『Meets』編集部の余談。

今週末、飲みたいワイン。第2回

2020.5.8 17:00

カテゴリ:お酒

家飲みの日々が続くなか、偶然立ち寄った天満橋のワインショップ[salvis wine & records]で、お薦めのヴァンナチュール(自然派ワイン)の複雑な味わいに開眼。カタカナや専門用語が苦手な人でも楽しめる! 週末に飲みたい、小さな作り手による物語のあるワインを紹介します。


第2回

土地の弱点が味の強みに。シュワッと濁り、柑橘系。

CROCI CAMPEDELLO

今回はイタリアのワイン『CROCI CAMPEDELLO』について、店主・野口さんに教わります!

「ヴァンナチュール」を名乗る条件のひとつは、アルコール発酵に、ブドウの皮につく天然の酵母を使うこと。日本酒でいう生酛造りですね。醸造所の中にいる生物(酵母菌)のエネルギーを使うので、天然酵母には土地ごとの味わいが出やすいというメリットがある一方、酵母の力が弱いと発酵がまばらになったり、時間がかかったりするというデメリットも。大量生産型のワイナリーでは、発酵を安定させるために培養酵母を使うことがほとんどです。

創業時より有機農法でブドウを栽培し、現在は孫のマッシミリアーノ・クローチさんが弟ジョゼッペさんと引き継ぐワイナリー「クローチ」。イタリア北部・ミラノのあるロンバルディア州に接した、エミリア=ロマーニャ州の北西部に位置します。その土地では、土の養分が不足しているために酵母の力が弱く、さらに冬場は寒冷な気候のため、アルコール発酵が途中で止まってしまいます。

ボトルの裏にある、イタリア地図で場所を確認!

その状態で瓶詰めされたものが、春から夏にかけて気温が上がるにつれ、瓶内で再び発酵を開始。この2度目の発酵によって微発泡になります。つまり、土地の酵母の弱さが、シュワッとしたこのワインの特徴に。イタリアではアンセストラーレ(田舎方式)と呼ばれる、昔ながらの製法です。

じつはこのカンペデッロ、一日中いつでも、労働者たちに野原で飲んでもらえるようにという想いから始まったそう。「だから俺たちも昼休みに飲むんだ」と、地元の人たちが話しながら昼間楽しそうに飲むのを、イタリアのバルで見かけました(笑)。

どんな味ですか?

味わいがしっかりと感じられて、二度見したくなる白ワイン。たとえるなら、レモンビールや柑橘系のクラフトビールを飲んだときのような感覚です。ヴァンナチュールの長所である、ブドウ自体のエネルギーが強いので、おいしさのバロメーターが上がるのがゆっくり。開けてから15〜30分ほど置くとさらにおいしく、泡は弱くなりますが3、4日間は楽しめますよ。

飲んでみました。

琥珀色が少し濁ったような色で、飲むとブドウ成分なのになぜか柑橘系の酸味と苦味、じわりとくる旨み。独特の香りと味が気になって、確かめるように飲むうちに気づけばボトル半分近く空いていた。独特と感じたのはおそらく酵母の風味。野口さんの言うように、クラフトビールのようなクセになる味です。コルクを抜くときにかなり硬めなので、女性は要注意!

素朴で牧歌的な風景が素敵なワインラベル。

今週のワイン

クローチ カンペデッロ 2018

産地:イタリア・エミリアロマーニャ州
2,400円(税抜)


salvis wine & records
[天満橋]
大阪市北区天満3-3-18 順源ビル1F
TEL 06-6356-7072
12:00〜20:00 水曜休
Instagram(@salvis_wine

店主・野口一知さんがセレクトする小さな作り手のワインと、好きな音楽のレコードを扱う専門店。ワインはヨーロッパを中心に約200種を扱い、その約8割がナチュールワイン。知識ゼロでも、味の好みや飲む相手などを伝えれば、ぴったりのワインを教えてくれる。奥には隠し部屋的なバー空間があるのでぜひお尋ねを。全国発送可。

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MeetsRegional編集室 1989年創刊以来(今年で31年目突入!)、関西の街をフォーカスし続けるリージョナル・マガジン。編集部員をはじめ、誌面に携わるさまざまなスタッフが自分の足で探してきた店や人、モノやコトを、私感たっぷりにご紹介。街や酒場の“ゴキゲン”を言い訳に、どうにも飲める(飲み過ぎる)スタッフ多め。現在、「WE♥酒場」をキャッチフレーズに、酒場にまつわるエトセトラを12カ月連続で特集中。毎月1日発売。

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