい横浜聡子は、これじゃないんだよ」
田辺「どうしても、『ウルトラミラクルラブストーリー』(2008年)と『ジャーマン+雨』(2006年)の横浜聡子を追いかけてしまうところがありますよね」
春岡「あれはちょっとスゴすぎるからさ」
斉藤「あの凶暴性がやっぱ、横浜聡子やと思うよ。『俳優 亀岡拓次』はそれが微塵も無いもん」
春岡「横浜の凶暴性では映画を撮らせてもらえないというのが、今の映画業界の現状なワケで」
斉藤「まあ、撮れないだろうけど、そこで踏ん張ってもらわないと僕が横浜さんを買ってた意味がなくなるという勝手な理屈で(笑)。『ウルトラ~』で原田芳雄さんが、役に全然共感できないけど『寝台特急カシオペア』に乗せてくれるなら出るといって出演した、というエピソードも無駄になるよ」
春岡「要は今の映画界に合わせて撮って、このレベルの作品ができたという。俺はそれだけで応援しようと思うんだよ。そりゃ、映画としては『ウルトラ〜』の方が全然スゴいんだけど、それだと映画を撮らせてくれないんだもん、今の日本では。俺たちが『ウルトラ〜』が良かったというのは簡単なんだけどさ」
斉藤「それはよく分かるんだけど、でもあのつまらないオーディション・シーンはないよなあ」
田辺「だからこそ、真利子哲也はよくやったなと思うんですよね。プロデューサーもそうだけど」
春岡「『ディストラクション・ベイビーズ』はさ、柳楽優弥で商業映画として成り立っているのがいいのよ。とにかく劇場でかかる映画になるというのが、大事なところだと思うからさ」
斉藤「監督と柳楽くんにインタビューしたとき、『次はこのコンビで、原作モノの恋愛映画とかやったら?』って話してて。そうなると、僕ら角川映画世代としては面白いわけよ。ATGで好きなことやって、角川で挑戦的なエンタテインメントをやる。そんなん当たり前やったから」(※ATG:1960年〜1980年代に非商業主義的な芸術作品を製作・配給してきた映画会社)

──柳楽さんはスケジュールがあればやりそうでしたね。
斉藤「だって、朝ドラ『まれ』もやってるんだもん(イケメンの大輔役)。いつまでたってもつまんない山崎賢人のヨメになるより、柳楽くんとくっついてくれてた方がどれだけ面白いドラマになったか(笑)」
春岡「柳楽優弥はちょっとケタが外れたところあるんだよ、役者として。デビュー作(是枝監督の『誰も知らない』)でカンヌの最優秀男優賞受賞 (日本人初史上最年少)を獲っちゃってさ」
斉藤「そう。日本人の役者として、誰も経験したことがない振れ幅を、望みはしなかったんだろうけど背負っちゃうことになってね」
春岡「李相日の『許されざる者』(2013年)のとき、すごかったじゃん」
──本人がインタビューで言ってましたけど、みんな『アオイホノオ』で復活したとか言うけれど、本当はその前の『許されざる者』だって(※柳楽優弥インタビュー)。
春岡「北海道の大高原でさ、イーストウッドの『許されざる者』を、渡辺謙と柄本明を相手にやる。そりゃ全然スケールが違うからね。要は柳楽優弥が復活するには、あのスケールが必要だったということでさ」
斉藤「しかも、日本版オリジナルのキャラクターでね。日本でやるからには・・・というか、李相日監督がやるからには、というものスゴい役どころを一身に任されて」
春岡「『ピンクとグレー』もそうじゃん。ほとんど出てないけども、行定監督得意の主人公不在の映画なんだけど、あの不在の主人公というのが柳楽優弥なわけだから。不在なんだけど、作品世界全体を仕切ってしまっているという」
斉藤「あれもほとんど、アテ書きに近いと思う。柳楽くんに出ていただかないと、という。そういう意味で、宮藤官九郎のドラマ『ゆとりですがなにか』の彼もたぶんアテ書きで素晴らしかった」
春岡「あの世代では、菅田将暉も池松壮亮も抜群に上手いし、出演作もいっぱいあるけど、柳楽優弥は次元が違うよね。ちょっと違うところ行ってるよね」
──1年ちょっとぶりに、『ディストラクション・ベイビーズ』の取材で会ったとき、完全に顔が変わってましたよね(※真利子監督&柳楽優弥インタビュー)。
斉藤「すごい自信をつけてたよな。なんだか風格を醸し出しててね。柳楽くんはそれだけのことやってるから」
──東京の完成披露舞台挨拶で、柳楽さんは「これからは俺らが時代を作っていく」的なコメントしてましたよね(※4月21日の東京での舞台挨拶にて「世代交代です!」と宣言)。
田辺「それ、この前本人に話を訊いたら、あれは宣伝部に念押しされたらしいんだけど、生半可な気持ちでは言ってないって。実際にそう思ってますね」
春岡「でも、柳楽優弥と岸井ゆきのがいいって、渋くていいよね(笑)」
斉藤「いや、全然渋くないですよ。今やメインどころですよ」
──ほかはどうですか?
斉藤「あ、吉岡里帆や!」
田辺「ああ、いいですね」
斉藤「(犬童一利監督の)『つむぐもの』に出てるよね。ちょっとカウンター的な役なんだけど共感させてしまう説得力がある。でも、やっぱり今のところテレビかな。朝ドラの『あさが来た』とクドカンの『ゆとりですがなにか』があまりにも強烈で決定的ですかねえ。あとゼクシィのCM(笑)」
田辺「それこそ2年前、MOOSIC LAB企画で『イルカ少女ダ、私ハ。』に出てて。そのときから、京都にめちゃくちゃかわいい女優がいるという話を聞いてたんですよ。実際に見てみたら、なんだこの美少女は!?って思った」
斉藤「福田雄一監督の『明烏』(2015年)にも出てたやん。映画はつまんなかったけど、菅田(将暉)くんとガチで渡り合ってた」
田辺「たしかに、吉岡里帆はこれから注目したい女優のひとりですよ」
──柳楽優弥と岸井ゆきの、そして、次点で吉岡里帆ということで。
一同「いいね」
関連記事
あなたにオススメ
コラボPR
-
Osaka Pointでおいしくたのしく大阪めぐり[PR]
NEW 7時間前 -
大阪アフタヌーンティー2025年最新版、編集部取材のおすすめポイントも
NEW 13時間前 -
話題の宇治・小倉エリアでハシゴ酒してみた[PR]
2025.12.19 19:00 -
関西の「縁起が良すぎる」手土産、新年のスタートに [PR]
2025.12.18 07:00 -
「初めてスナック行くなら宮崎」ってほんま?現地へ![PR]
2025.12.17 20:00 -
華やかスイーツ!大阪のいちごビュッフェまとめ・2026年版
2025.12.17 16:00 -
大阪のクリスマスディナー&ランチビュッフェ特集、ホテルで食べ放題・2025年版
2025.12.15 16:00 -
街歩きしながら再発見、OMOろい旅 in 小樽[PR]
2025.12.14 17:00 -
大阪・関西ランチビュッフェ2025年版、ホテルの食べ放題を満喫
2025.12.11 12:30 -
大阪スイーツビュッフェ・リスト2025年版、ホテルで食べ放題
2025.12.11 11:30 -
華やかスイーツ!京都のいちごビュッフェまとめ・2026年版
2025.12.5 14:00 -
大阪クリスマスケーキ2025年、高級ホテルから百貨店まで
2025.12.5 10:30 -
京都クリスマスケーキまとめ2025年、百貨店から高級ホテルまで
2025.12.4 11:00 -
独自の進化を遂げた「宮崎うどん」3つの謎に迫る[PR]
2025.12.3 08:00 -
京都アフタヌーンティー2025年最新版、編集部取材のおすすめポイントも
2025.12.2 09:00 -
クリスマスはコスパ良く!ケーキやチキンをテイクアウト[PR]
2025.12.2 07:30 -
神戸を代表する4軒のバーで楽しむ『碧Ao』カクテル[PR]
2025.12.1 09:30 -
やなせ先生ゆかりの地で、「土佐弁」に触れる旅[PR]
2025.11.28 20:00 -
神戸アフタヌーンティー2025年最新版、編集部取材のおすすめポイントも
2025.11.28 10:00 -
狙うなら今!北海道の穴場スポットへ[PR]
2025.11.28 07:30 -
街を丸ごと遊び尽くせる、OMOろい旅 in 旭川[PR]
2025.11.23 11:00


トップ
おすすめ情報投稿
Lmaga.jpとは
ニュース
まとめ
コラム
ボイス
占い
プレゼント
エリア






人気記事ランキング




写真ランキング







ピックアップ






エルマガジン社の本

