後半戦をかき乱す3人の“重要人物”…「目立たない」主人公・仲野太賀も、モブキャラ→覚醒へ【豊臣兄弟】

2時間前

『豊臣兄弟!』第28回より。備中から戻ってきた羽柴秀吉(写真右、池松壮亮)に、織田信長の安否について尋ねられる小一郎(写真左、仲野太賀)(C)NHK

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豊臣秀吉の立身出世を助けた弟・豊臣秀長の活躍を、八津弘幸・脚本、仲野太賀・主演で描く大河ドラマ『豊臣兄弟!』(NHK)。

8月2日の放送休止を経て、ドラマは次回の第30回から、いよいよ秀長が「最強のNo.2」として、歴史の中心に躍り出てくることになる。ここからの見どころになりそうなポイントを、いくつかご紹介しよう。


■ 「小一郎=モブ役」は終了、主人公らしい主人公へ

『豊臣兄弟!』第29回より。(C)NHK
『豊臣兄弟!』第29回より。嫡男・与一郎が亡くなり、長浜城で悲しみに暮れる小一郎(仲野太賀)(C)NHK

『豊臣兄弟!』への否定的なコメントを見ると「主人公の秀長が、他の登場人物たちと比べて目立たない」というのが多く、竹中半兵衛(菅田将暉)や織田信長(小栗旬)などが退場するたびに、ドラマの吸引力が落ちるのでは? などと言われた。

しかし、ある意味、それは正解なのだ。というのもここまでの秀長は、織田家の重臣に成り上がった兄・羽柴(豊臣)秀吉(池松壮亮)の、百姓上がりの家臣の一人という立ち位置で、歴史の大局のなかでは、何百何千といるモブキャラと大差ない存在なのだから。

この段階で秀吉と同じぐらいの地位にいるのは、柴田勝家(山口馬木也)や丹羽長秀(池田鉄洋)辺りだけど「じゃあ、彼らの側近の名前を知ってますか?」と聞くと、答えられる人はなかなかいないだろう。

ここまでの秀長の動きを、詳細に記している歴史資料が極端に少ないのは、この段階で秀長の存在が、特に注目されてなかったという証。その分ドラマでは、史実の謎を補足できる大胆なフィクションを乗せやすかったわけで、八津弘幸も秀長をジョーカー的に動かすのは、非常に楽しかったのではと想像する。

『豊臣兄弟!』第17回より。秀吉(池松壮亮)、秀長(仲野太賀)と勝負する長政(中島歩)(C)NHK
『豊臣兄弟!』第17回より。小谷城で秀吉(写真左、池松壮亮)、秀長(写真右、仲野太賀)と相撲で勝負する長政(写真中央、中島歩)(C)NHK

とはいえ、秀長がモブ的な扱いになるのは、きっとここまで。兄とともに天下を目指す覚悟を決めた秀長は、秀吉の代わりに現場の指揮を務めたり、交渉上手をフルに生かして、様々な武将を秀吉の味方に引き込んでいくことになる。

さらに配下となった武将たちのアフターケアを担当し、関係性をガッチリと固めるなど、まさに秀吉の補佐・・・というより「第二の秀吉」ぐらいの権威と能力で、秀吉の天下一統を助けていくことになるのだ。

『豊臣兄弟!』第1回より。(C)NHK
『豊臣兄弟!』第1回より。天下統一した後の主人公・豊臣秀長(仲野太賀)(C)NHK

兄弟が「賤ヶ岳の戦い」以降、天下を左右する存在となったときに、秀長はようやく主人公らしい主人公となっていくはず。

これまでは秀吉や信長の影という役割に徹していた控えめキャラ・秀長が、どんどん潜在能力に目覚めて強敵を倒していくという、まさにバトル漫画のような痛快さと、彼らがなぎ倒していく「歴史の敗者」の悲哀が同時に描かれていくことになるのではないだろうか。ここからますます本領発揮を見せていくであろう、仲野太賀の演技にも期待しよう。

■ 後半戦の重要人物…1人目「悲劇のプリンス」秀次役・山田涼介

『豊臣兄弟!』で豊臣秀次を演じる山田涼介 (C)NHK
『豊臣兄弟!』で豊臣秀次を演じる山田涼介 (C)NHK

そして、もう一つ楽しみになってくるのが、新たに兄弟に関わってくる人たちの存在。とりわけ注目しておきたいのが、山田涼介が演じる豊臣秀次(三好信吉)と、吉岡秀隆が演じる千利休(宗易)だ。

秀次は、秀吉&秀長の姉・とも(宮澤エマ)の息子・万丸の成長した姿で、宮部継潤(ドンペイ)に人質に出される回では、その健気さで多くの視聴者を涙させた少年だ。その後四国の武将・三好康長の養子となり、秀吉が大阪城築城を開始する辺りから、秀吉の配下となって活躍するようになる。

『豊臣兄弟!』第16回より。(C)NHK
『豊臣兄弟!』第16回より。小一郎の姉・とも(宮澤エマ)と抱き合うその息子・万丸(小時田咲空)(C)NHK

その後、多くの人が知っているように、秀吉の後継に選ばれたものの、様々な要因で自決してしまう。この悲劇は秀長の死後に起こるため、 秀次の存在は情が移るからあまり触れないでほしいと願っていたのだが、王子様オーラがハンパない山田をキャスティングしたところを見ると、がっつり「悲劇のプリンス」として描く気まんまんな予感がするので、特に山田ファンは腹をくくった方が良いかもしれない。

■ 2人目「描かれ方が未知数」千利休役・吉岡秀隆

『豊臣兄弟!』で千利休を演じる吉岡秀隆 (C)NHK
『豊臣兄弟!』で千利休を演じる吉岡秀隆 (C)NHK

そして、意外にも大河ドラマ初登場となる、吉岡秀隆が演じる千利休は、「わび茶」(茶の湯の一様式)を完成させた人物として知られている。本能寺の変があった時点で、茶の湯の宗匠としてすでに有名だった利休は、秀吉に召し抱えられることに。

茶の湯の指導や茶室の建築などを務めるだけでなく、当時の会談では茶の湯が欠かせなかったため、自然と秀吉の政にも関わることとなる。実際に大友宗麟は、秀長から「公儀のことは私に、内々のことは利休に」と伝えられたと言われているから、相当密接な関係だったのだろう。

大河ドラマでは、その道の求道者らしく達観した人物として描かれることが多かったけど、『真田丸』(2016年)で桂文枝が演じた利休は、商人として敵方とも取引をするなど、なかなかの俗人として描かれたのが目新しかった。

まだまだ描き方に可能性がありそうな人物な上に、演技の幅も広い吉岡が演じるとあれば、『豊臣兄弟!』ではどのようなキャラクターとして現れるか期待したい。

■ 3人目「のちのズッ友」徳川家康役・松下洸平

『豊臣兄弟!』第28回より。(C)NHK
『豊臣兄弟!』第28回より。本能寺の変を堺で知った徳川家康(松下洸平)(C)NHK

さらにもう一人・・・これはすでに登場している人物だけど、秀長とどういう関係を紡いでいくか注目されるのが、のちの天下人・徳川家康(松下洸平)だ。

というのも家康は、一度は兄弟と敵対するが、彼らの妹・あさひ(倉沢杏菜)と再婚し、秀吉の配下兼親戚となって以降、秀長と非常に親しい関係となるからだ。家康が、秀長の治める大和(奈良)の見物に訪れたり、家康の屋敷の普請を、秀長の家臣・藤堂高虎(佳久創)が担当したりしている。

『豊臣兄弟!』第14回より。松平元康(のちの徳川家康/松下洸平)に感謝を伝える小一郎(仲野太賀)(C)NHK
『豊臣兄弟!』第14回より。徳川家康(松下洸平)に感謝を伝える小一郎(仲野太賀)(C)NHK

あのクセ強な性格の松下版家康が、どうやって秀長とズッ友になるのかがちょっと想像がつかないけど、制作統括の松川博敬氏はインタビューで「秀長が家康に、後の世を託すような展開となる」と予告。

確かに「誰も戦で死ぬことがない世」を目指していた秀長の夢は、家康が江戸幕府を作ることで達成するわけだから、その思いがどのような形でバトンパスされるのか? 取りあえず、絶対需要が多そうな「秀長&家康 仲良し奈良観光」が、ドラマで描かれることを個人的には期待している。

大河ドラマ『豊臣兄弟!』はNHK総合で毎週日曜・20時から、NHKBSは18時から、BSP4Kでは12時15分からスタート。8月9日放送の第30回「清須会議」では、秀吉と秀長は清須城で行われる、織田家の後継者を決めるための評定に参加。それぞれの思惑が入り乱れるなか、秀吉が市(宮﨑あおい)に思いがけない提案をするところが描かれる。

文/吉永美和子


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