元宝塚 望海風斗の熱演と歌声、中尾ミエ80歳が「冥土の土産」と大絶賛『ファニー・ガール』大阪公演開幕

3時間前

「梅田芸術劇場メインホール」のロビーにて。母娘を演じる中尾と望海(2026年10月8日 梅田芸術劇場)

(写真6枚)

ブロードウェイの名作ミュージカル『ファニー・ガール』が、9月29日に東京公演を終え、10月9日から「梅田芸術劇場メインホール」(大阪市北区)で幕を開ける。伝説の大女優、ファニー・ブライスを演じるのは、近年多くの演劇賞を受賞し、飛ぶ鳥を落とす勢いの元宝塚歌劇団雪組トップスター・望海風斗。10月8日、主演の望海と、ファニーの母親役を演じている中尾ミエが、同劇場内にて開幕直前の取材会をおこなった。

本作は、1964年にブロードウェイで初演された、実在のスター、ファニー・ブライスの伝記ミュージカル。下町育ちの女の子が、持ち前のユーモアと根性でジーグフェルド・フォリーズの大看板へと駆け上がっていく。舞台と同じくバーブラ・ストライサンド主演で映画化もされた名作が、2022年に半世紀以上を経てリバイバル。そのブロードウェイ版を手がけた名匠マイケル・メイヤーが、日本版でも演出を担当している。

■ 舞台袖から望海を見て、毎日「どうしてあんなに声が出るの!?」

ファニー役は衣装替えも多いそうで、宝塚トップ時代に鍛えられた望海でさえ驚いたという(2026年10月8日 梅田芸術劇場)

同じ事務所の先輩・後輩でもある望海と中尾。中尾は東京公演中、望海の歌唱力に驚き、「どうしてあんなに喉が強いの!って感心しながらの毎日で、こんなに飽きずに仕事をしているのは初めてです。この年になって、いい作品に巡り合えて良かった。もう冥土の土産でいいや、という感じです」と、耳福のステージを絶賛した。

「もう60 年以上(芸能の仕事を)やってきてるけど、毎日舞台袖でもワクワクして、全然飽きない」と充実した表情の中尾ミエ(2026年10月8日 梅田芸術劇場)

望海は、毎日自身の楽屋に来て体調を気遣ってくれる中尾に対し、「その優しさにいつも甘えさせてもらっています。ミエさんこそ毎日お元気で! みんなをパッとまとめてくださり太陽のようで、本当にかっこいいです」と、日々刺激をもらっていると話す。

今年80歳になった中尾は、普段から毎朝公園へ行き、多いときは30人ぐらいの仲間と運動をしているという。「今日も大阪を歩いてきました」と笑顔。「私には80 代の友達がいっぱいいるけど、(本作を)観に来てくれた友人たちが「俗世間から離れて、華やかで気持ちのいいひとときを過ごせた」と感動してました。ぜひ人生の楽しみだと思って、ミュージカルを観たことがないおじちゃん、おばちゃんたちも観てほしいです」と呼びかけた。

■「関西の皆さんに笑っていただけるかドキドキ」

望海は大女優として成功しながら、坂本昌行演じる賭博師の夫ニックとの関係で、ときに思い悩むファニーを熱演している。「愛を知り、人を知っていくところはファニーの成長物語でもありますし、何よりショービズの世界で生き残っていこうとする彼女のエネルギーに、毎回本当にたくさんの力をもらっています。この舞台に立てていることを心から幸せだと感じるほど、パワーにあふれた女性だなと思っています」とコメント。

第33回読売演劇大賞および最優秀女優賞を受賞、文化庁芸術選奨 文部科学大臣新人賞も受賞した望海風斗(2026年10月8日 梅田芸術劇場)

また望海自身がもつ朗らかさや明るさが、ファニー役に反映されている点も評判を呼んでいる。「ファニーはコメディエンヌとして、ショーシーンなどで人を笑わせる場面もたくさんあるのですが、関西の皆さんにどれぐらい笑っていただけるのか、ちょっとドキドキしています」と、いつになくソワソワした様子の望海。

中尾は、ファニーに夢を諦めるように促すなど、ストレートな物言いの母親・ブライス夫人役。「皮肉ばかり言う母親なんですが、自分とちょっと重なるなと思って(笑)、それを楽しみながら演じています。いろんなことが直球なストーリーですが、思った以上にお客さんに伝わってますね」と、手応えを感じていることを明かした。

本格的な共演は初めてとなるふたり。とても打ち解けた様子でしっかり握手も交わす!(2026年10月8日 梅田芸術劇場)

■「修道女のように」という言葉は心の片隅に置きつつ――

本作の魅力について、望海は「オーバーチュアだけでも満足いただけるぐらい、音楽がとにかく素晴らしいんです。そんな古き良きブロードウェイの音楽で魅せるミュージカルの中に、夫婦とは、自分の人生とは、と考えるお芝居の要素もあって。ジーグフェルドのレビューシーンもあり、ミュージカルのいいところがいっぱい詰まった作品です」と、のめり込んでいるのが伝わってくる。

また、これまで数々のミュージカルに出演してきた望海が、この作品で一番鍛えられたところを問われると、歌の量やペース配分だと答えた。「ファニーは歌が多い役で、ケアしながら東京公演もやっていました。歌い上げる曲も多いのですが、張り上げてばかりでもお客さまが飽きてしまう。ひと作品のなかでもマラソンのようなペース配分が必要で、喉も体力も鍛えられました」と笑う。

「望海さんと坂本さんの歌(デュエット)も素晴らしい!」など中尾の温かい言葉に、笑顔が絶えない望海(2026年10月8日 梅田芸術劇場)
「望海さんと坂本さんの歌(デュエット)も素晴らしい!」など中尾の温かい言葉に、笑顔が絶えない望海(2026年10月8日 梅田芸術劇場)

稽古中には演出補の海外スタッフから、ファニー役は男性で言えばハムレットのような、最も大変な役のひとつで、「普段は修道女のように過ごすしかない」と言われたという。そんななか、東京公演を完走した自分に「やり通せた!という達成感はすごく大きいです」と晴れ晴れとした表情を見せる。

中尾は、あらためて望海のファニーがハードな東京公演でも安定感に満ちていたことに言及し、「もうこの役は、他の人じゃできないんじゃない?望海さんのファニー・ガールになってる。坂本くんとのデュエットがまた、ものすごく気持ちいいの。合ってるよね?」と、望海に振ると、望海も「何でしょうね、波動なのかな?」と応じる。そして大阪公演は「修道女のように…」という言葉は心の片隅に置きつつ、「楽しみたいです!」と明るく宣言した。

ミュージカル『ファニー・ガール』は2026年10月9日から18日まで「梅田芸術劇場メインホール」で上演。その後、福岡公演が「博多座」で、愛知公演が「御園座」で上演予定。

取材・文・撮影/小野寺亜紀

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